百合…
風にそよぎ、ひっそりと気高く咲く百合の花は、昔から洋の東西を問わず愛されてきた。
また、食用或いは薬用として利用された歴史がある。
オニユリ、スカシユリ、テッポウユリ、ヤマユリなど日本には百合の種類が多く古代から鑑賞されてきた。
古事記や日本書記 には、佐由利(さゆり)、左由利(さゆり)、山百合草(やまゆりぐさ)などと記された百合に関する記述がある。
また、万葉集の中には、短歌、長歌を合わせて十種を超える百合の歌がある。
物語や和歌、俳句などに詠まれる百合は日本人の心に訴えかける可憐な花であった。
長く野の花として愛された百合が切り花として鑑賞されるようになるのは、室町時代からだという。
栽培がやや難しかったのか園芸品種の改良が進むのは江戸後期以降であった…
与謝野晶子が百合を歌い
夏目漱石のそれから にも百合の花が現れている。

世界の花の文化史を訪ねてみると、百合は世界で最も早くに知られた花であり、西洋では薔薇と並び紀元前から人間と関わってきた花であることが解る。
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ギリシャ神話では、ゼウスの妃ヘラの乳が飛んで地上に滴ったところから百合が生じたという。
ローマ神話でも百合は女神ユノの聖花として讃えられ、希望の象徴、また王位継承者の印でもあった。
新約聖書…マタイ伝第六章には、野の花がどうして育っているか、考えてみるがよい、働きもせず、紡ぎもしない。しかし、あなたがたに言うが、栄華を極めた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかったとある…
この場合の花とは百合をさしており、美しい花のシンボルとして書かれている。