警告

warning

注意

error

成功

success

information

小さな物語の一覧

いいね済み
83
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 13 たぬきの子は、たぬ吉と名づけられ、学校から帰ると、真っ先にたぬ吉の様子を見に行くのが健太の楽しみになっていた。 いつもは一彦とふざけながら寄り道をして帰っていた健太が、授業が終わるとそそくさと支度をして走って先に帰ってしまう。 どうしたんだろう。ぼくケンチに何か悪いことしたかな? 仲良しの一彦は、急においてけぼりにされたようで、訳もわからないまま一人寂しく帰宅する毎日だった。 そして、ある日そんな思いに我慢しきれなくなった一彦が、健太に声をかけた。 おい、ケンチ! 面白い漫画あるんだけど、今日うちに遊びに来ないか? 健太は、一彦の誘いにドキッとしたが、そ知らぬ風を装って答えた。 ダメダメ!今うちの手伝いが忙しいんだ。また今度ね。 そう言うと、一彦の返事も待たずに駆け出した。その姿を見送りながら、一彦は小さく舌打ちをした。 なんだい! つきあい悪いの!! そして、胸のモヤモヤをぶつけるように、足元の小石を高く蹴りあげた。 家に帰ると健太はたぬ吉のかごに直行した。最初は人の姿を見て怯えていたたぬ吉も、少しずつ慣れて、今は健太の顔を見ると嬉しそうに近寄り、健太の用意する餌を美味しそうに食べるようになっていた。 その日、父と一緒に牛小屋の掃除をしながら健太は言った。 今日ね、カズチに漫画読みに来ないかって誘われたんだ。だけど、家の手伝いが忙しいからって、駆けて帰ってきちゃった。カズチのやつ、なんだい!!って膨れっ面してた。 あはは…カズチにもたぬ吉を見せたいなぁ。 健太のその言葉を聞いた父は、黙々と作業していた手を止めた。 そうか、それならたくさん手伝いをしてもらおう。 いつもと違う厳しさを感じる父の口調に、健太は驚いて父の顔を顔を見上げた。 えっ!ぼく、なんか悪いこと言っちゃった? 健太は改めて昼間のカズチとのやり取りを思い浮かべなから、父の言葉を心の中で繰り返した。 🌱 今日のお花 タンポポ 写真は、昨年の春、桜の季節に撮った一枚です。 空き地のタンポポも、だいぶつぼみが膨らんでました。 春が待ち遠しいですね🤗 タンポポの光るような黄金色 この花を見るたびに、力をもらい、前を向く勇気をもらう、大好きな花です。そんな大好きなタンポポを主人公にした以前書いた物語は、今も時々読み返しては、自分自身がその都度励まされる大好きな物語の一つです。 2枚目の写真は、私の庭の小さな薔薇です。11月から咲き続けてくれた薔薇🌹。先日の雨や雪で散ってしまいそうだったので、慌てて切って花瓶にさしました。5ヶ月咲き続けました。こんなに長く咲き続けてくれた事は初めでした。 この花に、たくさん癒され励まされてきました。今日ドライフラワーにしようと思います。 今日は雨が降って冷え込んでいます。皆さまどうぞ暖かくしてお過ごしください。今夜も素敵な夜を✨
いいね済み
151
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 12 夕食を食べ終わると、健太は今朝の一彦とのやり取りを両親に話した。 ぼく、本当に焦った! まさか、母さんがぼくが帰らないと隣ん家まで探しに行くと思わなくて…。 それを聞いて、母が口を開いた。 本当にごめんなさいね。 あなたも父さんも、こんな寒い北風が吹くなかを、真っ暗になっても帰ってこなかったから、何かあったのかもしれないと氣が氣でなくて、隣の家にも聞きに行ったのよ。 一彦くんのお父さんもお母さんもそれは心配してくれて。用水路に落ちたりしてたら大変だって、近くの田んぼや畑まで一緒に探してくれて。その親切は涙が出るほど有りがたくて…。一通り探したけど見つからなくて…私がもういいからって帰ってもらったのよ。父さんもまだ帰ってないから一緒かもしれないって。もし、夜になっても帰らなかったら、明日警察にお願いするからって、帰ってもらったのよ。 狸の子を見てビックリしちゃって、あなたたちも取り込んでいたようだから、お話しするタイミングを逃してしまって…ごめんなさい。 と、母が謝った。 健太はそんな大事になっていたとは知らずに、改めて青ざめた。 その話を聞いていた父は、 わしも知らなんだ。そんなに心配をかけてしまったか。お前にもきちんと話さずに、健太と出かけてしまって…どうしたもんかと、さぞ一人で心ぼそかったろう。心配かけて本当にすまなかったな。そう母に謝った。明日健太と一緒に詫びに行って来よう。 父の言葉を聞いて、母は小さく頷いてそっと目頭をぬぐった。 翌日、父と健太は、世話になったお礼にと畑で取れた作物を持って一彦の家に向かった。 父は、健太が自転車の鍵をなくしてしまい、2人であちこちと探して夜になってしまった。健太には厳しく叱った。本当に心配かけてすまなかったと詫びた。 一彦の両親は、お互い様だからと笑って、騒動は一通りおさまった。 『一つ嘘をつけば、次から次へと嘘を重ねなければならなくなる』父の言ってた言葉が健太の心をぐるぐる巡った。厳しいことを言って!覚悟なんて大袈裟だな!と思っていた健太だったが、早々に両親も巻き込んでしまったことに、氣が重くなるのだった。 