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健太の冒険の一覧

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史留久
千葉の落花生の新豆の出回るシーズン🥜 先月の落花生ぼっちクイズにご参加のみなさま ありがとうございます☺  今回は受付番号108の方までいらっしゃいましたが、番号をひとつパスしましたので、107人のご参加をいただきました。    2枚目 正解でございます。私には全体が撮れず 息子撮影です。投稿しましてから気づきましたが、全容が枠外で切れてしまい 違う写真になっております。投稿の不手際 お許しください。6個のぼっちが3列と 2個の列 そして手前に1つの合わせて  21✨でした〜☺ (あとで息子に呆れられました。1枚目が縦の写真でしたので 2枚目もそうなってしまったのだと教わりました。基本がわからないのか と叱られ、、ちゃんとした正解写真を投稿できず 申し訳ございませんでした。)  ご正解は4名様 21番の@ミーコさん 23番@あきちゃんさん 32番@nobu68さん 104番@花音♡さん  そして5名に満たなかったため  GSファミリーであります息子との厳正な抽選の結果、参加賞としておひとり 41番@ひいやんさん となりました。    みなさま 大切なみなさま いつもありがとうございます。  クイズへのお文句 おボヤキ お愚痴 ご提言 どうぞご遠慮なくお話しいただけましたら幸いです。  落花生脱粒仕事続いておりますので、いいねお返し ご返事の遅くなりますことお許しくださいませ。  どうぞみなさま 今日も佳き日に💞✨(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾*•.❥◡̈*.
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史留久
🥜ラッカセイ ぼっちクイズ🥜 開催いたします⸜(*ˊᗜˋ*)⸝  期間がありますので、のんびりとご一考いただけましたら幸いです💞 そして毎月19日はユーミンの日🏷 息が白くなってくると ユーミンの 「灯りをさがして」♪が流れてまいります。 1枚目 まだ蕾もありますが、こちらもすっかり霜の季節 どこまで がんばってくれるでしょう。後ろの銅葉は ダリアブロンズメロディです。 2枚目 さてクイズです。この枠の中の畑はぼっちステーションの1か所になっています。ぼっちはいくつあるでしょうか? お目目を酷使させてしまい申し訳ございません。  正解者5名の方に 自家用の殻炒りラッカセイなど美味しい詰め合わせを送らせていただきます。正解者多数の場合は抽選となります。  どなたでもご参加されてください。フォローとか関係ありませんから、お気軽にどうぞ。  締切は今月末 30日です。解答の変更は1度だけOKです。  このところ目が少し不調なものですから 事務的なご返信となってしまいますこと お許しください。   3枚目 厳しい夏に 葉っぱが2枚になってしまったのに咲いてくれました。@タマイケルさんよりいただきましたマユハケオモト❤ 4枚目 見切り品50円。かわいいんです。 5枚目 妹よりもらったキクがよく咲きました。6歳下の妹は私の拙いガーデニングの大先輩です。 どうぞみなさま温かくなさって この錦秋の美しい風景を楽しまれてくださいませ☺ 今日も佳き日に🍁🍂  クイズは締め切りました。ありがとうございます。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 49 健太は高校一年生になった。 お世話になっているお茶屋さん夫妻はとても気さくな人で、我が子のように健太を可愛がってくれた。 お茶摘みや草刈り、夜はお茶の袋詰めなど健太は何でもできることを進んで手伝った。どんな仕事も手を抜かず丁寧にこなす健太は可愛がられ、仕事の覚えが早くて助かると、月に数万円のお小遣いまで貰ったのだった。 健太はそのお金で衣類や学用品、参考書を買い、残ったお金で、2ヶ月に一度の帰省時に両親へのおかずなどを買って帰った。 健太の帰りを待つ両親に、高校での生活や、日々の生活のようすを話し、母の手料理を食べる時間が健太の大きな楽しみだった。 高校の近くには立派な図書館もあり、健太にとっては天国のような環境だった。本をむさぼるように読み、勉強にも集中して取り組んだ健太の成績は、高校でも首席になった。 一方一彦は、 健太の父が撃たれた事件以来、その原因を作ったのは一彦だと、村中からの風当たりが強くなった。それでも一彦の家は兼業農家だったので、健太の家のように収入が激減することはなく、村人との付き合いは疎遠になったが、普段通りの生活が続いた。そんな中、一彦は健太たち家族の困窮ぶりを目にする度に、自分のせいだと心を痛めていた。 そして、そんな氣持ちをふりきるように、一彦は部活の野球に打ち込み、ピッチャーとしてめざましい活躍をして数年ぶりの県大会出場に貢献した。そんな一彦に、数校から高校入学を誘う申し出があり、スポーツ推薦で村から遠く離れた高校へと進学していった。 健太と一彦、それぞれの道は離れたが、心の中では互いのことを思い、元気でいるかなと案じていたが言葉を交わすこともなく、2人の一年があっという間に過ぎていった。 🌱写真は大好きなアガパンサスの花です。夏が終わり、花後につけた実も落ちて、今は茎だけがひよろっと名残を惜しむように、風に揺られています。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 48 動物病院には、大きな樹の写真が、 額に入れて飾られていた。 この樹は、ラクウショウって言うんだ。湿地に植えると、幹の周りに呼吸のための呼吸根(気根)が出てくる不思議な樹だ。健太くんは、なんで湿地に植えると気根が出てくると思う? 環境にあってて、どんどん増えようとしてるから? 健太が答えると、先生は笑っていった。 ハハハ、その逆だよ。 気根はね、根っこが水びたしで呼吸が苦しくて苦しくて「呼吸するため」に出したものなんだよ。 僕らは普段植物も呼吸してるって、あまり意識してないけどね。 植物は、僕らが呼吸するための酸素を作ってくれるだけじゃなくて、自分でも幹・枝・根などの表面全体で呼吸しているんだよ。そして、ラクウショウは、湿地に生えると土の中の酸素が不足して息ができなくなるから、地上の酸素を吸うために、根の一部を地上に出して呼吸しようとするんだよ。凄いだろ。 樹は土から根っこを出したら枯れてしまう、だから絶対根っこを出せないと思ってたら、根腐れして枯れてしまう。そんな植物がほとんどなのに、土の上に根っこを出して息をしようとする発想、凄いと思わないかい?誰かに教えられた訳じゃない。ギリギリの状況で、自分の常識を打ち破って自分を生かす挑戦をするんだ。 