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芙蓉は昔から“美人”の代名詞として例えられる、美しい花を咲かせる低木です。夏を代表する花木として親しまれ、日本では室町時代から観賞用として愛されてきました。花が枯れても美しく、その姿は“枯れ芙蓉”と呼ばれ、長く楽しめるのが魅力です。
今回は、そんな美しさが人気の芙蓉の育て方をご紹介します。
芙蓉は7〜9月ごろに薄い花びらの多輪の花を次々とさかせます。特徴的なのは花びらの色の変化です。紫外線の量などによって白、桃色、赤色と姿を変えていき、一日でしぼんでしまいますが、次々と咲かせるので長期間楽しめます。
3mほどに育つ低木なので、庭木にするか、10号鉢など直径30cm以上の大きい鉢で育てるとよいでしょう。
芙蓉は暖かい地域の植物なので、日当たりがよくてやや湿り気がある場所を好みます。寒さはやや苦手なので、冬の乾燥した風が当たらないようなところが良いでしょう。よく日光に当てて育てることで、花つきが良くなり元気に育ちます。
芙蓉は生命力が強いので、地植えの場合はとくに水やりをする必要がありません。長期間雨が降らず、乾燥ぎみのようであれば水をあげてください。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりあげてください。ただし、冬の休眠期は全体の土が完全に乾いたら、水をあげるようにしましょう。
芙蓉は乾燥に弱い植物ですので、水もちがよい用土が適していますが、水が地表に長くたまらない水はけの良さもあるとよいです。地植えの場合は、植え付けの2週間ほど前に土を掘り起こして、苦土石灰で酸性度合いを調節しておくとよいでしょう。鉢植えの場合は赤玉土6:腐葉土4の割合がおすすめです。
また、芙蓉の乾燥を防ぐため、株元を藁(わら)などでマルチングしてあげるとよいです。
芙蓉を植え付けるときに、元肥として緩効性化成肥料を混ぜておくと良いです。12月ごろに寒肥として株元に油かすなどを施すと、春の育成期に向けての準備ができます。また、新芽が出る4月ごろに株元に緩効性肥料をあげましょう。
7月以降の花が咲いている期間は、リン酸の含まれた液体肥料を1週間に1度程度あげると、よく開花するようになります。
芙蓉の種まきは、秋にできる実から採取してすぐの、10〜11月がおすすめです。
実から種を取り出して、周りについた果肉は水で綺麗に洗い流し、一晩水に付けてください。育苗箱などに赤玉土5:ピートモス5を混ぜた土をいれ、指で溝を作っていきます。
種の表面に薄い傷をつけてから、重ならないようにすじまきしていきましょう。5mmほど土をかぶせて、乾燥しないように水をあげて半日陰で管理してください。
発芽したら苗を間引いて、本葉が4〜5枚にまで育ったら育苗ポットに移しましょう。
芙蓉を植え付け・植え替えするには、3月中旬〜5月中旬の暖かい時期がおすすめです。
地植え・鉢植えともに、苗鉢より一回り大きい植穴をつくり、前述の用土・肥料を混ぜて耕した土に、苗を植え付けてください。このとき苗についた土は落とさずにそのまま植えましょう。隙間を土で埋めていき、株元の土をやや山高に盛って植えたら、水をたっぷりあげてください。
芙蓉のカイガラムシ、アブラムシ、カミキリムシが発生しやすいです。よく葉の表面や裏側を観察し、薬剤やブラシなどを使って駆除してください。また、丸まっている葉が見られる場合、中にハマキムシという害虫がいる可能性があるので、取り除くようにしてください。
病気はほとんどありません。
芙蓉は種まき、挿し木によって増やすことができます。
3〜4月に新芽をつけた枝を15cm程度切ります。先端の葉を5枚ほど残して、他は全て切り落とし、切り口をV字にカットして2時間水につけます。赤玉土をいれた鉢に枝を挿して、全体にビニール袋を被せて密封状態にして挿し木は完了です。
あとは土が乾かない程度に水をあげて、日陰で管理してください。1ヶ月ほどで発根するので、枝を持ち上げて抜けない程度に育ったら植え替えしてください。
芙蓉の花言葉には「繊細な美」「しとやかな恋人」などがあります。薄い花びらや、繊細な色の変化を楽しめる、芙蓉らしい花言葉ですね。
芙蓉は排気ガスにも強いので、車通りの多い道路に面したお家でも、安心して育てることができますよ。日当たりと乾燥に注意して育てれば、初心者でも簡単に育てられます。ぜひ育て方を覚えて、夏の美しい花々を楽しんでください。
GreenSnap編集部