🌱 みんな たった一つの命を 体をはって生きている 生きるとは そういうことだ 光の暖かさを感じることも 風に季節の氣配を感じることも 土の温もりや暖かさを感じることも 忘れてしまうと 根なし草のように ただ ふわふわと流されて 流されたことさえ氣づかずに やがて大切なことが 見えなくなってしまう 流されてはならんぞ 光には影ができる うつむいて影だけを見つめていても 光に氣づくことはない だから お前は前を向け 自分を信じて前を向け 厳しさの中で生まれた強さも知恵も 太い根っこになって きっと 人生を支えてくれる たった一度の人生を生きているんだ 一度しか歩めないからこそ 失敗を恐れずに 恐れに飲み込まれずに 全てを糧にして学んでいけばいい 立ち向かっていけばいい そうすれば どんな嵐にも流されない どんなに厳しいときも きっと 大丈夫と 自分を信じて歩いてゆける 父さんや 母さんは どんなときもお前の見方だ そしてお前を誇りに思っていることを 忘れないでいて欲しい 自分が言い出したことで 父や母にまで迷惑をかけたことを 叱られると思っていた健太は、 思いがけない父の言葉に 涙が溢れそうになるのだった。 🌱 その夜布団に入ってからも、健太の心は、これからの事で一杯だった。 ずっと、狸の子を隠し通さなくっちゃ。カズチに知られないように…どうしたらいい?思ったより大変そうだ😖💦 風にガタガタとなる雨戸の音に、健太は何度も目がさめて、その度にため息をついた。 🌱💎✨💎🌱 空の青さを撮したような ローズマリー 花言葉*静かな力強さ 本当にこの花にピッタリの花言葉です。 🌱ローズマリーにしか含まれないロズマリン酸という化学成分には、抗菌作用や抗ウイルス作用が認められているそうです。また、ロズマリン酸はアレルギーを和らげる作用があることも近年認められ、花粉症の症状緩和にも用いられるようになっているとのことです。 ロズマリン酸以外にも、ローズマリーには抗菌の油脂成分も含まれるため、アルコールで抽出したローズマリーエタノールは、消臭抗菌効果がさらにアップし、また香りで空間を浄化することもできます。 🌱作り方🌱 🫒材料 新鮮なローズマリーの枝 無水エタノール(薬局で購入) 蓋を密閉できるガラス瓶 🫒作り方 1.ローズマリーの葉つき枝を瓶の中に8割ほど入れる (たくさん入れれば濃い原液に) 2.無水エタノールを瓶一杯に注ぐ 3.エタノールが緑色に変化するまで、2~4時間ほど放置 4.ネットやろ過紙などで濾す 5.完成後は、密閉容器に入れて、なるべく冷暗所で保管 6.使用時は、原液をスプレー容器などに移し替え水で希釈して使用。原液を10~30%に薄めて、消臭や掃除などに使うと良いそうです🤗 好みでハッカ油なども加えたり、台所のゴミ箱やクツ箱の匂い消しにも良いですよ💖 真冬の寒風のなかも花をつけたローズマリーに、たくさん蜜蜂が訪れていました。花を飛び回る蜜蜂が嬉しそうで、花のない時期に咲いてくれるこの空のような花は、きっと蜜蜂の宝物だろうな。仲間に、見つけた!見つけた!って、嬉しくて報告するのかな?( *´艸)✨💎💖 そんな風に考えたら、いっそうこの花が愛おしく思えて、大好きになりました🥰💖 ありがとう ローズマリー💎✨
いいね済み
128
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 11 わずか15軒の小さな村だったが、健太の隣の家にも同い年の男の子が産まれ、名前を一彦と言った。 村の人たちは、子供が増えたとそれは喜んだ。 2人は、まだ口が回らず、ちゃん付けで互いを呼べなかった頃の呼び方のまま、ケンチ、カズチと互いを呼びあい、家の手伝いの時間以外は、朝から晩まで兄弟のように一緒に過ごしていた。そして、同い年の子供を授かったこともあり、2人の親も互いの家を行き来して仲良くしていたのだった。 健太が狸の子を連れ帰った翌朝、いつものように一緒に学校へ向かう道を歩きながら、一彦が健太に尋ねた。 ケンチ、昨日、お前の母ちゃんが うちの子がこんなに暗くなったけどまだ帰らないって、心配してうちに聞きに来たぞ。お前、昨日どこに行ってたんだ? 一彦の思いがけない言葉に、健太の心臓の鼓動が早くなった。 しまった。母ちゃんが余計なことを…。健太は慌てたが、とっさに 落とし物を探してたんだよ と嘘をついた。 ふうん。何を落としたん? …で、見つかったの? ひょっとしたら、父と一緒に帰るところを見られたかもしれない。何て答えよう。健太の心臓は早鐘のように鳴ったが、ドキドキを悟られないよう、健太は笑いながら答えた。 自転車の鍵だよ。 うっかり上着のポケットに入れてたのを忘れて、畑に落としたかもって…ずっと探してたんだ。きちんとしてないからだと、久しぶりに父ちゃんに叱られた。あはは…。 なぁんだ。そうか。 まぁ、見つかって良かったな。 幼馴染みだから、健太の言葉に何か引っ掛かるものを感じたのか、一彦が何か言いたそうな顔をした。 そんな一彦の様子を見た健太は、話を早々に打ち切るため、学校までかけっこだ!!と駆け出し、おい待てよ!と一彦が後を追いかけ話はそこまでとなった。 それは、健太と一彦のいつもと同じ風景だったが、その風景はいつもの輝きを失って、何かが変わってしまったことを健太は感じていたのだった。 🌱🌱🌱 今日のお花 デイジー 2022年1月のサイシャインの花壇のお花です。寒風に負けず咲くデイジーの花🌸が、小さな灯りのようで素敵でした。2月も残り4日✨春が待ち遠しいですね。 風が冷たいです。どうぞ暖かくしてお過ごしください。
いいね済み
104
