warning
error
success
information
多肉植物を購入すると、たまに謎の植物が混入していることがあります。雑草かと思って取り除こうとしたら、明らかに多肉植物なので処理に戸惑う…。初心者のころ、こんな経験をした多肉植物栽培家は少なくないのでは。そんな植物の正体は、「セイロンベンケイ(セイロンベンケイソウ)」や「子宝草」と呼ばれる南アフリカ産のベンケイソウ科の植物です。
実はこの「セイロンベンケイ」。子どもの欲しい夫婦が、栽培すると赤ちゃんを授かれるという言い伝えから、一時期人気になりました。今回はそんなセイロンベンケイの魅力を紹介します!
この植物の特徴は何といっても、葉っぱのフチからニョキニョキと子株を生やすこと。
これは「不定芽形成」といって、本来芽が出る場所ではないところから芽を出すという現象のためです。そのため「葉から芽(ハカラメ)」という別名で呼ばれることも。
一時期、百円均一などでもこの植物が売られていました。どう売られていたのかというと、葉っぱが一枚袋詰めされた状態で、しかもやや乾燥気味に…。
同封されている説明書には「水に浮かべて楽しむ…」云々などと書かれています。実際に乾燥していても、水に浮かべておけば、いつの間にやら葉のフチから子株が出てくるのです。
そう。この子宝草、増殖するための生命力の強さには、驚くべきものがあるのです。その後、子株が出てきたら土に植え替え、ほかの多肉植物と同様に栽培していきます。
窓際などで育てていると、可愛いサイズに収まって育ってくれるのですが、日光の差し込む温室などでは、結構大きくなります。
筆者がこれまで観てきたセイロンベンケイソウは、1メートルもないくらいのものでしたが、条件があえば1.5メートルに達することもあるそうです。
そして、ある程度の大きさになると花を咲かせ(一定の時間、光を当てない「短日処理」をさせる必要があります)、さらに花が終わった部分からも芽が出るとか。隙あらば増殖する…。子宝草とは良く言ったものです…。
この「セイロンベンケイ」と「蝶錦」とよばれる多肉植物を掛け合わせてできたのが、「不死鳥錦」です。
この植物も葉のふちから芽を出すのですが、セイロンベンケイよりもずっと細身で、しかも葉の色が多彩。セイロンベンケイと同様に、強健なる種類なので見つけたら育ててみると面白いですよ!
これら子宝草系の植物は簡単に、しかも爆発的に増えます。購入した多肉植物の鉢の中に居候している意味も、なんとなく分かります。
もし、多肉植物をはじめたいと考えている方がいたら、「こんなのあるんだけど、育ててみる?」と譲るのも良いかもしれません。何しろ、増えすぎて持て余すくらいですから…。
いまでも、多くの人が大切に子宝草を育てています。…とはいえ、その繁殖力がゆえに小笠原諸島で帰化して、その土地に生える植物の生育を阻害しているとの問題も起きています。
温暖な地域に暮らす方はとくに、この植物が「鉢から逃げない」よう、注意しながら栽培することを心がけてくださいね。
mokutaro(杢太郎)