僕はね、限界を感じる度に、限界を超えろ!って、このラクウショウを見て自分に呼びかけるんだよ。そうやって、この樹に何度も励まされてきた。 先生と樹の写真を見上げながら、健太は、自分の中の常識になってる限界を超えるかぁ…と思いをめぐらせていた。 その時、マリさんがコーヒーを持って、診察室に入ってきた。 あらあら、今日は2人でシリアスな顔をして鑑賞会? 笑うマリさんに、 そうだよ。男として人生をどう生きるか、話をしてたんだよなぁ、健太くん。 先生が健太をみて笑い、いつものように診察室に笑いが広がった。 そして、コーヒーを飲み終わると、真顔になって先生が健太にたずねた。 ところで、君の進路の話なんだけど、家を借りる話はその後どうなった? 健太が、まだ全然あてがないと答えると、それならと先生が話を切り出した。 実は、知り合いで君の希望している高校の近くに住んでおられる方がいてね、優秀なんだけど、経済的な理由で進学を断念するかも知れない子がいる、どこか格安で良い物件があったら紹介してほしいと話してみたんだ。そしたら、自分の家に使わない部屋があるから、使ってもらって良いと、ありがたい申し出を貰ったんだよ。家賃はただで、食事もつけると。その代わり、家業の仕事を少し手伝って欲しいそうだ。 健太は、目を輝かせて言った。 先生!凄いや!家賃も食費もなんとかなるなんて!夢みたいだ。 あっ…でも仕事の手伝いって、何なんだろう。重労働?なのかな? 健太がおずおず尋ねると、先生は笑っていった。 お茶屋さんなんだよ。 だから、収穫期はお茶摘みなんかを、それ以外は、草むしりや、お茶の袋詰めなどを頼みたいそうだよ。 それなら、できそうだ! 健太が満面の笑みで答えると、 それは良かった!と先生も笑顔になった。 実はね、君と話をした何日かあとに、君の父さんが相談に来られたんだよ。君を高校に行かせてやりたいが、住む家の家賃を払うのが難しそうだと。それでも、もしもの時は田畑を手放してお金を作ることになっても、高校だけは行かせたい。せめて、少しでも家賃の安い物件を知っていたら教えてほしいと、それは真剣に頼まれてね。 僕も力になれればって、心当たりに当たってみたんだ。 先生の話に、健太は目頭があつくなった。 道が開ける! 高校に行けるかもしれない! その喜びと、両親や先生や部屋を貸してくれる方の思いが、ありがたくて、ありがたくて、溢れる涙を腕でぬぐうと、健太は深々と頭を下げた。 先生、ありがとうございます。 今日帰ったら父に話をします。 僕、頑張ります! よろしくお願いします。 そんな健太の肩を叩いて、 なっ!道は開けるんだよ!と 先生は嬉しそうに笑った。 健太は両親と話し合い、高校に合格したらお茶屋さんの家にお世話になる事になった。 息子が使っていた部屋だが、もう遠い所に住んでて使わないんだよ。久しぶりに賑やかになって嬉しいよ。お茶屋さんは、そう言って健太を喜んで迎えてくれた。 そうして、無事に高校に合格した健太は、奨学金をもらい、お茶屋さんの家から高校に通う高校生活が始まった。 🌿写真は新宿御苑のラクウショウです。氣根を痛めないように、木道が敷かれています。紅葉の季節はとても綺麗です。とても素敵な場所なので、機会がありましたらぜひ会いに行ってみてください😊。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 47 その夜、健太は、学校でのこと、獣医の先生と話したことを両親に伝え、進学をどうするか悩んでいると伝えた。 父は、静かに腕組みをして聞いていたが、奨学金を借りれば学費は何とかなるやも知れんが…高校はここから通える距離ではないからな、と言うと、しばらく考えていた。 それでお前は、どうしたい? 父の言葉に、健太は思った。 本当は 進学したい! 獣医になりたい! そう答えたら、両親は無理をしてでも、高校に行くお金を工面してくれるかもしれない。 でも…それで良いんだろうか? 両親が辛い思いをして支えてくれてる姿を想像するだけで、健太の心は沈んだ。そんな中で…自分だけ夢を追いかけて幸せだろうか?食べるものも慎ましくして、朝から晩まで働く両親の姿を心に浮かべながら、健太の思いは揺れた。 父さん、本音を言えば、高校にすごく行きたい。行ってたくさん勉強して、いつか獣医になる夢に少しでも近づきたい。でも、その為に父さんや母さんに、これ以上頑張らせて大変な思いをさせたくないとも思うんだ。 父さんや母さんが、経済的に無理だって結論したら、僕は中学を出て働こうと思う。そしてお金が貯まったら高校へ行く。高校へ行きながらバイトするからも知れないし、高校を出てから働くかもしれないけど、お金を貯めて大学に行く。何年もかかるかもしれないけど、諦めなければ夢は少しずつ近づいて、きっと実現できるって、今日獣医の先生と話して、今さらだけど氣がついたんだ。何も挑戦してないうちから未来に怖じ気づいて、勝手に絶望しちゃダメだって。回り道の人生は、苦しくて辛い事が多いかも知れないけど、回り道をすることで、たくさん氣づくことがあったり、心が強くなることもあるかもしれないって、それがいつか役立つかも知れないって思うんだ。僕の人生を作るのは僕だ。やってみる価値はあるって思うんだ。 健太が考えながら、ポツリポツリと話す言葉を静かに聞いていた父が、頷くと言った。 わしが知らん間に、お前はしっかり考えられるようになったんだな。 そう言って、父は健太の顔を見た。 お前が獣医になりたいと思うようになって、真剣に勉強に取り組んでいることも知っている。わしらにもっと経済力があったら、お前を悩ませることもなかったと思うと、すまないと思う。だが、わしらとしても、高校ぐらいは行かせてやりたい。 問題は高校に通う住まいを何とかすることだ。安く借りられる方法がないか、知り合いに当たってみよう。 期待させてがっかりさせるかもしれんが、わしらもやれるだけの事をやってみよう。 そう言うと母の方に目をやった。 母も頷いて、諦めなければきっと道は開くと信じて、みんなで頑張ってみましょうと2人に笑顔を向けた。 ありがとう! 父さん、母さん 両親に笑顔を向けながら、健太は両親の愛を感じて胸が熱くなった。 きっと僕の道を見つける! 健太は心で何度も繰り返した。 🌱 写真は新宿御苑の庭園で去年の11月に撮ったものです。加工なしの偶然撮れた不思議な一枚です😊 アオサギをこんなに至近距離で見たのも初めてで…光の中でじっと佇むアオサギの姿が、とても神々しかったです💖 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 46 健太の話を聞き終わると、先生が静かに言った。 それは、健太くんが、もう夢を諦めるという宣言なのかい?挑戦を受けて立つ前に、環境が悪いからと早々に諦めたいと思ってるのかい? と先生が尋ねた。 明るく見える道と暗く見える道、君はまだどちらにだって進むことができる。