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 10 日が落ちて真っ暗闇になった道を、2人は早足に家へと急いだ。 あまりに帰りの遅い2人を心配して、門口で待っていた母が、2人の姿を見つけると駆け寄った。 遅かったから、心配していたんですよ。 そんな母に目もくれず、父は家に入ると、健太に戸締まりをするように命じ、籠を背負ったまま家の奥まで入っていった。 母は、何が起きているかわからず、2人の後ろからビックリしたような顔でついていった。 台所の前のかまどには、あかあかと火が燃えていた。土間に面した縁側に籠を下ろすと父が口を開いた。 心配かけてすまない。 山で怪我をした狸の子を助けた。 わけは後で話す。とりあえず、手桶に湯と奥の棚から傷の薬瓶、それとボロ布と綺麗な晒しの布を頼む。 父の言葉を聞くと、母はてきぱきと準備して父の前に持ってきた。 そして、籠から取り出したぐったりした狸の子をみて、母はさらに目を見開いた。 まぁ、狸の子 ひどい怪我をして… 父は無言のまま、母から湯の入った桶を受けとると狸の子の傷を洗い、ムカデの入った薬瓶の傷薬で消毒し、晒しを巻いた。 手当ては、これで良いだろう。野生の狸が人から餌をもらうかわからぬが、とりあえず重湯を飲ませてみよう。 ぐったりしていた狸の子は、それでも重湯を少しずつ飲み、安心したのかコトンと寝てしまった。 父は狸を布の上に寝かせると、健太に風呂をすませ、母に説明するよう言いおくと、納屋に入り板を切って何かを作りはじめた。 健太から話を聞いた母は、驚いた様子だったが、お前が父さんと相談して決めたなら、狸の子の傷が治るまでしっかり看病しましょう。 そう言って、家の奥から古着を持ってきて、藁を入れて狸の布団になるように縫いはじめた。 先に風呂をすませた健太が風呂から上がると、父が作った木の小屋のなかで母の作った布団と布にくるまって狸の子がすやすやと眠っていた。 父さん!小屋を作ってくれたんだね。母さんも、ありがとう!良かった。すやすや寝てる。 助かるかな…。 うむ、野生の生き物だ。助かるかどうかは、この子の生命力次第だ。怪我が治るまでの間だが、決して村のしゅうには見つからないよう、このかまどの脇で世話をすることにしよう。お前も、絶対、誰にも氣づかれぬよう注意するんだぞ。 父に再び念を押されて、健太は深く頷いた。 🍂🍂🍂🍂🍂 新しい🏷️を3つ追加しました(*^^*) 🏷️健太の冒険 🏷️健太応援団 🏷️GSの繋がりに感謝♡ よろしくお願いいたします。
いいね済み
107
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 9 日暮れの道には、幸い村人の姿はなく、2人は誰にも会わずに狸を隠した藪についた。 父さん、ここだよ。 健太が藪の手前の枝をよけると、狸の子がぐったりと横たわっていた 遅かったかな 死んじゃったかな… 再びポロポロと涙をこぼす健太を、一瞥すると父は厳しい声で言った、 泣くな! 覚悟をしろと言ったはずだ! 守ると言うことは、どんな小さな事でも真剣勝負だ!自分の感情をコントロールすることもできんものが、どの命を守れると言うんだ! 父の厳しい言葉に、健太はハッとして袖で涙をぬぐった ごめん、その通りだ父さん。 もう泣かない。 健太の隣にいた父が、健太と入れ換わり藪の中に手を伸ばして狸に触れて言った。 まだ生きてるようだ 急ごう そう一言言うと、持ってきたぼろ布で狸の体をくるみ、罠からはずし始めた。 うむ…傷が深い。このまま山に放しても生きてはいけんだろう。 罠から外された狸の子は、ぐったりと動かない。 家に連れ帰って傷の手当てをしたら助かる?お願い父さん!助けたいんだ。 もう、涙を見せることなく、真剣な目で見つめる健太に、父は念を押すように言った 絶対に誰にも氣づかれてはならぬ。 そして、世話をするのは怪我が治るまでの一時だ。 いいな。 健太が頷くのを確認すると、父は、罠についた汚れを落とし、周囲の落ち葉や枯れ枝を元のようにかけると、狸をかごの中に入れた。 家へと急ぐ父の後からついていく健太は、ドキドキする胸の鼓動に、息をするのも苦しいほどだった。 残照が消え、空が薄紅から群青色に変わり、山は鳥の声もなくしんと静まり返っていた。山道を急ぐ2人の足元で小枝がポキポキと折れる音が、いつもより大きく聞こえて、健太の胸はいっそうドキドキと高鳴るのだった。 🌱🍂🌱🌱🍂🌱🌱🍂🌱 今日の花 梅 今日、東京は晴れて青空が広がりました。でも、昨日が雨水だったのが嘘のように、凍るような風でした。 今日のお花が梅だったので、少し足を伸ばした公園に行ってきました。梅は満開で緑色の小鳥が、たくさん来ていましたを 去年の梅、一昨年の梅と、写真と見比べながら、世の中が激動していても梅の花は何も変わらず、タイムワープしてるみたいだなぁとしみじみと不思議に思ったりしました。 そして 2年も3年もたったのに 相変わらず同じような失敗をして 同じような未熟さに 落ち込んだりしている自分 大人だと思っていた父や母も そうだったのかも知れないなぁ なんて思うと 今は空の上にいる父母と ねぇ、どんなことを考えていたの? なんて聞きたいなぁと思ったり😁。 梅の花 いい香りでした💖 本格的な春が待ち遠しいですね😊 今夜も素敵な夢を💞
いいね済み
138
