怖い話 第伍夜 ※苦手な方はスルーで。



これは、あたしが多分小学生か中学生の頃のお話です。

ある朝あたしたち兄弟が起きてご飯を食べてると、祖母が、


昨日危なかった！火事になるところだった！！と、黒焦げの缶を持ってきました。


何があったのかと言うと


昨日祖母が寝てる時、家が火事になり、すごい炎で家族で逃げ回り、泣き叫んでた夢を見たようなんです。

あまりに悲惨な夢に目を覚ました祖母は
突如、鼻をつく焦げ臭さに気づき、かなり慌てふためいたそうです。

でも、焦げ臭いのにどこを探しても火元が見つからず、祖父も起こして2人で家中探してたんだそうです。※うちの家は特殊な作りなので、母屋に寝る祖父母と、両親とあたしたち兄弟は住まいが離れていました。


しばらく探していると、積まれた新聞とチラシが少し焦げてるのを見つけ、これか！と思い、新聞とチラシを退けると、その下に黒焦げの缶があり、またその下に電熱線コンロが電源が入った状態で、赤くなっていたそうです。


どうやら昨晩、曾祖母が何かの電源と間違えて、使っていない電熱線コンロの電源を入れた様なんです。電熱線コンロは、スイッチがなくコンセントを挿せば電源が入るタイプだった為、こんなボヤ騒ぎになってたみたいです。


祖母が
この缶がコンロの上に置いてなかったら、新聞に火がついて、火事になるところだった！！と、大切な物を扱う様に黒焦げの缶を洗っていたところ

うわぁぁっっ！！と声をあげました。

あたし達が見に行くと、その缶は



大仏さんの写真の入った、臼杵煎餅の缶だったんです。


祖母がそれから、その缶を大切に保管し始めたのは言うまでもありません。






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