たとえ高校に行かないとしても、社会に早く出て社会人として経験を積むことになれば、それはそれで学ぶことは多いと思う。でもそれは、夢を諦めることとは別だよ。 自分の最大の理解者は、いつも自分自身だ。その自分を信じる氣持ち、信じて立ち向かって行こうと思う氣持ち。それが、本当の自信じゃないのかね。こんなに課題が多くて絶対に無理!もう諦めるしかない!そう思う時、自分の力量を越えなくては進めないと思う時、人生に試されているんだよ。そして、逃げていれば、大人になっても形を変えてその挑戦は繰り返すんだ。健太くんは、試される前に逃げ出してしまうのかい? 先生の言葉に、健太はハッとした。 試される前に逃げ出す。そうか、まだ挑戦してもいない。 それに…先生が言うように、自分が夢を諦めたくないと強く思っていることに、健太は改めて氣づいた。 先生、… やっぱり諦めたくない。 そして、まだ何も挑戦していない。 父さんや母さんとも相談して、どうしたらうまく行くか、話し合ってみます。 健太は、顔を上げて、先生の顔を見た。もしも、やるだけやり尽くして高校に行くのが無理だってわかったら、その時は未来に繋がるもっと良い道を探したい! 先生は健太の肩を叩いて言った。 やっと、君らしい言葉が出てきたな。 何か困難があって、人生にくじけそうになった時、一つだけ覚えておくといい。 自分が不幸だと思うことを受け入れると、不幸が終わることになるんだ。それは、不幸を受け入れたからだ。 今は、この言葉がピンと来ないかもしれないが、いつかわかる時が来る。その氣持ちを忘れなければ、きっと自分の進む道がみえてくる。 不幸を受け入れる 自分の進む道か 健太は、帰宅の道すがら、中卒で働いたら?高卒で働いたら?その先にどうやったら獣医への道をめざせるか?と自分の未来を想像してみるのだった。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 45 先生、俺悔しいよ! 父さんも母さんも、朝から晩まで、ほんとに働きづくめに働いている。それなのに、生活は苦しくなるばかりなんだ。仕事を続けるにも生活するにもお金が出ていくばかり。世の中はほんとに不公平だ。 あんなに可愛がっていた一郎も花子も…もういないし。この先、俺が高校や大学に行くお金なんか、あるはずがない。 先生、俺、本当に獣医になりたいって思ってたんだ。 でも でも… もう、諦めようと思う。 諦めて、中学を出たら町で何でも良いから仕事探して働こうと思うんだ。 膝の上で拳を握った健太の眼からは、涙が溢れそうだった。 きむら動物病院は、健太の中学校から遠くない所にあった。夏休みの見学以来、放課後に立ち寄る健太を先生は可愛がってくれ『また、おいで』と氣さくに接してくれていた。時々は、勉強の相談にものってもらい、獣医の先生は今や健太にとって大切な存在になっていた。 夏が終わり、秋が深まっても、健太たち家族への村人の対応は冷たく、バイト先もなくなった健太は、やるせない氣持ちを振りきるように、がむしゃらに勉強に集中し、成績は学年トップになっていた。そして、冬になり野菜の収穫がさらに少なくなると、一層家計は厳しくなっているのが健太にもわかるほどだった そんなある日、健太のクラスでは担任の先生と今後の進路について話合いがあった。 君は成績優秀だから、特待生で奨学金が受けられるだろう。だけど…学費はそれで何とかなるかもしれないが、君の希望を生かす高校は、ずっと離れた町にあるから、そこに住んで通うとなると住居費や生活費も考えなくてはいけないだろう。高校生だから、バイト先もあるだろうけど…厳しい事になりそうだね。親戚とか、在学中だけお世話になれる家とかあると良いんだけど…。ご家族とよく話し合ってみてね。 健太の家庭の事情を知る担任の先生は、奨学金や近隣のアパートの家賃まで調べて、親身に話をしてくれたのだった。 そうかぁ。 学費だけじゃなくて、アパートも借りるようになるのか…。健太は唇を噛み締めた。 そうだ、獣医の先生に、何か道がないか相談してみよう。その日の帰り、健太は動物病院に立ち寄った。 🌱 🌱今日のお花 彼岸花 花言葉 独立 情熱 アガパンサスもヒガンバナ科だったんですね。 今日は、涼しかったですね。エアコン要らず、助かりますね💖このまま秋になるのかなぁ😅 庭に植えた茗荷がやっと🌱を出しそうで、楽しみです(*^^*) 昨日は、洗濯機を一人で移動しました (一人で持ち上げて見たら、できるかもって思って、そうだ!私の体重より軽い洗濯機だもの、できるハズって 😅 成せばなる!為さねば成らぬ! やり遂げました(⌒0⌒)/🤣🪅💪 ) その後、後始末のお掃除をやり遂げたご褒美😁に…今日は疲れた体を癒しに♨️温泉に行ってきました💖 いろんな種類の露天風呂をまわって、よもぎサウナで汗だくになって、あったまった体に秋風が氣持ち良かったです。温泉のあと食事したお庭に、今日のお花の彼岸花が綺麗に咲いていたので、お写真に撮ってきました。♨️温泉三昧のあといただいた、新そばはとても美味しくて、たまには自分にご褒美も良いですね🥰 お食事のあとは、夏の名残の風鈴が素敵に並んだ縁側で、くつろいできました。時折吹く風にチリンチリンとなる風鈴の音色を聞きながら過ごす時間、久しぶりの素敵な時間🍁癒しの1日になりました(⌒‐⌒) 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 45 コスモスが 今年も咲いている あの花を見ていると 遠いあの日を思い出すんだ 一郎が嫌がって 足を踏ん張る 顔を左右に降って抵抗する その手綱をぐいぐい引っ張って 背中とお尻をぐいぐい押して 車の荷台に二人がかりでのせた 花子は 悲しい眼をして 父さんの手をなめた そして、人間のように 住んでいた牛舎を振り返り 父のかおを見た 手綱を引かれると 頭を降って嫌がった それでも父がどうどうと 声をかけて花子をなだめる よしよしと背中を撫でて 少しずつ少しずつ 引かれて押されて 花子も車へ登っていった 悲しくて 悲しくて 胸が張り裂けそうだった 父さんはどう どう と 声をかけ続けた まるで すまん お別れだ そう言ってるような 悲しい声で 牛を押していた 荷台が閉じられ 父さんが帽子を取って よろしくお願いしますと 深々とお辞儀をした 静かに車が走り出した モウ~ モウ~っと 一郎がなく 花子がなく その声に たまらなくて 健太は車を追いかけた 溢れる涙に前が見えなくて 木の根につまづいて転んだ健太は 手をついたまま叫んだ 一郎 花子 ごめんよ ごめんよ ありがとう 泣き続ける健太の肩に 父が手をかけた その指先が震えていた あぁ 親父も泣いている 健太は ちくしょう!ちくしょう! と地面についた拳を握りしめた しばらくして健太が泣き止むと 父が立ち上がった。 あの子達が住んでいた部屋を、綺麗にしてやろう。手伝ってくれるか? 