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 8 拳を握りしめ、うつ向いている健太を、父は静かに見守っていた。 村に生きる ここで生きる 覚悟、覚悟! その厳しさを知っても 傷をおって苦しんでる狸の子を助けたい 胸の中でぐるぐるとめぐる想い。 健太の拳にポタポタと涙が落ちた 父さん それでも…僕は狸を助けたい どうしても助けたい 健太は顔を上げ、振り絞るような震える声で父に伝えた 顔を拭きなさい 父から渡された手拭いで顔を拭くと、今度は手をついて父に頼んだ。 父さん、僕の考えは間違っているかもしれない…でも、どうしても助けたい。僕では罠を外すことができなかった。お願い、父さん、助けて。 しばらく、健太の様子を見守っていた父が、念を押すようにもう一度尋ねた。 覚悟ができているんだな? 何があっても秘密を貫く事ができるのか? 健太は黙ったまま、強く頷いて父を見つめた。 父は腰を上げ よし!わかった。 助けにいこう。 そう言うと籠を背負って土間に立った。 まもなく沈む太陽が、キラキラと草を縁取って輝く山への草原。籠を背負った父と、その後からうつ向き加減に小走りでついていく健太の影が、長く伸びて土手の道を過ぎていく。 狸 生きててくれ そして、誰にも会いませんように 父の後を追いながら、健太は何度も何度も心で繰り返した。 ********** 今日の花 🌱カネノナルキ🌱 去年の今頃、満開に花をつけていたカネノナルキ。 夏に、たくさんの葉が枯れ茎だけになり、枝の根本から枝がポロポロと落ちて…枯れてしまうかもと心配した。そして、今…生きているカネノナルキ🌱 強さとは何だろう 雨にも風にも嵐にも 負けないことだろうか 負けたって良いじゃないか 折れて傷ついた枝は 新しく芽吹く枝に ただ生きる 強く生きる 葉をおとしても 枝を切り捨てても 何度でも生きることに立ち向かう この樹の前に来ると その強さが静かに伝わってくる 自分も きっと大丈夫って 思えてくる 大好きな樹です 今日も素敵な1日を💖
いいね済み
117
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 7 わしらが住んでいるこの村は、岩がごろごろした山と、野菜も大きくは育たない痩せた土地だ。生きていくための作物を作ることも、生活をしていくための収入を得ることも、なかなか大変なところだ。お前も田畑の手伝いをして、少しはその大変さを感じることもあったろう。 そんな所だから、みんなそれぞれの工夫をして生計を立てておる。 米や野菜だけでなく そばや豆を作るもの 牛や鶏を育てるもの 炭を焼くもの 竹細工をするもの 川で魚を捕まえるもの 山の獣を捕まえて金にするもの それでも、収穫がなくて食べていくのが大変になる事もある。そんな時はどうやって助け合ってきたかわかるか? わしらの村はわずか15軒、村のどの家が腹を空かせているか、見ていればみんなわかるんだ。だが、金を貸してくれといえば返さなくてはならない、そんな金すら作るのも大変な事も知っている。そして、いつの間にか、みんなで作り出した知恵があるんだよ。それは、わしが子供の頃からあったから、どれくらい前からのことかは知らないが…。 村はずれにお地蔵さまのお堂があるだろう。村の誰かが食べ物に困っていそうな時は、村のしゅうがこっそりおにぎりを作ってお地蔵さまのお堂に供える。いつもより多く野菜がとれた日は野菜を、魚がとれた日は魚を焼いて干したものを供えるんじゃ。 『お地蔵さまに供えたものは。一時経ったら、もう召し上がり終わるから、誰でも貰って良い』という申し合わせのようなものもいつの頃からかあって、食べ物に困った人が、そっと行っていただくから、いつの間にか供え物はなくなってるんだ。 そして、お堂の中は鳥や獣は入ってこれぬから、安心な場所というわけだ。こんな貧しい村だ。誰もが裕福な訳じゃない。だからこそ、そうやって支えあう知恵ができたのかもしれん。 わしらは、そうやって恩を着せないように配慮して、ささやかながら助け合ってきたんじゃ。 ここまではわかるか? 父に聞かれて健太は頷いた。 うむ。 言葉を止めて、健太の目を見つめていた父は、話を続けた。 もし、川に魚をとるために仕掛けた網に、魚が捕らえられていたら、お前は可哀想と逃がすか? 父に尋ねられて、健太は首をふった。 さて、獣を捕まえて生業にしてるものがいて、その罠に獣が捕まったのはどうかな? 獣らが、わずかな畑の作物を荒らしたり果物を食ってしまうから、捕まえてくれと村人に頼まれた者が、罠を仕掛けていたらどうか? それが狸でなくて、ネズミだったらどうだ? 生き物を大切に思い、傷ついた生き物を何とか助けたいと思う、お前の優しさは素晴らしいものだ。だがな、それは簡単な事じゃないんだ。 お前の見つけた狸の子供だが…。それは村人の誰かが仕掛けた罠で、何ヵ月もかかってやっと捕まえた大切な獲物だったのかも知れない。 たから、 お前に、一人前の男として聞こう。 そういうわけで、お前が狸の子を助けたとしたら、そのことは決して誰にも知られてならん。仲良しの友達にもだ!万に一つもだ。 一つの嘘を守るため、2つ目の嘘をつくこともよくあることだ。狸を助けるためについた嘘が、回り回って、とんでもない災いのもとになることだってあるかもしれない。 村の掟を破った重い荷物を、この先背負っていく覚悟があるか、しっかり考えてみなさい。 父に言われたことは。健太には初めての事ばかりだった。自分は狸が死にそうだと必死で、周りのことを何も考えもしなかった。 覚悟か…健太は膝の上で拳を握りしめて目を閉じた。 🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱 今日のお花🌹薔薇 心にいっぱいの 生きてるって 愛を詰め込んで きっと 花も 人も 咲いてるんだね ✨✨✨✨✨✨ 小さな庭の 小さな薔薇が 満開になりました🌹 一年に一度しか咲かない薔薇が 真冬に 2月のど真ん中に 花を満開に咲いています 健気すぎて 朝 姿を見るたびに 泣きそうになります 真冬に4ヶ月もかけて咲いてくれた薔薇に、毎日 頑張れ!頑張れ!とエールをもらっています。 あなたにもエールを💖 届くと良いなぁ 今日は 風がとても冷たいですね。 来週はもっと冷え込むとも。 風邪をひかないように、暖かくしてお過ごしくださいね💖 今日も素敵な夜を❣️
