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緑肥とは、作物を育てて土にそのまますき込むことで、肥料効果を得る園芸手法のひとつです。昔から農家では取り入れられてきましたが、家庭菜園でもスペースをうまく活用して緑肥をすると、より美味しい野菜が収穫できますよ。
今回は緑肥の効果から、緑肥作物の種類、緑肥の使い方などについてご紹介します。
緑肥(りょくひ)とは栽培した植物を土にすき込んで耕し、肥料にすることです。堆肥のように他の場所で発酵させる手間もなく、そのまま植物を土すき込むだけで効果が得られるので、堆肥よりもより手軽に肥料効果や土壌改善効果を見込めます。
緑肥の歴史は深く、昔からヨーロッパやアメリカなど世界各地で緑肥が行われてきました。聞き馴染みはないかもしれませんが、日本でも農家では昔から取り入れられてきた手法です。
どんな植物でも緑肥に利用できるわけではありません。緑肥に向いている植物は、主にイネ科、マメ科の植物となります。
緑肥をすることで土中の微生物の量が増えるため、土壌が改善し、水はけ、水もちがよくなります。栽培に好ましいとされる団粒構造ができやすくなるので、よく作物が育つようになります。
とくにマメ科の植物を緑肥に使うと、マメ科特有の菌が窒素を土壌に固定をするため、後に栽培する作物へほどこす窒素肥料を減らすことができます。
窒素肥料を減肥できると、コスト的にも環境的にも優しく育てることができます。
土壌に有益な有機物が増えることによって、有害な微生物や線虫が繁殖するのを防ぐことができます。結果的に根こぶ病などの土壌由来の病害を防ぐことができます。
繰り返し作物を同じ土で育てていくと、繰り返される施肥によって土壌の養分が過剰に蓄積されてしまいます。とくにリン酸は雨に流されにくく、土壌にとどまる性質を持つので、リン酸過多による生育不良がおきやすいです。
また連作障害の原因には、特定の養分が過剰になっておこる生育不良も含まれます。
このような場合には、吸肥力の強い植物を施肥をせずに育てることによって、過剰になった養分を吸収してもらい、さらに緑肥としてすき込むことで、土壌のクリーニングかできます。
緑肥は一般的には畑や菜園の空きスペースで、他の作物と並行して育てます。そのため、コンパニオンプランツとしての効果のある緑肥作物を選べば、コンパニオンプランつとしても、緑肥としても使える、一石二鳥の効果が得られます。
コンパニオンプランつとは共生植物という意味で、一緒に育てることによって病害虫を忌避したり、草丈で日照を調整してより育つようにする手法のことです。
緑肥に利用できる植物のことを緑肥作物と呼ばれています。緑肥作物の特徴はイネ科、マメ科の植物だということです。
とくにマメ科の植物は、窒素固定ができる特徴があり、根が長く土の深い部分の養分を集めることができる長所があります。
マリーゴールドは多くの野菜のコンパニオンプランツにもなることで知られており、夏中の長期間にわたって花を咲かせるため、畑や菜園の景観的にもメリットを感じられる緑肥です。
線虫繁殖の抑制に効果があり、根腐れや根こぶ症の予防につながります。緑肥にはアフリカントールという品種がおすすめです。
ヒマワリはイネ科やマメ科ではなくキク科ですが緑肥として使用ができます。生育旺盛で土壌を覆うように伸びるので、土の風化や流出を抑える効果もあります。
また、茎葉が大きいので有機物の量も多く、緑肥としてすき込むことで土壌の菌を増やし、土壌改善に役立ちます。
四つ葉のクローバーとして有名な植物で、シロツメクサ、アカツメクサなど、ツメクサと呼ばれています。花期は5月から9月で高さは5センチから20センチです。花の色は、白、黄、ピンク、赤があります。
緑肥にすることで、ダイズシストセンチュウの発生を抑える効果があるとされています。クローバーの仲間のクリムソンクローバーも緑肥作物として有名です。
マメ科の植物で、しょうゆや、若いものは枝豆として食べることが可能。さまざまな加工をされて食べられています。
クロタラリアはマメ科の植物で、草丈は1.5~2メートルです。マメ科特有の蝶のような黄色い花を咲かせます。窒素固定効果が高いとされて、7月から10月にすきこみを行います。
マメ科植物のセスバニアは背が高く、3~4メートルにもなります。根だけでも1メートルにもなるほどです。土壌改善が期待され、よく緑肥に利用されます。8月から10月にすき込みを行います。
ヘアリーベッチは花がとても美しく、見た目はノボリフジや藤の花を彷彿とさせるマメ科の植物。枝豆の緑肥として使用されることが多いです。5月から6月にすき込みをします。
ライ麦はイネ科の植物で、いわゆる麦の見た目をしているのが特徴です。根菜に被害を与えるキタネグサレセンチュウの発生を予防すると期待されています。
緑肥は一般的に、輪作(ローテーション栽培)の1ブロックとして考えると、計画が練りやすいです。輪作は本来連作障害を防ぐための栽培方法ではありますが、効率よくいろいろな野菜を育てられます。
緑肥を土にすき込むときは、下記の手順を参考にしてください。
緑肥として利用できる緑肥作物はたくさんあります。緑肥作物のなかには見た目もきれいなものが多いので、ただ畑に混ぜるだけでなく、見た目も楽しむことができますよ。ぜひ緑肥に挑戦しませんか。
GreenSnap編集部