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さすらいのボタニスト、ヤガメです。こんにちは。
梅雨の時期には、前日まで元気よく育っていた植物の葉が、突然しおれ、茎が倒れてしまうことがあります。
これは、土壌中にいるカビの仲間が引き起こす病害が、原因となっていることが多いのです。
梅雨の時期は、植物が急に元気がなくなったり、病気が発生したりしやすい時期。
たとえば、前日まで元気よく育っていた植物の葉が突然しおれ、
倒れてしまうとか……。
これは、土壌中にいるカビの仲間が引き起こす病害が原因となっていることが多いです。
「立ち枯れ病」と呼ばれる、植物の病気のひとつです。
立ち枯れ病は、病原菌が植物の道管組織に感染し、腐敗させてしまうことで、水分が植物体の上部に行き渡らなくなってしまう病気です。
そのため、水をやっても植物がしおれたままで、ひどい場合には枯れてしまうのです。
おそらくジワジワ病気は進行しているのでしょうが、人の目につくような症状になるのに時間がかかっているだけのことだと思います。
梅雨の季節、多湿な環境はカビの仲間の発生を促します。
植物を風通しの悪い場所に置くことで、植物にはストレスがかかります。
すると、そのストレスが原因となって菌の侵入を招き、植物に病気が発生したり、枯死してしまうわけなのです。
人間の世界でも、ストレスを多く抱える生活を送っていると免疫力が低下することが、近年、さまざまな研究により実証されています。
植物も、実は、同じなのです。
植物がストレスを抱えると、菌を防除するさまざまな抵抗力が衰えることがわかっています。
植物にとってのストレスは、乾燥(高温を含む)、過湿(酸欠)、低温(寒さ、凍結)、栄養欠乏、栄養過多、重金属などの土壌由来のストレス、生物的ストレス(害虫など)があります。
具体的にそのメカニズムを書くには、残念ながらスペースがとても足りません。
理研が研究している、全身獲得抵抗性(SAR)の例がありますので、もし、興味のある方は、こちら
www.riken.jp/~/media/riken/pr/press/2008/20080628_1/20080628_1.pdf
を、ぜひ。
植物を育てている土が原因で発生する病気は、完熟させていない腐葉土や堆肥を用土に加えたことが原因になることも多いようです。
立ち枯れ病などの土壌病害を防ぐには、十分に完熟した有機質を用土に加えることも大切です。
カビの仲間の病害は、葉にも起こります。
たとえば「うどんこ病」。
これについては、別の機会に。
大事な植物をカビが原因の病気から守るには、
風通しのよい環境づくりを心がけ、
水や肥料を適切に与え、
植物にストレスをなるべく与えないこと。
そして、薬剤散布をこまめに行うことが大切なのです。
フローリスト編集部