いいね済み
111
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 6 自分は一人 どこでも行って 生きていけると思ってた 孤独さえも忘れたと 強がって過ごしてた 生きることに精一杯だった日々 見えない根っこが 繋がって いのちを支えていることに ふっと氣づいた朝 見えない根っこが 繋がって どこまでも 暖かく 見守られていることに ふっと氣づいた朝 涙が 暖かいことに氣づいて 生きてるって心にしみたんだ 🌿年末の街角で、選定して切り落とした椿の枝をいただきました。 枝に付いていた小指の頭ほどの小さな蕾が2ヶ月経って、なんと!写真のように大きく育ち、ピンク色に膨らみました!その不思議に、いつか古武道の先生が教えてくれた言葉を思い出しました。 その者を生まれる前から死んだ後まで守護する神とされている産土の神様。他所に移住しても一生を通じ守護してくれると信じられている産土神。 人も花も、生まれた土地を離れても守られてるんだなぁと、いのちのありがたさを花に思い出させてもらいました。 生かされたいのちなら 今日を嘆くより 明日開く花のために 今日こそとひとふし 枝をのばそう そう、思いました。 暦の上では立春🌱 春の始まりですね!✨ 🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱 so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 6 家に駆け戻った健(たける)は、牛の世話をしている父を見つけると駆け寄った。 父さん!大変なんだ。 狸がすごい怪我をしてて! 一緒に来て! 早くしないと死んじゃう! 涙声で呼びかける健の言葉を 一瞬手を止めて聞いていた父は 待ちなさい と言うと、背を向けて 牛の世話に戻った 自分の言葉が聞こえなかったのか? と思った健は、もっと大きな声で父に呼びかけた 早くしないと死んじゃうよ! お願い!お願い! 一緒に来て! その言葉を聞くと、父は強い声でピシャリと言った。 待ちなさいと言ったんだ。 牛の餌が先だ。 めったに声を荒げない父が強い語調になった時は、逆らえない。 足踏みをしていた健は黙って、牛の世話が早く終わるように手伝った。 まもなく、餌やりが終わり、父は汗をふきながら健についてくるように促して、家の中へと入っていった。 土間に続く縁側に腰をかけると、父が口を開いた。 何があったか聞こう 健は、山で罠にかかって怪我をした狸を見つけたこと。罠で傷ついた足の怪我が深くて、このまま放っておいたら死んでしまうかもしれないこと、直ぐに一緒に来て助けて欲しいと父に頼んだ。話ながらポロポロ涙を流す健に、顔を拭きなさいと手拭いを渡して、父は静かに話し始めた。 お前も大きくなった。 村に生きるとはどう言うことか、話をするときが来たようだな。 いいか、これはとても大切な話だ。しっかり聞きなさい。 そう言うと、父は真剣な顔で健を見つめた。
いいね済み
162
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 5 同じじゃないと指さされ 咲けない自分を嘆いた時も いのちの中では 生きた全てが 少しずつ力になって 花咲くつぼみを育ててる みんな 自分の時をもつ 人と同じじゃなくて良い お前しかお前の花を咲かせることは できないんだ 焦ることも 悩むこともない その事を忘れないんだよ 父さんはそう言うと、 足元に咲いた一輪のツワブキを摘み 「母さんのお土産にしよう」 そう言って子供に笑いかけ、 そっと背負いかごに入れた。 🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁 父の名前は春彦、母の名前は梅と言った。故郷に戻ってまもなく2人に子供が生まれ、名前を健太と名づけた。 健太は手のかからない子で、良く飲み良く眠りすくすくと育ち、3歳になる頃には、家で飼ってる家畜の世話も手伝うようになっていた。 健太が7歳になった頃、畑からの帰り道藪の中で動くものを見つけた。 何だろう?猫? それは、子供の狸だった。 藪の中から低いうなり声をあげて健太を威嚇する狸の足元を見ると、血が流れていた。 お前、怪我をしてるのか? 草や枝をどけてみると、罠にかかった狸の足が、動きまわったためだろう皮膚が裂けて痛々しかった。 あぁ、これはひどいね。 僕じゃ外せないや。傷がひどくなるから動いちゃダメだよ。父さんを呼んでくるから待っててね。 再び枝や草で狸を隠すと、健太は家に向かって走り出した。 🌸今日のお花 ツワブキ 写真は11月23日撮影 新宿御苑のツワブキです 花言葉 🌱謙譲 困難に負けない ちょっと木陰でも、寒さに花が少ない時期に、固い土や石や岩だらけの場所で葉を広げ花を咲かせるツワブキ❣️素敵な花ですね。
