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マルメロは、カリンとよく似た秋が春の果実です。見た目は洋梨に似ていますが、生食には向かず、お酒やジャム、砂糖漬けに加工して楽しまれます。古い時代、ヨーロッパでは子宝の象徴とされたほど、幸福のシンボルでした。
今回は、マルメロの基本的な育て方をご紹介します。収穫時期や剪定方法について詳しく記載しているので、ぜひ参考にしてくださいね!
あまり手をかけなくても実つきがよく、狭い場所でも栽培しやすいことが特徴です。地植えだけではなく、鉢植えで栽培することもできます。
マルメロもカリンもバラ科の植物ですが、マルメロはマルメロ属、カリンはカリン属に属する別々の植物です。
マルメロの果実の表面には綿毛がありますが、カリンにはないので、綿毛の有無で見分けると良いでしょう。また、カリンは一本でも実をつけますが、マルメロは一本では結実しません。ただし、育て方はほぼ同じで、両者とも生食には適さないところは共通しています。
地植え栽培、鉢植え栽培でも、日当たりがよく、水持ちと水はけ、風通しのよい場所を選んで育てましょう。
マルメロは、水はけと水持ちのよいバランスの取れた土壌を好みます。肥沃な土壌の方が生育がよくなりますが、順応性があるので土質にはこだわらなくても大丈夫です。
鉢植え栽培の場合は、市販の果樹用培養土でももちろん栽培可能です。自分で土を作る場合は、赤玉土、腐葉土を8:2の割合で混ぜて作るのがおすすめです。地植えの場合は、土に2割ほど腐葉土を混ぜて栄養を与えましょう。
マルメロを植える時期は、12月〜3月です。マルメロは種から育てることもできますが、実をつけるまでに何年もの時間がかかるので、初心者の方は接ぎ木苗を購入して来る方が良いでしょう。
また、マルメロはマルメロと異なり、あまり自家受粉をしません。マルメロを育てるときは、在来種と外来種の2種類を一緒に育てた方が実つきがよくなります。
地植え栽培のマルメロは、植え付けたあと、若木の間は支柱を立てておきます。植え付け後は、株元をワラやバークチップなどで覆いましょう。
鉢植え栽培のマルメロは、土の表面が乾いたら、鉢底から水があふれるくらいしっかりと水を与えてください。夏場の暑い時期は、朝夕の涼しい時間帯に1日2回水をやります。
地植え栽培のマルメロは、基本的に水やりは必要ありません。ただし、植え付けから2週間ほどの期間は、土が乾いたら水やりをして管理してください。
植え付けから2週間以上経てば、根もしっかりと安定しています。そこから先は自然の降雨のみで問題ありません。ただし、真夏などで日照りで地面が割れるほど乾燥することがあれば、地植えでも朝夕の涼しい時間帯に水やりをしてあげましょう。
マルメロは、肥料の与えすぎは禁物です。多肥になると、果肉が変色することがあるので注意しましょう。
植え付け1カ月後と、鉢植えから地植えに植え替えた後には、球肥を3〜4個、鉢のフチに埋め込みましょう。その後は、1〜2月と5月下旬、8月下旬に根元から少し離れた位置に緩効性肥料を施します。
新梢の先端はなるべく残すようにして短果枝を多く付けさせ、長果枝は切り戻します。切り戻したところから短果枝が出るので、翌年さらによく実が付くようになります。
地植え栽培のマルメロは、一般的に開心自然形に剪定して仕立てます。これは、主幹の高さが60〜90cm程度、主枝を3本くらい横方向に伸ばす自然に近い樹形です。植え付けから数年は、あまり切らず放任します。
鉢植え栽培のマルメロも、開心自然形に剪定しても良いですが、U字形の方がおすすめです。2本の主枝をU字形に仕立てると場所を取らずに済むので、ベランダなどにも置きやすいですよ。
マルメロの開花時期は、4月〜5月上旬です。花が咲いたら、雄しべについている花粉を筆などなどでまわし取って、雌しべの先端にある柱頭につけましょう。
マルメロは、5月下旬〜6月上旬に実がなり始めます。基本的に摘果は必要ありませんが、実が多すぎるときや、形が悪い実は、この時点で摘果しておきましょう。
葉20〜25枚に1果の割合で、育ちの良い実を残して摘果します。6月下旬までに袋かけを行うことで、害虫の被害を抑えることができます。
熟した果実の毛は大半が取れていますが、収穫して食べるときには、この生毛は全て洗い流しておきましょう。マルメロの果実はとても良い香りがしますが、強い酸味があります。さらに硬い繊維質と石細胞でできているため、生食には向きません。マルメロは、果実酒や煮詰めてジャムとして利用するのが一般的です。
マルメロは「挿し木」と「接ぎ木」で増やすことが可能です。
挿し木は2月が最適です。枝を10cmほどカットします。健康そうな枝を選んでください。下のほうに葉がついていたら取り除きます。そして用意しておいた挿し木用の土に挿して挿し木が完了です。根が出るまでは、水やりをしっかりとして、管理してください。
マルメロは接ぎ木でも増やすことができますが、接ぎ木には当然ですが台木が必要です。種から育てたマルメロの苗かナシの幼木が必要なので、基本的には挿し木をおすすめします。
マルメロはシンクイムシの被害に遭うことがあります。果実のなかに入って、美味しい部分を食べてしまうのです。シンクイムシの被害は広がりやすいので、6月下旬までに果実に袋をかけて、卵が産み付けられるのを防いでください。
害虫を見つけたらすぐに駆除し、必要に応じて果実にも使える薬剤をまきましょう。
マルメロは、基本的に2〜3年に一度の頻度でひと回り大きな鉢に植え替えが必要です。植え替えを行わないと、根詰まりして弱ってしまいます。
植え付け時期は、12月または3月頃が適期です。植え替えの手順は、植え付けの時と同じです。
果樹は収穫できるまでには時間がかかりますが、収穫の喜びはひとしおです。ぜひ、家庭菜園で美味しいマルメロを収穫してくださいね!
七尾びび
GreenSnap編集部