父の言葉に、健太も立ち上がり 父のあとに続いた。 本当は、一郎は、健太の高校の学費の足しにと、考えていたのよ。もしも、一郎を手放しても、花子は牛乳を売ってしばらく家計の足しにとも考えていたのよ。 健太は、数年後、当時の両親の思いを母から聞いた。父が撃たれた事件以来、村人が牛乳を買ってくれることもなくなり、週に一度市場に牛乳を出すだけでは採算が取れないと、何度も何度も相談して決めたのだったと。けれど、牛は競りで買い叩かれ、売って得たお金は思いの外少なくて、様々な支払い後に残ったのはわずかなお金だけだった。 「それでもね、一郎と花子がいたからあの厳しい時を乗り越えられた。助けてくれたのよ」と話す母は涙ぐんでいた。 🌱 🌱 今日のお花がオミナエシだったので、日曜日に行った昭和記念公園のお茶室前庭のオミナエシを投稿しました。お抹茶と一緒にいただいたお菓子はコスモスでした。可愛いお菓子に手をつけるのを躊躇いながら…美味しかったです😋 三枚目 一面のキバナコスモス(レモンブライト)は咲き始めで、これからますます見頃です。 四枚目 みんなのお手植え♡オレンジのコスモスは、みんなのお手植えだそうです♪素敵な企画ですね。 五枚目 コキアも色づき始め、ピンクとグリーンのグラデーションが、柔らかな雲の絨毯のようでとても綺麗でした。キバナコスモスもコキアも、これからが見頃だそうです🤗 今日のお花 🌿 オミナエシ 昭和記念公園 お茶室前に素敵に飾られていたオミナエシです💖 オミナエシは、秋の七草の一つ オミナエシ属の多年生植物。 別名 敗醤(はいしょう)とも呼ばれ、健康に役立つ植物です💮 🌱10月頃に地上部の茎葉を切り除いて根を掘り、天日乾燥させたものは生薬となり、敗醤根(はいじょうこん)と呼ばれます。 消炎、排膿、浄血作用があり、婦人病に。1日量10グラムの敗醤根を、水500 ccでとろ火で半量になるまで煎じ、3回に分服する。 🌱花のみを集めたものは、黄屈花(おうくつか)。 これらは生薬として単味で利用されることが多く、あまり漢方薬(漢方方剤)としては使われない(漢方薬としてはヨク苡仁、附子と共に調合したヨク苡附子敗醤散が知られる)。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 44 ささやかな 幸せは 野の花の白い色 ささやかな 幸せは 花を映す 空の青 ささやかな 幸せは 野原に寝そべって 光のなか あなたの笑顔に 揺れる花影を いつまでも そばに座って見守る時間♡ 🌱 猪狩りの事件以来、村人が健太の家の野菜や卵を買ってくれなくなったため、父は週に一度町の市場に野菜を売りに出かけた。 市場では安く買い叩かれ、品物が売れ残って持ち帰ることもあり、健太が寝た後、両親は家計簿を見つめ、どうやって冬をこえるか相談する日々だった。 屋根の不振もせにゃならんし、農機具もそろそろガタが来ている。 そうね、健太の制服も、この間ズボンが割けて繕ったのよ。もうきつそうで買い換えてあげないと可哀想なのよ。運動靴も穴が空いてるし、どんどん大きくなるから、この冬に着る普段着も買ってあげないとだし…。それに…近所の人が塾の話をしていたわ。せめて参考書くらい買ってあげないとね。あの子は、バイトのお金で必要な物を買ってお小遣い頂戴って言うこともなくて…本当に頑張っていたのに…。もう、アルバイトもなくなってしまったから。 喉が乾いて目覚めた健太は、両親の話を耳にして、自分が思っている以上に、やりくりが大変なことを知ったのだった。 高校へ行くのだって大変そうなのに…その先の学校なんて…。 ちくしょう!何が平等だ! 結局、貧乏だと進学だって無理じゃないか!健太は握りこぶしで枕を叩き、涙を流した。 一晩中眠れずに健太は考えた。 中学校を出て働いても、いつか獣医になる道はあるんだろうか? 両親も、健太も、眠れぬ夜。 窓のそとは、秋の始まりの雨が、しとしとと降っていた。 🌱花の名前 仙人草 この花は、センニンソウと 教えていただきました。 先日、御岳山へ向かう電車の駅のホームにたくさん咲いていました。 センニンソウの花は、キンモクセイに似たさわやかで甘い香りですが、毒があって、茎の切れ目や葉から出る白い汁は素手で触るとかぶれてしまうそうです。知らずに触ってしまう所でした。皆さんも、氣をつけて下さいね。 別名、牛のハコボレ(歯こぼれ)」と言われ、毒があるとわかっている馬はセンニンソウを食べまないし、牛が食べて歯が抜け落ちた、という由来があるためそのような別名で呼ばれているそうです( *´艸) 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 43 季節が来ると あなたは そっと現れて いつもの あの場所で 笑ってる どこにいたの? 逢えたね ここに 根をはって ずっと そばにいたんだよ あなたがいると 風景が 不思議にとっても あたたかい 笑ってるよね ぜったい 笑ってる おひさまいろに かおる秋 🌱 晴れた日、父と母と健太の3人は、庭の菊の花をもって、たぬ吉を埋葬した山の畑に向かった。 たぬ吉、ありがとう。 3人は花を供え手を合わせた。 ねぇ、父さん たぬ吉の家族は…今も帰らない父さんを待っているのかな? 出会った時のこと、昨日のように思い出せる。たぬ吉は、幸せだったかな? そう言って健太は涙を落とした。 狩りの日は、山の獣たちも何か気配を察するのかもしれんな。 あの日、わしの身を案じて、たぬ吉はおそらく近くで見守ってくれていたんだろう。そうでなければ、あのタイミングで飛び込んで、身を呈してわしを助けるなどできなかったはずだ。いくら恩人だからと、人にそんなことができるか? たぬ吉がおらなんだら、わしはここにはおらなんだ。獣に真心を教えられた。本当に有りがたいことだ。 そう言って、たぬ吉を埋葬した土を撫でて、父は涙をこぼした。 3人は、畑の土手に腰かけて、それぞれ、たぬ吉との日々を思い出していた。 ねぇ、父さん あの日、父さんは覚悟が必要だと言った。今もまた、同じことが繰り返して…。やっと気づいたんだ。 村に暮らすって大変だなって。もしかしたら、父さんや母さんは、こんな理不尽に何回も出会ってきたんじゃないかなって。 そうさなぁ。 わしよりも、母さんの方が風当たりが強いかもしれんなぁ。なぁ母さん。そう言って、父は視線を母に送った。 何もなかったって言ったら、嘘になるわね。苦しいときは苦しいし、辛いときは辛かったわ。でも、お父さんと健太と3人で暮らす生活があれば、みんないつの間にか幸せに変わったのよ。そして、ここの景色、朝から晩まで、変わっていく雲や光、本当に綺麗な山の景色。都会生まれの私には、何もかもが奇跡のように宝物に見えるのよ。 母は、そう言ってにっこり微笑んだ。 大変だけど、幸せな生活か。 赤とんぼの群れが飛んで行く空を見上げながら、 もし、父が死んでしまったら 自分や母はどうなっていただろう。 