いいね済み
114
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その4 光のあたった木の幹に ふれるとほんのりあたたかい 空にあった太陽が この子もあの子も見える全てを 母が乳飲み子を抱くように 優しく包んで暖めている 大きな樹に寄りかかって 母さんは空を見上げる 私も一緒 🍁 山際の田畑が見渡せる土手に腰かけて、父親と小さな男の子が、おにぎりを頬張っていた。 母さんのおにぎりは 美味しいね ぼく、お母さんのおにぎり大好きだよ。大きくなったらぼくも、お母みたいな人と結婚したいなぁ。 男の子の言葉に ははは。と父親が笑いながら、ぽんと手のひらをこどもの頭においた。 母さんは最高だよなぁ。 これは、母さんには秘密だぞ。 男の子は笑って頷きながら聞いた。 ねぇ、母さんは父さんと結婚する前、どこに住んでいたの? 母さんは町で育ったんだ。ここには働く所がなかったから、父さんは学校を卒業してから町に引っ越して、会社に勤めて、そこで母さんに出会ったんだよ。 そして、結婚してまもなくに、親父が、つまり、お前の爺ちゃんが突然倒れて亡くなってしまったんだ。。田畑も荒らしてしまうわけにはいかないから、どうしようかと父さんが悩んでいた時に、お前の母さんが、やってみようって背中を押してくれたんだよ。 母さんは農業も農家のことも知らずに育ったから、こんな田舎に来るのは、そりゃあ覚悟が必要だったと思うんだが、迷ってる父さんの背中を押してくたのが母さんだった。 あなたの故郷が 私の故郷になるのも面白いから 2人で新しい人生を楽しみましょう。 って言ってくれたんだ。 本当に、母さんは最高だろう? それで、父さんと母さんは会社をやめて、ここへ帰って来たんだよ。 そっかぁ、なんだか格好いいね。 大変だった? そうだなぁ。父親はしばらく思い出すように、遠くを見つめ、言葉を続けた。 はじめは若い人が戻ってきたと、村のみんなが歓迎してくれて、田畑の世話なんど教えてくれたが…そりゃあ、始めての事ばかりだから、思うように作物ができなくて、あそこの息子は野良仕事もまともにできないと馬鹿にされて笑われたよ。そうして、町の生活が恋しくなったこともあったよ。 それでも、いろいろ勉強したり、教えてもらったり、工夫したりしながら母さんと頑張って、2年、3年とたって、何とか一通り野良仕事はできるようになったんだ。はじめは大変なことも、できるようになると嬉しいもんだよ。 おにぎりを頬張りながら話をしている2人の頭の上を、トンビがゆっくりと舞っている。 色づき始めた木々が、秋の光の中でキラキラと光る空を指さして、父親が男の子を優しく見つめて語りかけた。 お前は 空が青いのは あたりまえだと思うかい あの山が赤や黄色に輝いて綺麗なのも、太陽がこうしてあたためてくれるのもあたりまえだと思うかい 母さんが握ってくれた このうまいおにぎりを食べられるのも あたりまえだと思うかい ありがたい という言葉は 有り 難い と書くんだが あるのが難しいほどのことが 今ここにあるんだよ お前には まだ難しいかも知れんが あたりまえじゃない幸せが周りに溢れていて 氣づかせてくれる言葉なんだよ その事を 忘れなければ 心に嵐がふくような時も 心が穏やかでいられる 父さんは きっと大丈夫って 辛いときも進んでこれた 親父が今のように 野良で一休みする度に 何度も 何度も そう教えてくれたんだ ありがたい その言葉に、父さんは何度も支えられてきたんだよ 男の子は お握りを一口かじり ぼくまだよくわからないけど このお握りは 大好き お握り ありがとうだね と父親に笑いかけた。 そんな子供の言葉に 笑う父の笑い声が 秋の山に木霊していった。 🍁たぬき桜 再開します😊。
いいね済み
148
いいね済み
so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その1 あなたが生きている 私が生きている 花が咲いて 風に揺れるたび 弾ける光が 花びらから舞い上がる 一緒にいると こんなに あたたかい 一緒にいると こんなに 胸がいっぱいになる あなたが いる風景が 愛おしさで満ちてみちて いつの間にか 世界の全てが 花になる 光になる そして あふれた愛が 涙になって とめどなく頬をつたう 今 ハルジオンの 光のなかに✨ 🌱今日のお花 ハルジオン 花言葉♡追想の愛 この花を吹きすぎる風は みんな優しい風になる もしも 私が 広い広い 野原を持っていたら 一面に ハルジオンを 咲かせてみたいなって思う この花は薬草になります。 どうぞ 大切な人のために 覚えておいて下さい 🌱薬効・用い方🌱 🟢糖尿病予防やむくみをとる 乾燥した花や葉を混ぜて、1日約10グラムを、適量の水で煎じて、お茶のように飲用します。 糖尿病の予防には、乾燥した花を粉末にして、1回2グラムを服用します。 また、食用になります。 若芽はやわらかいので、適時採取して、塩を入れた熱湯でかるく茹でてから、水にさらしてアク抜きをしてから調理します。 おひたし、あえもの、油いため、佃煮などにします。特に若い葉は、そのままころもをつけて天ぷらにして香りを楽しむ事ができます。 🌱採集と調整 開花期に花を採取して、陰干しにして乾燥させます。葉は、随時採取して天日乾燥させます。 薬の撒かれてない、清潔な土地の花を探して下さいね。 🌱✨ 物語を始めます。 良かったら読んでください🤗 #so・raの小さな物語 #たぬき桜
