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さすらいのボタニスト、ヤガメです。こんにちは。
インドやタイなど、東南アジアの国々には辛い料理が多い。
極東の韓国でも、キムチを作るのにトウガラシを使う。
となると……。
トウガラシの起源ってアジアなのか? と思う方も多いと思います。
ところが実は、そうではないのです。
今回は、トウガラシのふるさとに関するトリビアをご紹介しましょう。
私は辛い食べ物が苦手です。
だがしかし、ピザやパスタに、ちょっとだけタバスコをかけたりするのは好きだったりします。
そんなわけで(どんなわけだ?)、今回は、みなさんが家庭菜園で育てているかもしれない、トウガラシのふるさとに関するトリビアをご紹介しましょう。
・8辛カレー
私が大学で研究員をやっていたころ、研究室にはタイ人の留学生がいました。
20代の女性で、いかにも東南アジアの農村にいそうな雰囲気。
明るい性格で、とても聡明な人でした。
たまたまその彼女を連れて、近所のカレー屋に行く機会があったのです。
そのカレー屋では、辛さを10段階に調節できるサービスがありました。
僕ヤガメは、たいてい辛さ1(ほとんど辛くない)を注文するのですが、その留学生はなんと。「8」と注文するわけです。
いわゆる「8辛」カレーの迫力とは、どんなものか??
注文されたカレーが届いて驚きました。
ルーとご飯の汀線の部分には、赤と白い漂流物がたくさん並んでいるのです!
・赤と白の正体
カレーの上に浮かぶ、赤いものはともかく、白いのは何さ?
と思ったら、何てことはないトウガラシの種子でした。
・いちばん辛い部位は
あまり知られていないかもしれませんが、実はトウガラシは、果実の皮の部分より、種子の周辺が辛いのです。
カレーには、その強烈に辛い部分がふんだんに、混入されていたわけなのです。
・ひとくち……
くだんの留学生は、その妙な色合いのカレーを、乾いた顔をしてパクパク食べています。
細身でちょっと濃い感じの顔の彼女が、
「おいしいです!」なんて言ってにっこり笑うので、
「もしかして本当においしいのか?」と思い、ちょっとひとくちだけいただくと……、
エラい目に遭いました(汗)。
・トウガラシの自生地
インドやタイなど、東南アジアの国々には、辛い料理が多くあります。
極東の韓国でもキムチを作るのに、トウガラシを使います。
そこで、トウガラシの起源ってアジアなのか? と思う方も多いでしょう。
実は、そうではありません。
トウガラシの原産国は、中米のメキシコ周辺だと言われています。
今日でもメキシコ周辺地域では、道端に野生のトウガラシが自生しています。
・先祖をたどると
ナス科のトウガラシ属Capsicumには数種の原種があります。
ところが栽培化されたのは、Capsicum annuumを起源とするものが、ほぼすべてといってよいでしょう。
つまり、我々が日ごろ目にするトウガラシの先祖をたどれば、ほとんどがCapsicum annuumという原種に行き着くわけです。
野菜として食べられるトウガラシの仲間はもちろん、近頃ガーデン植物として人気のゴシキトウガラシなども、この原種を品種改良したものです。
・香辛料として
トウガラシは、コロンブスがアメリカ大陸を発見したとき、香辛料としてヨーロッパに持ち出したといわれています。その結果、ゆっくりと各国の食文化に取り込まれていったようです。
・身近な野菜の多くが
インドにトウガラシが伝わったのは、原産地の南米アメリカからではなく、逆の方角にあるポルトガルからの伝来といわれています。
南米原産の野菜は、ジャガイモ、トマト、トウモロコシなどたくさんあります。身近な野菜の祖先は実はアメリカ大陸にあった……なんて、ちょっと面白いですね。
・仲間いろいろ
ちなみに、パプリカ、シシトウガラシ、トウガラシは、味の穏やかなトウガラシを品種改良した結果生まれた野菜です。
・強烈に辛いのは
シシトウガラシは普通辛味はありませんが、稀に強烈に辛いものに当たったりすることがあります。これはさまざまな理由で、シシトウの祖先が持っていた辛味成分が生成されてしまった結果……というわけです。
フローリスト編集部