家族を支える、その責任の重さを、健太は生まれて初めて考えたのだった。 🍂 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 42 雨が 薪小屋の トタン屋根に落ちていく 嬉しいときは 弾むように 悲しいときは 叩きつけるように 春も 夏も 秋も 冬も 雨を受け止めるその屋根は ただ 静かに 薪が濡れないように 守ってる 🍁 バイト、なくなっちゃたんだ。 朝食の席で、新聞配達は今日はお休みなの?と聞いた母に、健太が答えていった。 もう、いいからって。 畑の手伝いとか家畜の世話のバイトもなくなっちゃった…。 間に合ってるからって。 あっちもこっちも断られて はは…計画変更だ。 健太は力なく笑った。 まあ、そうなの。 私の野菜も、買ってくれなくなっちゃって…困ったわね。 母も、ため息をついた。 狭い村だから…良くも悪くも、何かあるたび、みんなで申し合わせたように変わっちまう。みんなが忘れるまで辛抱するしかあるまいな。 だが…どう算段するか。 父の言葉に、悔しい思いが込み上げた健太は、ご飯をかき込むように口にいれた。 猪狩りの日、健太の父が撃たれそうになり危機一髪だったと、またぎ達から聞いて村は大騒ぎだった。 その父を守ったのが、狸だったということが、さらに噂に尾ひれをつけた。 野生の狸が、人を助けるなどあるまいに。 それじゃあ、あれは飼われていた狸だったとでも。 そうとも、いつぞやの狸騒動を覚えとるか? わしらの村ではご法度と、村長まで確かめにいったあれだ。その狸を実は飼っていて、そいつが恩返しに助けに来たんじゃないかってわけだ。 じゃあ、あの時、わしらはまんまと騙されたわけか? それにしても、昔話じゃあるまいに、そんなに狸が律儀に人を助けるか? そうさな。だが、何にしても、狸が助けたのは事実よ。 全くだ。だが、鉄砲で撃たれそうになった人に、わけは何でだと聞くわけにもいかんからな。 なるほど、気の毒だが同情もできんと。狸の恩返しなど証拠もないことで、昔の話を持ち出すわけにもいかんからな。 まあ、遠巻きにようすを見るか。 村人達は、そんな相談をして、健太の家と距離を取ることに決めたのだった。そして、騒動の原因となった一彦の家にも、同じように距離おいたのだった。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 41 森の 小さな広場 朽ちた古木に 寄り添うように咲いた あざみの 優しい くれない 🌱 戸の開く音を聞いて、奥から出てきた健太の母は、胸からスボンまで血だらけの夫の姿を見ると、 キャー!と叫んで、 腰が抜けその場にへたりこんだ。 母さん!どうしたの!! 母の叫び声を聞いて 2階からかけ降りてきた健太も、父の姿を見て絶句した。 何があったの、父さん! そう叫ぶように言うと、裸足で父のもとにも駆け寄り、父の腕を引いて玄関に座らせた。 撃たれたんだよ。 猟師たちに。 命を落とすところじゃった。 たぬ吉が…たぬ吉が…身体をはって助けてくれたんだ。 玄関に腰をおろすと、父は今朝の山で起きた出来事を話した。 本当に、本当に、ご無事で良かった。母は祈るように手を合わせ、涙を流した。 それって、うちだけ回覧板が回ってこなくて、知らなかったってこと! ふざけるな!うちに回覧板を回すのは、一彦ん家だ! 俺、一彦に言ってくる! そう言って怒りで飛び出して行こうとする健太を、父が制した。 待ちなさい。 もし、一彦くんが故意に回覧板を回さずに、わしを危ない目に合わせたなら許せないことだ。 だが、わしが撃たれたときに、身体をはって助けてくれたたぬ吉の事を、なんと説明するかね。 野生のたぬきがなぜ、わざわざ人を助けたと。わしは、ここに来てまで嘘を重ねて、たぬ吉の想いを踏みにじるような事はしたくないんだ。 父の言葉に、 健太は唇をかんでうつむいた。 そうか。 父さん、わかったよ。 答えた健太の握りしめた拳が震えていた。 母は風呂をわかし、 その日、父は仕事を休んだ。 その日、猟師たちは一頭も猪が仕留められなかった。その事を咎められないように、今日山であったことを自分達に都合のいいように、村人に報告した。 村人は健太の父が、猟を知らずに撃たれ、たぬきがそれを助けたと不思議な話を聞いたが、数年前のたぬき騒動を思い出し、助けたたぬきの恩返しかとささやきあった。そして、回覧板を回さなかった一彦の事を噂して、再びよそよそしくなったのだった。 回り回って噂は一彦の家にも届いた。本当かと問い詰められた一彦は、健太の家を飛ばして回したことを父に告白した。 話を聞いた父は、とんでもないことをしたと、一彦を厳しく叱った。だが、その一方で、村人のささやくたぬきの恩返しの話を聞いて、やっぱりたぬきを飼っていたんだと、悔しい想いもしたのだった。 父がいった。 わしは謝りにはいかん。 だがな、一彦、ひとつ間違えば、人の命を奪いかねない事をお前はしたんだ。2度とこんなことを起こさんよう、よく反省するんだ。 激しい剣幕の父に叱られて、一彦は、初めて自分のしたことの重さを知った。本当に健太の父が死ななくて良かった。自分はどんな償いができるだろうと、心から後悔し涙を流したのだった。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 39 夏休みが開け、貼り出された健太の自由研究を見て、畜産や牛肉などに興味を持った同級生も多く、子供から聞いて家で話題になったと、健太は近所の人からも声をかけられた。健太の研究は、地域の審査を経て県に推薦されて賞を受けた。 夏休みの間、獣医の先生のもとで学んだ事で、健太は自分の家には獣医の学校に行く経済的な余裕はないことも知ったが、きっと道はできる、諦めない。と、以前にもまして強く思うようになっていた。 夏休みの後半は、学費の足しにと、健太は隣近所の田畑の仕事や、家畜の世話を手伝った。勉強もでき、体格も良く思いやりのある健太は、仕事も早く重宝され、みんなから一目置かれる存在になっていった。 一方、健太との喧嘩以来、健太をいまいましく見ていた一彦は、両親から運動を勧められ、地元の野球少年団に入った。心の空白をうめるように野球にのめり込んでいった一彦も、もともと体格の良かった事もあり、チームの中で一目置かれる存在になっていった。 秋が過ぎ、冬が過ぎ、村に再び春が巡り、そんな2人も中学生になり、隣町に通うようになった。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 38 す こしだけ もう少しだけ す ぎてゆく 季節を止めて き らきら光る空の蒼を 夏の記憶と一緒に 心の奥に刻みたいから 💎 最終日か 早かったな 自転車を押して登った坂道の上で、健太は一息つくと町並みを見下ろした。穂が出始めたすすきが、朝陽にキラキラと光っていた。 健太の見学最終日。 