いいね済み
144
so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その6 朝になった。 約束通り、楽しそうにチュンチュンとさえずりながら雀がやって来た。 決まったかい? 雀がたずねると タンポポは嬉しそうに答えた。 うん! やってみる! きっと、こんなチャンス一生に一度だ。 できるかできないか考えて、ここでまた引っこ抜かれる事を心配して過ごすより、僕は可能性を試してみたいよ。 それに それに! 空から、僕たちの住んでる世界を見てみたいんだ! やっぱり! そう言うと思ったよ。 さぁ、それじゃ、僕の胸に捕まって! そう言うと、雀はタンポポの綿毛を胸に擦り付けた。綿毛のいくつかは、風に乗って舞い上がったが、何個かの綿毛が、雀の胸にうまく潜り込んだ。 うまくいったね。 じゃあ、行くよ! 雀は、空へと飛び立った。 雀の胸羽の中に小さくなって捕まりながら、タンポポは地上の景色を見下ろした。 地上の世界は、なんていろんな色で溢れて綺麗なんだ。みんな不思議なほどキラキラしている! あれが地上の世界なのか。 タンポポは、初めてみる風景にワクワクしながら景色を見下ろした。 小高い丘を越え、川を越え、畑を越えて、一面花の咲き乱れる場所に来た。 凄い! 木の枝みんな花だ! あんなの見たことない。 あれは何て言うの? タンポポが驚いて雀に尋ねた。 雀は、笑いながら答えた。 あはは。 そうかぁ、君は初めて見るんだね。 花壇にはないからね。 あれは桜って言う花だよ。 春になるとあっちでもこっちでも咲き出すんだ。 綺麗だろ。 タンポポはうっとりしながら答えた。 本当に綺麗だ。 そして、少し考えて続けた。 でも、僕がいたい場所じゃない氣がする。綺麗だけど…。 華やかな所より、もっと、穏やかに光が溢れてるところ。僕らしく咲けるところにいきたいなぁ。 そう言うと思ってたよ。 じゃあ、とっておきの場所に案内しよう。 そう言って、雀は向きを変えると、木々に囲まれた広い草原へと飛んで行った。 そこでは、朝の太陽の光を受けて、たくさんの小さな野の花があっちこっちに花を開きはじめていた。 初めてのはずなのに、なぜだろう。なんだか懐かしい。景色を見回していたタンポポは、ハッと氣がついた。 そうだ! ここは、いつか僕が居た場所だ! 初めて芽吹いた所だ! 雀くん、どうして知ってるの? こんな所にいたくないって、いつもどこか遠くに行くことばかり考え過ごしていたところだ。 周りの風景を見ることもなく、 声をかけてくれる小鳥たちと話すこともなく、自分にもっと相応しい所があるはずって、そんなことばかり考えていた。 あぁ、懐かしい風景。 太陽がなんてあたたかいんだ。 タンポポは雀に言った。 雀くん、ここで下ろしてくれないかい? 雀は笑いながら言った。 見つけたんだね!君の居場所。 君は僕を覚えてないかも知れないけど、僕もここで生まれたんだよ。 初めて草原を歩いたとき、君の花の黄色が眩しくて、君に話しかけたんだけどね。君は上の空で、僕を見ようともしなかった。 本当に? 雀くん! じゃあ、君はあの頃から僕を知ってたのかい?君の事を無視してた僕なのに、覚えてくれてたなんて…本当にありがとう。 僕ったら、生まれた場所が嫌で、こんなに素敵な所なのに、幸せを探して飛んでいきたくて空ばかり眺めてたんだ。 雀は嬉しそうに じゃあ、降りよう! と言うと草原に降り立ち、 パタパタと羽ばたいた。 その風でタンポポの綿毛は舞い上がり、草原のあちこちにふわふわっと飛んでいった。 雀は、タンポポの様子を見届けると、空へ舞い上がった。 これでお別れだ。 元気でね! ありがとう~!雀くん! 僕今度こそここでたくさん幸せを咲かせるよ。いつかまた来てね! 雀はチュンとひと鳴きすると、 空の彼方に小さくなって消えていった。 野原のあちこちで、タンポポは根をはって、花をつけて、広がっていった。 春が来て 夏が来て 秋になり 冬が来て 小さないろんな出来事もあったけど いつしか、野原はタンポポの黄金色の花で一杯になった。 時々葉を食い荒らす虫たちを、小鳥たちに退治してもらったり、 周りの花たちと、取り留めもない話をしたり。今は、そんな毎日がタンポポには夢のような日々だった。 タンポポの花の上に 風に乗って山桜の花びらが ひらひらと舞いおりる 春の光が 野原に降り注ぎ タンポポは大きく息をする 長いたび、いろんな事があった。 全ては僕に帰る旅だったんだ。 僕は生きてる なんて幸せなんだろう 🌱 タンポポの小さな物語を読んでくださって、ありがとうございます。 タンポポの花なら、最後はどこに根づくことを願うんだろう? 花の幸せって何だろう? そんなことを思いながら書きました😊あなたなら、どこに咲かせてあげるのでしょう? 花は、この世界で生きる人への神様からのエール、そんな言葉を聞いたことがあります。 日々の風景のどこかに見つけるタンポポの花。その度いつも懐かしい友達にあったような氣がして、優しい元氣をもらいます。そして、こんなに可愛い花が一年中身近にあるって、とっても素敵な事だなって思います。この小さな物語を楽しんでいただけたら嬉しいです🤗💖 大好きなタンポポから 愛を込めて💕 ✨この物語は、下の 🏷️タンポポの小さな物語🏷️ のタグを押していただくと、6話を見ることができます。 ぜひ、またタンポポに会い来てください🤗🌱
