センチュウは私たちの目に見えないところで繁殖し、大切に育てた野菜たちに被害を及ぼす微生物です。姿は見えませんが、植物が突然枯れたり、引き抜いてみたら根っこがボコボコしていたら、センチュウによる影響かもしれません。
今回は家庭菜園の見えない敵、センチュウの生態や、駆除方法、予防対策をご紹介します。
センチュウとはどんな害虫?
センチュウは細長い無色透明のミミズのような糸状の微生物です。直径0.03mmほど、体長は0.3〜1mmとごく小さいので、肉眼での確認は難しいでしょう。園芸においては、植物の根に侵入して養分を吸い取る、吸汁性害虫として扱われています。
別名ネマトーダとも言われ、正確に言うと虫ではなく線形動物に分類される動物です。深海や地中など、地球上のあらゆる場所に生息していて、莫大な個体数が存在しています。
センチュウ対策:植物にどんな症状・被害がでる?
センチュウの被害にあった植物は、地上部分では草丈が短くなったり、葉色が退色したりします。被害が進むとしおれていき、いずれは枯死に至ります。地下部分では、センチュウの種類によっては、根腐れさせたり、根をコブ状に変形させ、株全体を弱らせていきます。
センチュウ対策:発生しやすい時期はいつ?
センチュウが発生しやすい時期は5〜11月で、土の温度が10°C以上になると活発になり、15°C以上で卵が孵化し、繁殖していきます。寒いと休眠状態になり、冬は地中の個体も減少します。
オスとメスが交尾して繁殖する有性生殖ですが、単性生殖で繁殖する種も確認されており、目視できないながらも、大量に繁殖していきます。
センチュウ対策:発生する原因は?
植物寄生型センチュウの発生原因の多くは、センチュウを気づかず持ち込んでしまうことにあります。センチュウが発生した土で使った道具の使い回しや、植え付けで土中にセンチュウが入り込むと、そこから繁殖して、被害が拡大していきます。
基本的にどの土壌にも少なからずセンチュウが存在していますが、植物寄生型のセンチュウが増加することによって、被害が発生します。
センチュウ対策:どんな種類がいる?
センチュウは大きく二つに分けることができ、一つは害虫として扱われる植物寄生型のセンチュウで、もう一つはカビや細菌を主食とする自活性センチュウで、自活性センチュウは栽培向きの土壌づくりに欠かせない有益な存在です。
植物寄生型センチュウは次のように大別できます。
ネコブセンチュウ:根の中に寄生して、養分を吸い取り、コブをつくります。
ネグサレセンチュウ:根の中に寄生して、大根など、可食の根部分に黒い斑点をつくります。
シストセンチュウ:根の中で孵化し、成長すると根の外にでて袋状(シスト)をつくり、植物の生育を妨げます。
サツマイモネコブセンチョウや、ジャガイモシストセンチョウなど、それぞれ寄生する植物が決まっています。
センチュウはおもに野菜に発生しやすいです。
果菜類:ナス科、ウリ科、イチゴなど
葉菜類:ほうれん草、レタス、アブラナ科
根菜類:にんじん、ごぼう、大根、芋類
マメ類:大豆、インゲン
他にもシクラメンなど、草花にも発生することもあります。
センチュウ対策:効果的な駆除方法とは?
センチュウ駆除方法① 農薬・殺線虫剤を散布する
センチュウの駆除には、専用の殺線虫剤が即効性もあり、殺虫力も高いので効果的です。しかしながら、細菌やカビなどを主食とする有益な自活性センチュウにも殺虫効果があり、土壌環境にも悪影響がでます。また食用の野菜栽培の場合には、人体に有害な物質を多く含んでいるので、適切に使用するようにしてください。
センチュウ駆除方法② 土壌を太陽光で熱消毒する
プランターや鉢栽培の場合には、土壌を太陽をで熱消毒することも、センチュウ駆除に効果的です。土に水をたっぷりと含ませて、透明、もしくは黒のビニール袋に移して、直射日光が当たる場所に数日おいてください。
畑や花壇など、地続きの場所で栽培している場合は、潅水してビニールで覆い熱消毒しますが、別場所の土中からセンチュウが移動してくるので、効果は一時的です。
センチュウ駆除方法③ 石灰窒素を土に混ぜる
石灰窒素を1㎡あたり100gほどまいて、よく耕してから1ヶ月ほどおいておくのも、センチュウ駆除に効果的です。石灰窒素がシアナミドという殺虫殺菌効果のある物質になり、センチュウを死滅させます。そのごシアナミドは2週間ほどで無害化して、最終的に窒素に変化して、肥料にもなります。
土に石灰窒素を混ぜて熱消毒すると、相乗効果も狙えます。
センチュウ駆除方法④ 米ぬかを土に混ぜる
米ぬかを土に混ぜることで、植物寄生型のセンチュウを駆除することができます。米ぬかを土に混ぜると、乳酸菌が増え、それを好む有益の自活性センチュウが増えます。自活性センチュウの老廃物はアンモニアに変化しますが、植物寄生型のセンチュウはアンモニアに耐性のないので死滅していきます。
センチュウ対策:効果的な予防方法とは?
センチュウ予防対策① 道具をそのまま使い回さない
センチュウを不用意に持ち込まないためにも、使い終わったスコップや、鍬や、支柱、留め具など、しっかりとブラシで泥を洗い流して、乾かしてから使用するようにしてください。センチュウや土壌病菌が付着している場合も多いので、日頃の道具管理が予防に効果的です。
センチュウ予防対策② 対抗植物のマリーゴールドを植える
マリーゴールドは、センチュウを死滅させる成分を根から分泌させます。特にフレンチ・マリーゴールドは、ネコブセンチュウや、ネグサレセンチュウなど、多くのセンチュウに効果的です。センチュウの活動が盛んになる時期に、マリーゴールドも成長期を迎えます。
センチュウ予防対策③ 緑肥作物を栽培する
緑肥とは、栽培した植物をそのまま土壌にすき込んで肥料にすることです。とくにイネ科のライ麦やえん麦野生種を緑肥とすると、根菜類や葉菜類のセンチュウの被害を軽減することができます。ただし地中で分解され、効果がでるには、一ヶ月ほどかかります。
センチュウ予防対策④ 同じ科の野菜を連作しない
同じ科の野菜を、同じ場所・土に植えないようにしましょう。そもそもセンチュウは、その種類によって寄生できる植物が決まっています。また、植物を抜いただけでは除去できず、そのまま地中に残りるので、同じ科の植物を連続して植えると、そこで増殖し、連作障害をもたらします。
センチュウ対策をして家庭菜園を楽しもう!
植物寄生型のセンチュウは見えない大敵ですので、家庭菜園をするときには気を配る必要があります。自立性センチュウは、栽培に良い土壌を作る上で欠かせない存在なので、できれば農薬などは使わずに、自然のサイクルの中で防除していけるといいでしょう。適切なセンチュウ対策をして、家庭菜園を楽しんでください。
この記事を書いた人
GreenSnap編集部
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