健太は自由研究をまとめたノートを持参し、診察が終わった先生に見てもらった。 良くまとまってるよ! 短い間に、頑張ったな。 ノートに目を通した先生に褒められて、健太は笑顔になった。 だがなぁ…。と、先生は続けた。 残念な事に、大切な視点が抜けてる。君はなんだと思う? 先生の予想外の質問に、健太はしばらく考えて、お金の事?と答えた。 う~ん、半分当たりで半分外れだ。 牛も豚も鶏も、食用として育てられてるっていう視点も、大切だと思わないかね。 健太くんは、日本国内で育てる肉牛には肥育ホルモン使用を許可されていないけれど、肥育ホルモンを使用した海外の牛肉は輸入が許可されてどんどん入ってくるという事を知ってるかね。 と先生が聞いた。健太が首を降ると先生が続けた。 日本で取り上げるメディアは少ないんだけどね。アメリカやカナダといった北米産の牛肉は、短期間で身体を大きくするために、99%が肥育ホルモン剤を投与されているそうだ。日本では、家畜の肥育目的でのホルモン剤の使用は、1976年に禁止されているのに、輸入はオーケーというダブルスタンダードのような状況が続いているんだよ。 その結果、日本では最低でも25カ月齢くらいまで餌を食べさせなければ出荷できる体重にならないのに、海外の肥育ホルモン剤を使った牛は、20カ月齢ですでに出荷できるくらいの体重になる。そうすると、どんなことが起こると思う? 肥育ホルモン剤を使った牛は、短期間に育つから餌代も安くすむし、飼育できる頭数も多くなるから、コストも大きく削減できる。その結果、海外の牛は安く売ることができ、大切に時間をかけて育てられた日本の牛は、安く買い叩かれてしまうんだ。そんな状況が続いていてね、それが畜産農家の経営を圧迫してやめていく農家が増えているんだよ。 それだけじゃないんだよ。 君は、日本で乳がんや前立腺がんなどの「ホルモン依存性がん」が増加している事は知ってるかい? それが残留肥育ホルモンと関連があるのではないかと研究した結果が、日本癌治療学会学術集会で発表されたんだ。その結果、なんと赤身肉部分で米国産牛肉は国産牛肉の600倍、脂肪においては140倍ものホルモン残留が検出されたというデータもある。 今スーパーの安売りの肉は、海外のものがほとんどだが、食べ物は命の糧になるだけじゃなくて、その選択がみんなの健康を支えてくれる選択だということ、さらには、家畜を育てている日本の農家の人たちを支えて応援している事にもなるんだっていうことに、みんながもっと氣づいてくれたらと思うんだよ。 何も知らない人が、安いからと肥育ホルモン剤を使った肉を選び、お金に余裕がある層はオーガニックスーパーで、肥育ホルモンフリーの畜産物を選んでいる。知るということは、とても大切な事なんだよ。 『hormone free beef』などのワードで検索すると、ホルモン剤や抗生剤の使用についての、たくさんの記事が見られるよ。翻訳機能を使って調べられるから、興味があったら見てみるといい。 そして、先生は続けた。 君の自由研究は、君自身の興味から始まったかも知れない。でも、君のまとめを見た友達や周囲の人が、自分の毎日の食を見直したり、日本の農家を応援したいと思ったり、世界の事も知りたいと思うかもしれない。 獣医の仕事を調べたことが、そんなきっかけになってくれたら嬉しいと思うよ。 先生の話は、驚くことばかりだった。健太は、この一週間に起きたことを改めて思いだし、日本の畜産を守る人になりたいと改めて思ったのだった。そして、ヒゲジイの涙を絶対に忘れないと、心に誓うのだった。 先生は、中学生になって町に通うようになったら、また気軽においでと言ってくれた。 時々は、甘いスイーツもつくかもよ!と看護師のマリさんも笑って言った。 玄関で手を振りながら見送ってくれる2人を、健太は何度も振り返り振り返り家路についた。 夕暮れの道、沈む太陽が一面を鮮やかな光で包んでいく。 よし! よし! と心のなかで繰り返し、ぐん ぐん とペタルを強く踏んで、健太の自転車が山道をかけ降りていった。 🌱 🌿今日のお花 すすき 花言葉 活力 心が通じる 心が通じるって、嬉しいですね🤗 GSでEMIさんに教えていただいて、9月6日にレンゲショウマを見に行ってきました。レンゲショウマ祭りが9月7日までだったので、ギリギリ数輪先のっている花に会うことができ、感動しました。 そして、途中の山々の風景もとっても素敵でした。写真は、レンゲショウマ群生地入り口の展望台からの風景です😊 すすきの穂が✨キラキラ光って、空が青く澄んでとても綺麗でした。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 37 こ ども時代の 夏の残り香 す ぎた日の 青空に揺れていた わた雲のようなコスモス も もう一度 やり直せるなら す んだ空気と りんごの香り 懐かしい あの光のなかで 心を 空いっぱい 開いてみたいと思うんだ 🌿 病院につくと、先生が牛乳瓶に入れた秋桜を、待合室に飾っていた。 おっ、来たか。 初コスモスだよ、可愛いだろう。 マリさんが持っててきてくれたんだ。もう、秋だなぁ。 そう言って、健太の顔を見つめ 大丈夫そうだな と先生はにっこり笑った。 マリさんと、1日のスケジュールの打ち合わせが終わり、積まれたカルテに目を通すと、先生は健太に体を向け口を開いた。 昨日の落ち込みようを心配していたんだが…今日は思いのほか清々しい顔をしてるんでビックリしたよ。 若者は心の回復が早いな! 笑顔の先生にそう言われて、健太は夕べから今朝の出来事の一部始終を話した。 なるほど。 すき焼き かぁ。 君はいい家族に見守られているんだなぁ。 そして、 なぁ、羨ましいよなぁ。 と、マリさんに顔を向けた。 マリさんは、 そうなのよ と相づちを打つと、 先生は駆け出しの頃、牛を助けられなかった時、そりゃあ落ち込んで、何日も大変だったの。 仕事も上の空で… といたずらっぽく笑った。 心を切り替えることは、 簡単なようで難しいんだよ。 たった一人でも、自分を見守ってくれてる存在が、そんな時の支えになってくれる。有りがたいことだ。 そう言って先生に話しかけられたマリさんは、 ほんとよ! 落ち込んだら、甘いお菓子をたくさん買い込む先生を止めるのは、そりゃあ大変なのよ。 そう返すマリさんに、 おいおい、バラすなよ。 と先生が止め、診察室は笑いに包まれた。 その後、先生が真顔になって言った。 日毛さんの所の母牛も死んでしまったそうだ。今朝、お礼の電話があったよ。そして…もう、牛をみんな手離す決心をしたそうだ。 一時、肉牛の飼育は金になって牛を飼うのが流行ったが、今は外国の安い牛肉が入ってきて、国産の牛肉が買い叩かれてしまって大変なんだよ。そこに加えて、今度みたいに死なせてしまうリスクもあるし、大変で畜産をやめていく農家も多いんだよ。 健太くんも知ってるように、日毛さんは、牛をとても大切に育ててこられた。牛の品評会で賞を取ったこともあるんだよ。