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スナゴケは星砂のような姿をした小さな葉が特徴の苔の一つです。繊細な見た目に反して、とても強く丈夫な苔で、庭に植えたり、テラリウムにして楽しまれるなど人気です。
今回はそんなかわいらしいスナゴケの特徴や育て方、楽しみ方などをご紹介します。
スナゴケとは、シッポゴケ目ギボウシゴケ科の蘚類です。スナゴケ(砂苔)という名前の通り、砂池や岩池などの水はけや日当たりが良好な場所を選んで自生します。都会でも、日陰気味のアスファルトなどで見ることができます。
直射日光や暑さ寒さにも強く、苔の生育環境として厳しいといわれる屋上の緑地素材としても利用されており、ヒートアイランド現象の抑制に期待されています。
スナゴケとよく似た苔にゼニゴケがあります。スナゴケとゼニゴケの違いは、生育環境の違いです。
湿度が高く常に湿った環境を好むのがゼニゴケ、湿度が低く水はけと日当たりのいい場所を好むのがスナゴケです。ゼニゴケは地面にへばりつくように平たく繁殖します。繁殖力がとても強いため、放っておくと爆発的に広がります。
ゼニゴケは湿気の多い場所に発生するため、虫やミミズ、ナメクジの発生する原因にもなります。庭の厄介者として駆除されることが多いのですが、苔には一般的な除草剤が効かないため、駆除の方法に気をつけなければいけません。
苔専用の除草剤が販売されています。使用する際は、他の植物への薬害の影響もありますので、注意するようにしましょう。
スナゴケは日光を好むので、日当たりの良い場所に植え付けましょう。室内で管理するときは、光源の下に置くようにして光を確保してあげると上手に育てることができます。
スナゴケは湿度が高い場所が苦手なので、砂混じりの水はけのいい土をつくることがポイントです。しかし、水はけのよすぎる土だと大雨や散水で苔が動いてしまい苔が生育しないので注意が必要です。
庭土を耕してから、川砂を混ぜたあと、ピートモス、バーミキュライトを少量混ぜ、よくならして土の表面を平らにします。
赤玉土の小粒も水はけがよく苔の育成には適しています。ピートモスは保水性が高いのであまり多量に使用しないようにしましょう。
スナゴケ栽培用の土を自分で配合するときは、黒土5:川砂3:バーミキュライト2:ピートモス1をよく混ぜて、用土の表面を平らにします。
スナゴケの水やりは1週間に1回程度のペースで、早朝か夕方の涼しい時間にたっぷりと与えるようにしましょう。直射日光の強い時間に水やりをすると、スナゴケの内部で蒸れを起こして弱ってしまうので避けましょう。
特に夏場は蒸れによって茶色く変色してしまうので、なるべく夜か早朝にお水を上げるようにしましょう。
スナゴケの植え付けに適した時期は、5月〜6月、9月〜10月です。庭に地植えする場合は、適度な日当たりと風通し、水はけの良い場所を選びます。庭に植え付ける場合は、苔マットを使用すると簡単です。
苔を植え付けた後は目土をするようにしましょう。目土は苔と苔の隙間に砂や微塵が入り込むように苔全体に目の細かい土を振りかけるようにします。そうすることで苔が活着しやすくなり、成長を促しやすくなります。
スナゴケを増やす場合は「まき苔法」がおすすめです。苔を小さくほぐして種のように土に撒く方法です。
まずスナゴケを充分乾燥させてから、手で揉み砕いて粉砕します。これを川砂の上に薄く敷き、半日陰の風通りの良い場所におきます。毎日の水やりは必要ありませんが、芽が生えそろうまでは、土が乾燥しないように気をつけながら管理しましょう。
スナゴケは胞子で増えるため、花を咲かせることはありません。胞子を形成・収納している胞子嚢(ほうしのう)が花のように見えるため、苔の花と呼ばれることがあります。
スナゴケは鳥や猫の糞尿がかかってしまうと、茶色く枯れてしまいます。回復には一年ほどかかってしまうため、新しく植栽し直すことがおすすめです。
また、水のあげすぎで苔の内部が蒸れてしまったり、乾燥しすぎると、葉が茶色くなって苔自体が弱ってしまいます。乾燥には強いですが、葉が閉じてきた時はたっぷりと水分を与え、日当たりがよく風通しの良い場所に移動させましょう。
スナゴケは日光に強いため、庭に植えて比較的簡単に増やすことができます。上から見ると星屑がひしめき合っているように見えて愛らしい姿を見せてくれます。
保水機能はありませんが、スナゴケを盆栽や苔玉の土を覆うようにして貼り付けると、こんもりと緑が覆う美しい盆栽になります。
スナゴケを苔玉に使用する際は、乾燥した状態でしっかりと土に巻きつけてから水をあげるようにしましょう。先に水をあげてしまうと苔同士がほぐれやすくなり巻きつけづらくなってしまいます。
スナゴケはジメジメした場所が苦手なので、湿気のこもる容器での栽培にはあまり向いていません。テラリウムで楽しみたい場合は、オープンタイプの容器を使用することがおすすめです。
スナゴケと同じく比較的乾燥に強いスギゴケやハイゴケと合わせることで、よりバリエーションに富んだきれいなテラリウムを作ることができるでしょう。
スナゴケは、暗くてジメジメした場所に生えるという苔のイメージをくつがえすような、水はけのいい環境を好む美しい苔です。育てるときはこの点に注意して管理しましょう。
育てる環境を管理できれば、初心者にも扱いやすい苔ですので、お庭に植えて楽しんでみましょう。
苔屋のAkinobu
GreenSnap編集部