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万両(マンリョウ)は、漢字で万両と書き、お金にまつわる縁起の良い木です。日本では古くから園芸品種として親しまれてきました。濃い緑の葉と果実を付ける花木であり、この葉と果実が冬のお庭にとても映えるので今でも和風のお庭やシェードガーデン、盆栽などの鉢植えでも栽培されています。今回は、そんなマンリョウの育て方についてご紹介します。
マンリョウの育て方は、育てる場所と水やり頻度が大切になります。
マンリョウは、耐暑性はありますが、耐寒性はやや弱い性質を持ちます。場合によっては−5℃の環境でも育つことはありますが、できるだけ寒気の当たらない半日陰で育てましょう。関東よりも北の方の地域では、鉢植え栽培がおすすめです。
また、水やり頻度も強弱をつけて、水切れや乾燥に注意してください。
マンリョウは強い日差しを嫌います。基本的には、西日などの強い直射日光を避けた、明るい日陰や半日陰となる場所で育てましょう。
また、マンリョウは湿り気のある土と風通しの良い場所を好みます。そのため、地植えする場合は、なるべく風通しが良いかつ水もちの良い場所に植え付けましょう。
もともとマンリョウの自生地は暖地で、寒冷地などは栽培には向いていません。0℃前後まで耐えることはできますが、なるべく冬の冷たい風に当たらないようにしてください。
マンリョウを育てるときは、少量の有機肥料を混ぜ込んだ水はけと水持ちのよい土を用います。
腐葉土などの落ち葉や木の破片などを完全に枯れさせて、土壌の微生物により分解された物質が多く含まれている用土や、保水力があり、排水性にも特化するような土が良いです。
鉢植えで育てる場合は、「赤玉土8:腐葉土2」に少量の有機肥料を元肥として施したものを配合した土でも構いません。
マンリョウは苗木から植え付けるのが一般的ですが、種まきからでも育てることができます。
マンリョウを種まきから育てる場合は、4〜5月に実を収穫し、採りまきします。実は果肉を取り除いて、取り出した種が完全に乾かないうちにすぐ蒔くことがポイントです。
種まきから発芽までには、3〜4ヶ月かかります。果実が成る木にするには、4〜5年はかかると考えておいてください。
マンリョウの植え付けは、4〜5月頃もしくは9月頃が適期です。
地植えにする場合は、4〜5月頃の植え付けがおすすめです。直射日光が当たらない日陰かつ、ある程度湿り気があり、風通しの良い場所をなるべく選びましょう。
植え付けのあとは、支柱を立てて苗木が倒れないようにしておくのがポイントです。
地植えで育てる場合は、特に水やりを行う必要はありません。ただし、植え付けを行ったときは、しばらく土が乾いていたら水を与えるようにしてください。
鉢植えで育てるときは、3〜4日に1回ほど水をたくさん与えます。鉢植えでは、極度に土を乾燥させてしまうと、葉の先端から枯れていって生育も衰えてしまうことがあります。ただし、反対に土中をじめじめとした湿気の多い状態にしすぎても、根腐れを起こし枯れてしまう場合があります。
鉢植えの場合は、水やりの頻度には強弱をつけてください。基本は土が乾いてからたっぷりと。水切れにならないようにに注意しておいてください。
冬でも同じく土の表面が乾いてから水をたっぷりやりましょう。この時期は、早朝や夕方以降は、水やりした水が凍る地域もありますので水やりのタイミングには気をつけておいてください。
地植えでも鉢植えでも、マンリョウにはそれほど肥料を与える必要はありません。肥料を与える場合には量は少量にしておいてください。
株を大きくしたいときは、実が終わった頃(2〜3月)に緩効性化成肥料もしくは油かすを、追肥として施すと良いでしょう。
鉢植えの場合は、化成肥料でも良いですが、固形の有機質肥料を使用すると化成肥料に比べてじっくりと効いてきますので良いでしょう。
マンリョウの実がなる時期は、11〜3月頃です。この時期になると、小さな丸い実が枝先からぶら下がるようにつきます。赤い実が有名ですが、白や黄色の実もあります。
ちなみに、よく似ているセンリョウの実は、枝の上にのるようにつきます。
マンリョウの開花時期は、7〜8月頃です。この時期になると、花びらが4つに裂けてそり返った筒型の白い花を咲かせます。花は房状につきます。
マンリョウを地植えしている場合は、特に植え替えは必要ありません。
鉢植えの場合は、2〜3年に1度の頻度で、一回り大きいサイズの鉢に植え替えを行ってください。植え替え時期は、4〜5月頃が適期です。
マンリョウの細い根は少ないため、根を傷つけたり切ったりしないように気をつけて作業してください。また、斑入りの品種で根が回っていないものがあれば、大きさが同じの鉢に植え替えても問題ありません。
マンリョウは基本的には剪定は不要です。
ただし、間延びして樹形が悪くなっている場合や、挿し木や取り木をする場合は、4年に1回程度の頻度で剪定してください。伸びすぎた枝や混み合っている箇所を切り落としましょう。
剪定時期は、実が終わった4月頃が適期です。このときあまり深く切り戻しすぎると、その後の花や実がつきにくくなるので注意してください。
マンリョウは強い直射日光に当たったり、土が乾燥してしまうと、葉が枯れたり、実つきが悪くなってしまうことがあります。日当たり加減や、水やり頻度にメリハリがあるかを再度確認してみてください。
また、マンリョウは連作を嫌うため、鉢植えの場合は2〜3年に1回程度は新しい土に植え替えます。
マンリョウは丈夫なので、葉や実の状態が悪くても、株元が枯れていなかったり、根がしっかりしていれば、充分また復活することがあります。
マンリョウの増やし方には、「種まき」や「挿し木」「取り木」などの方法があります(種まきは前述を参照ください)。
挿し木の時期は、5〜7月頃が適期です。
取り木の時期も、5〜7月頃が適期です。
なお、マンリョウは基本的に剪定を行ってから、挿し木や取り木を行います。
そのため、思いきり剪定をすると花や実のつきが悪くなる可能性があるため、初心者の方は「取り木」の方がおすすめです。
マンリョウは、環境が整っていれば病害虫を気にかける心配はありません。
ただ、風の通りが悪い環境で生育しているとカイガラムシの被害に遭う可能性があります。見つけたときはブラシやヘラなどでこそげ落として駆除することができます。
大量発生してしまった場合は、カイガラムシに効く薬剤を撒いて退治してください。5月頃から発生し始めるので防除するためにも先に薬剤を散布しておくことをおすすめします。
マンリョウは「万両」と漢字で書き、お金にまつわる縁起の良い樹木として有名です。
縁起木としてよく植えられており、お正月に果実をつけたマンリョウが売られています。「両」は日本の近世に使われていた金貨の通貨単位として使われていました。
日本でも広範囲で自生している植物なので、親しみある方も多いでしょう。赤い実ががサクランボのようにぶら下がってなる姿が可愛らしいので、鑑賞用として重宝されてきました。比較的育て方も簡単ですので、ぜひおうちで育ててみてください。
お金にまつわる樹には「万両」の他に「千両」や「十両」という名前の植物もあるんですよ。興味のある方はそちらも合わせて調べてみて下さいね。
松原真理子
GreenSnap編集部