そんな日毛さんが、畜産をやめてしまうって聞いて、今日は力が抜けてしまったよ。 なぁ、健太くん。 君は肉を買うとしたら、値段で選ぶかね。それとも、品質やそれを育てた人の事を思って買うかね? 今は、みんなが生活が大変で少しでも安いものをと、買う気持ちもわかる。だけど、買うという行動が、日本の農家を応援することに繋がってるって事に、一人一人の選択が集まったら、大きな力にるんだって事に、みんなに氣づいて欲しいと、一人一人とやめていく人を見るたびに祈るような氣持ちなんだよ。 なくなってからでは、もう手遅れなんだがね。豚も鶏も野菜農家もみんな同じ、命を支えてくれる農家が、何でこんなに報われないんだろうね。なぁと、ため息をつくと、先生は机の秋桜をちょんとつついた。 先生の言葉を聞きながら、健太は『買う側の責任と応援』とノートに書いた。そして、この辺の村の人も、みんな年よりばかりだ。もっと、年をとっても続けていけるんだろうか?と書き加えた。 花瓶に飾った秋桜に、陽射しが差し込んで、キラキラ光る診察室に、 さぁ、始めますよ!と マリさんの明るい声が響いた。 今日のお花 秋桜(コスモス) 花言葉・謙虚、調和 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 36 空腹で寝付けなかった健太は、朝早く父の薪を割る音で目がさめた。 時計を見るとまだ5時だった。 父さん、もう仕事してる。 健太は急いで着替えると庭に出た。 柿の木に絡み付いた葛に花が咲いて、葉っぱにかけたクモの巣には、夜露が光ってキラキラしていた。 あぁ、気持ちいいな。 そう言うと、健太は朝の空気を胸いっぱいに吸いこんだ。 父さん、おはよう。 健太が声をかけると おう、起きたか 健太の声に振り向いた父は、割った薪を運んでくれと健太に頼んだ。 カコーン カッコーン 薪を割る音が、朝の空気に響いていく。薪割りが一段落すると、父はザルもって畑に向かい、健太も後に続いた。 真っ赤に熟れたトマト、キュウリ、ピーマン、ナス。ザルいっぱいになると、庭先の水道でトマトを洗い、父は縁側に腰かけて汗を吹いた。 大きなトマトを一つ、健太に渡すと、父も一つかぶりついた。 夕べ食事をしなかった健太が、勢い良くかぶりつくのを見ながら、父は、うまいかと笑った。 一休みすると、父が口を開いた。 夏休みに入って、お前が自由研究や勉強を頑張ってるのを、父さんも母さんも見てきた。隣近所の畑仕事や家畜の世話も手伝って、小遣いを貯めているのも知っている。そんな、お前の頑張りを見ていた母さんが、久しぶりに健太の大好きなご馳走を作ってあげたいと言ったんだよ。 それで、昨日町に出て肉を買ってきた。お前の喜ぶ顔を想像しながら、母さんが、どんな気持ちで夕食を用意したかわかるか?すき焼きは、家計をやりくりして、母さんがお前のために作ってくれたご馳走だったんだよ。 お前がショックを受けた気持ちはわかる。けれど、お前ももうすぐ中学生だ。もう少し、周りを見て、人の気持ちを思いやれるかと思っとったんだかな。 そう言うと、父は優しい目で健太を見つめた。 そうかぁ、僕は自分の気持ちばっかりで、ほんとに周りが見えてなかった。僕は、本当にお子ちゃまだ。 健太は心の中で、昨日、夕ご飯に手をつけない健太を、心配して見つめていた母の顔を思い浮かべた。 母さん、悲しかったろうな。 僕、悪いことしちゃった。 謝らなくちゃ。 それに、食事抜きで、 ご飯が食べられる有り難みが、夕べは身に染みたよ。一晩中、お腹がグウグウなって眠れなかった。 そう言う健太の言葉に、父が笑い声をあげ、健太の頭に手を置いた。 人間は誰も未熟な所がある。大人になっても反省することが次々に出てくるもんだ。だから、氣づいた事を繰り返さないように、忘れないで心がけていくんだよ。 さぁ、母さんに朝どりの野菜を渡してくれ。 父からザルを受け取ると、健太は台所へかけていった。 母さん、ごめんね。 謝る健太に、母は笑顔を向けた。 実はね、あなたの分、取っておいたのよ。そう言って、夕べのすき焼きを温めてくれた。 すき焼きに、満面の笑顔を見せ健太はもりもり食べ、母はそんな健太を優しく見守っていた。 いつしか山鳩の声は止み、蝉時雨が賑やかになっていた。 朝食を食べながら、自分のなかで何かが変わった事を、健太は感じていた。 🌿葛の花 🌼花言葉 芯の強さ、活力、治癒 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 35 どうしたの? お腹でも痛いの? 夕御飯は、健太の大好きなすき焼きだった。いつもなら、大喜びでおかわりをするのに、今日の健太は、箸を握ったままうつむいて食べようとしない。そんな健太のようすに、母が心配して声をかけたのだった。 今日は、先生の往診に連れていってもらったんだ。そしたら、行った先がヒゲジイの家で、牛のお産だったんだ。難産で子牛は…死んじゃったんだ。ヒゲジイが泣いていた。母牛も助からないかもしれないって。ぼく…胸がいっぱいで…ご飯食べれない。 健太は、そう話すと涙を落とした。 健太の話を静かに聞いていた父は、そうか と言うと、 ならば今夜は食べんで良い。 健太の分は片付けなさい。 と母に言った。 母は、心配そうな顔をして、健太の顔と父の顔を交互に見つめていたが、やがて はい と 小さく返事をして、 健太の夕食を片付けた。 片付けられていく食事にぼうぜんとしている健太に、 父は もう寝なさい と言うと、 食事を食べ始めた。 健太は、父と母の顔を見つめていたが、やがて立ち上がると自分の部屋へ戻っていった。 なぜ、怒られた? 日記にそう一言書くと、 健太は天井を見上げた。 なんて日だ!そう呟くと、健太は布団に潜ったが、お腹が減りすぎてなかなか寝付けなかった。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 34 マ っすぐなのは ツヨイ ことだろうか ク るしいとき サ びしいとき どうにもならない 暗闇に 押し潰されそうになるたびに 思い出すんだ この花を 夕方に花を開き 朝方にはしぼんでしまう 1日花なのに ちゃんと種をつける 植物は 話さない 強さを誇ったりもしない けれど したたかに生きて 花を開き 実を結ぶ いのちを繋いでいく そこには いきる意味は何だろうと 考える隙もない 生きること 今日を精いっぱい生きること それ以上に 大事なことはないと 花に問われる思いがするよ 夕方の畦道を帰りながら、 父が呟いた。 こうして畦道に並んで咲いてると綺麗だなぁ。母さんは、この花が好きだと言うが、摘んで帰っても花が終わってしまうんだよ。 そう言って父は笑った。 マツヨイグサは、夕方に花をつけて、朝方にはしぼんでしまう。それは、生き残るためなんだ。何でわざわざ夕方にって思うだろう?競争率の激しい昼間を避けて、夏の季節の夕方に活発に活動するスズメガという昆虫にピンポイントに照準を絞って、受粉を頼って、この花は咲くんだよ。