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ボケはバラ科ボケ属の中国原産の花木で、身近な品種に朱色で一重の花を咲かせるクサボケがあります。盆栽としても人気で品種改良が重ねられ、八重咲きや複色の花を咲かせる品種など、現在では200種以上あります。
また、地植えできる低木で、枝にあるとげによって侵入を防げることから生垣にもよく使われています。今回はそんな身近なボケの木の育て方を紹介します。
ボケの植え付け時期は9〜10月が適期です。
地植えの場合は、日当たりがよく風通しのよい場所を選び、根鉢より一回り大きい植え穴を掘ります。掘り出した土に腐葉土や堆肥などを混ぜこみ、根を傷つけないように株を穴に入れ土を戻します。
棒で根の周囲をつついて馴染ませたら、たっぷりと水やりをしてください。倒れ防止のために、支柱をたてるとよいです。
ボケの木は年中日当たりと風通しのよい場所を好みます。耐寒性があり、どの土壌でも育つので初心者でも育てやすい花です。
鉢植えでも育てることはできますが、冬も屋外に置いて育てるようにしましょう。ボケの花を部屋で楽しみたいときは、数日の間であれば問題ないでしょう。ただし、このとき暖房があたらないように注意してください。
ボケは植え付けから根付くまでを除いて、基本的に水やりは不要です。
ただし、真夏で乾燥しすぎるとつぼみが落ちることもあるので、土の様子を観察し乾燥しているようであれば、たっぷり水やりをします。
鉢植えの場合は、土を触って乾燥しているようであれば水やりをします。水は鉢の底から水が出るくらいの量をやります。夏は1日に1〜2回必要ですが、春秋は1回、冬は数日に1回で十分です。乾燥しすぎには注意しましょう。
地植えのボケの肥料は、1〜2月に寒肥として緩効性肥料を置肥します。寒肥(かんごえ)とは、これから根や枝を伸ばすため冬に施肥する肥料のことです。
また、9月にも緩効性肥料を与えると、実が大きくなり採取できます。ボケの根元の周りに穴を掘り、根に当たらず根元から栄養分を吸収できるように、数握りほどの肥料を土に混ぜます。
鉢植えのボケの木には、花が終わったあとの5月にお礼肥を、さらに6月と9月の計3回、緩効性化成肥料を株元に与えてください。
ボケはどの土でも育ちますが、水はけがよく、かつ湿り気のある肥えた土壌を好みます。ボケの木を庭植えにする場合は、腐葉土や川砂を混ぜ合わせ水はけをよくします。
鉢植えの用土は、市販の庭木培養土や小粒の赤玉土5:腐葉土3:川砂2の配合土がおすすめです。川砂ではなく鹿沼土や小粒の軽石を混ぜ合わせてもいいでしょう。
鉢植えのボケの植え替え時期は9〜10月頃です。根詰まりしないよう、2年に1度行いましょう。
植え替えの際は、根を傷つけないようていねいに堀り起こし、周りについている土を落します。古い根を1/3ほどカットしてから、根が張りやすいように一回りほど大きい深めの鉢に植え替えます。
根頭がん種病は、土に菌がいて土から感染する病気で、根が菌により膨らみこぶ状になってきます。とくに春の植え替え時期にうつりやすいので注意が必要です。この病気になると治りにくく、ほかの木にも感染する恐れがあります。病気にかかったボケの木は根がついた土も一緒に捨てます。
赤星病は、春の温かい時期に発症するケースが多く、葉の表面に黄色い斑点ができ、そこが厚くなってきて次第に赤褐色になってきます。さらに病気が進行すると、赤星病ができた部分から白い毛状のものが生えてきて、褐色の胞子がつくと7月ごろから放出します。
赤星病になるとボケが枯れるため、感染した葉をつみとり、予防として週に1回ほど殺菌剤をまきます。
ボケの木につきやすい害虫は、アブラムシやカイガラムシ、グンバムシなどです。枝が茂って風通しが悪いとつきやすいので、剪定したり、手袋やつまようじで傷つけないようにとりましょう。
