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ハダニは選り好みすることなく、あらゆる植物に寄生する害虫です。名前にダニが付いている通り、ごく小さな体で植物の葉裏に寄生するので、発見も難しいです。多くの植物の生育期に発生しやすいこともあり、とても厄介な害虫ですね。
今回は植物に甚大な被害を及ぼす厄介な害虫、ハダニの生態や防除方法をご紹介します。
ハダニはクモの仲間で、体長0.3~0.4mmほどの黄緑色や暗赤色の虫です。
肉眼では見にくいですが、糸を吐き出す習性があるので、薄い天幕のような網が葉に見られれば、発生しているという、ひとつの目安になります。主に葉の裏側に寄生して、植物の養分を吸汁します。
ハダニは単為生殖、有性生殖どちらでも繁殖し、1匹のメスは一生のうちに約100個の卵を産むことが可能です。
また、孵化したあと、成虫になるまでの期間は25℃で約10日でとても短いため、爆発的に繁殖していきます。
ハダニは20〜35℃ほどの、高温で乾燥した環境を好みます。
そのため梅雨を除いた4〜10月でよく見られます。特に、梅雨明けから9月にかけての真夏には、大量に繁殖します。
ハダニが発生すると、吸汁により植物の生育に影響が出るほか、葉に白い小さな斑点がついたり、色がかすれるように茶色っぽく抜けていくので、正しく光合成ができずに弱っていきます。
少数での被害は少ないですが、多く繁殖すると最悪の場合、寄生された植物は枯死します。
ハダニはダニという名前がついていながらも、クモの仲間であり、植物を吸汁する害虫なので、人体に影響はありません。
草間祐輔
ハダニは糸を出して風にのって、どこからともなく飛来し、植物に寄生します。また新しい苗に付着していて、気づかぬうちに持ち込んでいたり、周囲の雑草からも侵入するので、発生を未然に防ぐことは難しい害虫です。
ハダニは昆虫ではないので、昆虫に効く殺虫剤ではなく、ダニに効く殺ダニ剤を使うようにしましょう。葉裏や新芽部分に隠れているので、重点的に散布するといいでしょう。
ハダニは発生サイクルが短く、薬剤に対する抵抗性の発達が早いです。
発生したハダニが特定の系統の薬剤にすでに抵抗性を持っている可能性もあるため、場合によっては数種類の系統の薬剤を用意して、ローテーション散布した方がいいでしょう。長期間同じ系統の薬剤を使い続けると、ハダニが抵抗性をもち、殺虫効果が低下するため、連用は控えましょう。
最近では人や動物に対する安全性がより高い、食品や食物添加物、天然物由来の殺ダニ剤が多く製造されています。
「粘着くん液剤」は食用デンプンを主成分としていて、環境にも優しいです。他にも「エコピタ液剤」「アカリタッチ乳剤」「オレート乳剤」「サンクリスタル乳剤」などが効果的です。
ハダニが少数発生しているようなら、テープでくっつけて取るのが効果的です。その際、粘着力が強すぎると葉を痛めてしまう可能性があるので注意しましょう。
食品の食酢を使用したスプレー剤が販売されています。身近な成分なのでハダニ対策に利用してみてください。
ハダニが大量に発生してしまった場合は、効果が低下するため、発生しはじめた時に、2~3日おきに散布すると効果的です。
牛乳スプレーはあまり効果が期待できないうえに、臭いやカビも発生しやすいため、あまりおすすめしません。
草間祐輔
ハダニは湿気を嫌いますので、こまめに葉水することで予防ができます。水やりと一緒に、霧吹きで葉の表面・裏面に水を吹きかけてあげてください。
定期的に殺ダニ剤を散布することで、ハダニの発生や、大量繁殖を未然に防ぐことができます。
なお、殺ダニ剤は殺卵、殺幼虫、殺成虫といった作用性がそれぞれの薬剤で異なり、全ての生育段階に効果があるもの、殺卵、および殺幼虫作用はあっても殺成虫作用がないものなど、それぞれに特性がありますので、それを踏まえながら適宜散布してください。
ハダニの主な種類と、発生しやすい植物は以下の通りです。
カンザワハダニ | 濃赤色~朱色のハダニで、イチゴやバラ、トマト、ナス、ピーマンなどのナス科野菜、キュウリ、メロンなどのウリ科野菜、エダマメ、サヤインゲンなどに発生します。 |
ナミハダニ | 黄色~黄緑色や赤色のハダニで、カンザワハダニと同様の植物に発生します。 |
ミカンハダニ | 赤色のハダニで、柑橘類をはじめ、ナシ、モモなどに発生します。 |
ハダニは気づかぬうちにあっという間に繁殖してしまいます。とても小さいので肉眼には赤っぽい粒のようにしか見えませんが、日頃から葉の裏まで観察しながら、葉水して管理するといいですよ。しっかりハダニ対策をして、快適な園芸ライフをお楽しみください。
草間祐輔
GreenSnap編集部