凄いと思わないか。 もとは昼間に咲いてた花かもしれない、しかも、この土に根を張ってるのに、どうやって、夕方に活発に活動するススメガの生態を掴んだか。そこから、どうやって夕方に咲く仕組みを作ったか。植物にだって、そんなことができてしまうんだ。人なら、もっとできると、道を開けると思わないか? そもそも、みんなが日の出と共に咲くのに、あえてススメガに照準を絞って夕方に咲く道を選ぶなんぞ、なんと意思の強い凄いことだと思わないか?この花は驚くばかりだ。 生き延びるのは、戦うことだけじゃない。周りを観察して、自分だけの知恵を使って、他にはない道を作る。そこに進むと決めたら、強く柔軟に変わっていく。逆境の時も、そこが分かれ道なんだよ。 あの夏の日の父の言葉を 思い出す。 父さん 僕の花は どう咲いたら良いだろう。 僕はまだ 道の途中だ 健太は、小さなマツヨイグサにそっと触れて、呟いた。 🌿今日の花 マツヨイグサ この花のことを知ったら、宇宙人かと思うほど、驚きでした😅 そんな思いをこめて、今回のたぬき桜は、マツヨイグサバージョンです 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 34 病院に戻ると、看護師のマリさんがコーヒーを入れて、お疲れさまでした と出迎えてくれた。 部屋いっぱいに広がったコーヒーの香りに、 おっ、気が利くなぁ と先生が微笑んだ。 先生が顔を洗う間に、 はい、健太くんも。 そう言って、健太の分もコーヒーを入れてくれた。 お前も顔を洗え、そう言って先生が投げてよしたタオルを受け取ると、健太も涙で濡れた顔を洗った。 はい、お二人さん。 ビスケット、特別サービスよ。 そう言って、マリさんがビスケットを出してくれた。 おぉ、これは好物のビスケット!マリさんの魔法がかかってるから、元気になるぞ!そう言って、ビスケットをつかむと先生が笑った。 マリさんは先生の言葉に微笑むと、 診察まで、あと30分です。一息いれたら、今日の打ち合わせを始めますからね。 と言って、隣室へ戻っていった。 先生は、コーヒーをのみ終わると、ショックだったかい?と、健太に聞いた。 黙って健太が頷くと、 日毛さんは、そりゃあ、子牛が産まれるのを楽しみにしておられた。 牛の子が生まれたら、やっと家の屋根を直せると、そんな話も嬉しそうにしてね。 ここのように山間部の農家は、田畑の収入も少ないから、牛や豚や鶏は大切な収入源になっている。そんな中、母牛も子牛も一度になくしてしまって…日毛さんのショックはさぞ大きいだろう。健太くんも知ってるだろうが…日毛さんは、そりゃあ、牛を可愛がっていたからね。これからどうやって生計を立てていくかも、考えなきゃならない。 どれ程辛いことか。 そう言うと、先生はじっと健太を見つめていった。 健太くん、知ってるかね。 獣医の自殺率は人間を診る病院の医者の約4倍とも言われてるんだよ 獣医は、重病や瀕死の動物を診る機会が多くて、日常的に死と向き合わざるを得ないんだ。 今回のように、何ヵ月も飼い主と誕生を楽しみにしてきた命を、なす術もなく助けられない時もある。 どんなに誠実に治療しても、快復しなかったりなくなってしまうと、飼主からの感情的なプレッシャーも大きなストレスとなることもある。 そして、時には予後不良の動物に、安楽死の判断を下さなければならない時だってある。 獣医は動物の命と深く関わる仕事だから、24時間365日心の休まる時間も少なくて、無力感や罪悪感に悩むことが日常的にあるんだよ。 それでもね、この仕事は嬉しいこともたくさんある。僕はね、物言わぬ動物たちの優しい目が大好きなんだ。子供の頃、僕と一緒に育った大切な犬が死にそうになってね、その時寝るまも惜しんで治療に当たってくれた獣医さんに感動して、獣医になろうって決めたんだ。だから、その時の思いを、ずっと忘れないでいたいと思ってるんだよ。 そう言うと、先生は立ち上がった。 健太くん、伸びをしてみたまえ。 日頃あまりしない動作だが、こうして伸びをすると、縮こまっていた心も伸びるんだ!やってごらん。 先生に言われて、隣で健太も大きく伸びをした。 先生は、はははと笑うと さぁ!午後の診察だ。 気合いをいれて始めるぞ! と、診察室に向かっていった。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝 🌸花は、レンゲショウマです。 EMIさんに教えていただいて、土曜日にレンゲショウマを見に行ってきました。 御岳山のレンゲショウマ祭りは、 昨日日曜日まででした。 花はもう終わりに近かったですが、まだ咲き残ったレンゲショウマに出会うことができました。 初めてみる可憐な花に、 すっかりファンになりました💖
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 33 翌朝早く、先生に連れられて健太は、再びヒゲジイの家に向かった。 牛舎に着くと、横たわった牛の横にヒゲジイが座っていた。 先生の姿を見つけると、ヒゲジイは立ち上がりお辞儀をして言った。 朝早くに、ありがとうございます。 明け方に…息を引き取りました。 一晩そばについとりましたが、 なんにも なんにも… してやれませんでした。 どうぞ、最後をみてやって下さい。 そう言って先生に頭を下げた ヒゲジイの頬に、 一滴涙が伝った。 先生は そうでしたか というと、牛の診察をはじめ、 残念でした とヒゲジイに頭を下げた。 先生の目にも涙が光っていた。 この子は、気性が優しくて、人懐こい牛だった。子牛もよう産んでくれて…わしらの生活を助けてくれた。牛小屋に来ると、すり寄ってきて、わしの手をペロペロなめて。そりゃあ、可愛くて家族のような存在だった。 この牛の出産を、子が産まれる日を、ほんに楽しみに過ごしてきた…。この子の存在が、どれほど生活の張り合いになっとったか。まさか、こんなことになるとは、つゆにも思っとらんで…。 そう言ってヒゲジイは泣いた。 大人が泣く姿を、ましてや大好きなヒゲジイが泣く姿をはじめて見た健太は、胸が締め付けられるような氣持ちだった。 ヒゲジイのそばにしゃがんで、静かに話を聞いていた先生は、 役に立てんで申し訳なかった。 と頭を下げた。 私は診察があるから、これで帰ります。もしも、なんかあったら、遠慮なく電話下さい。 先生はそう言って、立ち上がった。 ヒゲジイも立ち上がると、袖口で涙をぬぐい、ありがとうございました。と深々と頭を下げた。 病院に戻る車のなか、先生は無言だった。健太も、泣くまいと歯を食いしばって、窓の外を見つめていた。 🐄 🏷️たぬき桜 🏷️so・raの小さな物語 🏷️健太の冒険 🏷️GS繋がりに感謝 今日のお花 千日紅
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