アブラムシは黄緑色の1cmくらいの虫で、葉や幹から栄養を吸いとり木を弱らせます。カイガラムシは2mmくらいの丸い白い虫で枝、茎、葉などにつきます。とくに3~5月ごろにつきやすいので注意しましょう。
グンバイムシは、3~5mmの大きさで平たい形です。葉の裏につき、葉から栄養を吸い取るため、葉が枯れていきます。グンバイムシがいると葉に白い斑点や黒い糞があります。早めに株元に粒剤を置くなど駆除剤で対処しましょう。
ボケの増やし方には、「挿し木」や「根伏せ」、「種まき」などの方法があります。なかでも、ボケの木は挿し木が簡単でおすすめです。
6月または9月ごろに、ボケの木を10~15cmほどの長さにカットし、2〜3時間ほど水につけます。その後、水を十分に含ませた挿し穂を小粒の赤玉土に挿します。
挿し木した苗は、日陰の風が当たらない場所で管理し、乾燥しないように気を付けます。
根伏せにする場合は、5〜10㎝ほどの太め根をカットします。用意した根を赤玉土の上に横に置いて、上に隠れるくらいに土をかけて水をたっぷり与えます。
種まきは、秋にできたボケの実を水洗いして果肉を落すと、7mmほどの種が50個ほど採れます。その種を袋につめ、芽が出ないように冷蔵庫などで保存し、2月ごろに2cmほどの間隔をあけて赤玉土に種をまきます。
薄く覆土したら、たっぷりと水やりをして完了です。暖かくなったころに芽が出てくるでしょう。
ボケの剪定は5〜6月と11月に行います。とくに11月の剪定は、翌年花芽がつくのを促します。ボケにはとげがあるので、剪定の際は気をつけて作業してください。
5~6月頃は、花が咲いたあと枝が増えて風通しが悪くなりやすく、病害虫が発生しやすなります。そのため、花が終わったあと古い枝を根元から剪定します。花芽を切り落とさないよう注意して、伸びすぎた枝を根元から3cmほどのところでカットします。
また、11月頃も枝が伸びてくるので、5〜6月と同じように剪定します。丸い花芽が根元の近くについている枝は、根元から10cmほどにカットしてください。花芽が付いていない枝は根元1cmくらいでカットします。
ボケの花は梅のようにかわいいので、盆栽として親しまれることも多いです。
ボケを盆栽の場合も、日当たりのよい屋外に置きましょう。土が乾燥すると、葉が落ちることがあり、細い根が傷むことがあるので、土が乾かないようにたっぷり水やりをします。
ボケ盆栽の肥料は、3〜10月の間は1〜2か月に1度ほど、有機質肥料を固形にしたものを与えます。
剪定は、9月ごろに付け根の近くに花芽ができるので、10〜11月に剪定して枝ぶりをよくします。花芽の上にできる葉目を数個残して剪定しましょう。また、株元から生えてくるひこばえは、密集して風通しが悪くなるため、細いものはカットしてください。
剪定のほか形を整えるために、6月頃に針金をかけることもあります。
ボケの花言葉は、ボケが庭木によく使われた低木であることから「平凡」という意味がつけられました。また、ボケを家紋として織田信長が使ったことから「先駆者」という花言葉が用いられました。
それ以外にも「早熟」、「妖精のかがやき」、「指導者」、「熱情」、「退屈」、「魅惑的な恋」などという花言葉もつけられています。
古くから庭木として親しまれてきたボケの花は、現在でも様々な種類を庭木や盆栽、鉢植えなどで楽しまれています。日当たりがいい風通しの良い場所に植え付けて、乾燥しないように水やりをすれば、2月中旬~4月下旬ころにかわいい花が咲きます。
また、ボケの実には、利尿作用があり、漢方薬として利用されています。また、ボケジャム、ボケ酒にも加工して楽しめます。
ぜひボケを盆栽や庭木にして、花や実を楽しみませんか。
※トップ画像はみちぇさん@GreenSnap
GreenSnap編集部