醜男さんのウワミズザクラ,上溝桜,アンニンゴの投稿画像

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2022/07/21

上溝桜(ウワミズザクラ)／波波迦(ハハカ)

バラ科ウワミズザクラ属の落葉高木。山野のやや湿った場所に自生し、庭木にもされる。花期は4～5月。白いブラシのような花が木全体を覆う。果実は核果。径8㎜ほどの卵円形で先が尖る。8～9月に赤から黒に熟し甘酸っぱい。白い花の蕾や若い果実の塩漬けは『杏仁子／杏仁香(あんにんご)』と呼ばれ、杏仁豆腐のような甘い香りが発生する。香り成分はアンズとおなじベンズアルデヒド。樹皮は桜皮細工に使われる。

昔、ウワミズザクラの木材の上に溝を彫り、占いに使用したため『うわみぞざくら』と呼んでいたものが転訛したのが名前の由来。溝を彫っていたのは亀の甲羅や鹿骨であって、ウワミズザクラの木材は占いに使う火の燃料として使ったとの説もある。古式の占いでは海亀の甲羅や鹿骨の裏側に傷(溝)をつけておき、ひび割れた場所で吉凶を占った。また、古事記には波波迦(ハハカ)という木が占いに用いられていたとある。波波迦はウワミズザクラのこと。昭和天皇が即位の時の大嘗祭に際し、古式に習い波波迦が採用されることになり、対馬の亀卜家で使用する波波迦を取り寄せたところウワミズザクラと分かった。

出典『都会の木の花図鑑』『里山の花木ハンドブック』『樹木の名前』