いいね済み
134
so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その5 降り続いた雨でできた小さな水溜まりに、具合良く根っこをつけたタンポポは、ちょっぴり元気になると根っこを土に潜らせていった。 そこでは、花壇から草と一緒に抜かれた花たちも、根っこを伸ばして、あちこちで小さな花をつけていた。 タンポポは、思った。 そうさ、いつだって今が始まり。 どこに咲いても どんな時も 僕は僕なんだ! 花を咲かせよう! 咲けるかどうかなんて関係ない 僕は花!咲きたいんだ! そして、抜かれたときに一つ残っていた蕾を満身の力で育て、雨が上がり暖かな日が続いたある日、 小さな花をつけ、 やがて小さな綿毛をつけた。 やぁ! 復活だね! 声の方を見ると、いつかの雀だった。 君ならやると思ったよ! そろそろ花が咲くかなと思って、来てみたんだ。 雀との再会にびっくりしながらも、タンポポは嬉しくて、花びらをひときわ光りに輝かせてこたえた。 やぁ!雀くん! また会えて嬉しいよ。 そして、ほんとに君のお陰だよ! 君が助けてくれたお陰だ。 それに、あの時君とした話。もう終わりかもって思うたびに、君の言葉を思い出してた。 自分は誰のために咲くんだ? 君の言葉を心に繰り返してたんだ。 雀は嬉しそうにタンポポの周りを一回りすると言った。 思った通りだ! 本当に君は逞しくなったね! そして、突然何かを思いついたように、いたずらな笑みを浮かべると、タンポポに尋ねた。 ねぇ! 君冒険をしてみたくない? 空から地上を見下ろして、自分が根を下ろす場所を探してみたくない? 雀の提案にタンポポはビックリした。 えー! からかわないでよ。 僕は君のように羽はないし、風にのってせいぜい近くに飛んでいけるぐらいさ。 アハハ。 笑うと雀は続けた。 それは、普通はそうだろうけど…。 僕、思いついちゃったんだ! 君の綿毛を僕の胸羽に隠して空を飛ぶのさ。どこまで持っていけるかわからないけど…面白そうだと思わないかい? タンポポはビックリしつつ、ワクワクした。 凄い! できるのかな? でも、やってみたい! 雀は嬉しそうに、チュンチュンと小さくさえずりながらタンポポの周りを歩き回ると、 綿毛は明日頃がちょうどいい感じになりそうだと呟いた。 それじゃ、明日の午前中に来よう。 それまでに決めておいてね! そう言って飛び去った。 空が茜色になり、 やがて薄紅になり、 淡いブルーになり、 やがて星空になっても、 タンポポはドキドキしながら空を見上げて、その夜は眠れなかった。 続く 🌱ハナニラが小さな花を咲かせ始めました。固い土の地面からもしっかり顔を出して咲いてくれる 強くて可憐な花。 素敵な花ですね✨
いいね済み
109
so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その4 雀が続けた。 君は誰のために生きてるんだい。 誰のために咲くんだい。 君は他の花と比べて不幸だって思ってるみたいだ。この先も同じ繰り返しなら、消えてしまいたいって思うのかもしれないけど。…忘れちゃいけない。 それでも、君は生き抜いてきた! 生きたいって思って種を飛ばしたんじゃないのかい? そう言うと、雀は空を見上げてしばらく黙った。 そして、ゆっくりと言葉を続けた。 僕には仲良しの友達がいた。 いつも2人で一緒にいたずらしたり、 親の眼を盗んで遠くまで出かけたりしてたんだ。 君は知らないかもしれないけど、僕らはみんなで助け合って、危険を知らせたり、餌の情報を伝えあったりしてるんだ。 そんな決まりが鬱陶しくて、 冒険してこそ一人前だ! なんて思ってたんだよ。 そして、いつもよりもっと先まで行ってみようって、僕らが遠出した日に、鳶に見つかってしまったんだ。 そこは生憎体を隠す草も木もない、広い畑の続く所で、もう力の限界で、友達より少し遅れた僕が鳶に攻撃されそうになった時、先をいっていた友達が引き返してきて、 ここは任せて逃げろ!!って 鳶に向かっていったんだ! そして、 まだ逃げずにぐずぐすしてる僕に 後から追いつくから、 構わず逃げろ! って叫んだんだ。 その声に押されるように 僕は後も見ず一目散に逃げて逃げて やっと見つけた茂みの中に逃げ込んだんだ。 友達はほんとに飛ぶのが早くて、アクロバット飛行も得意だったんだ。 だから、きっともう少ししたらいつものおどけた顔で、凄い冒険だったよ!って現れると思ってたんだ。 そして逃げてきた方の空を 友達が飛んでくるのを、震えながらずっとずっと待っていたんだ。 だけど… 何時間もたって 夜になって 星や月が出ても 友達は帰ってこなかった。 朝になって太陽が登った時、 僕は恐る恐る茂みから出て、 僕らが鳶に攻撃された場所まで 行ってみたんだ。 そこには、たくさんの羽が散らばっていて…。 僕は、もう二度と友達に会えないことを知った。 あの事があるまで、僕はみんなで助け合ってる仲間の姿を、臆病者とか情けないとか思っていたんだよ。 だけど、こんな風に襲われて…きっとこんな悲しみや悔しさを繰り返して、みんなであみだした知恵だったと悟ったんだ。愛で助け合ってたんだよ。 遅かったよ。 大切な友達を失うまで、そんなことにも氣づかなかったんだ。 君は、土に生きている。 今ここに咲いてるほとんどの花は生まれた場所に根をはっていつか終わってしまうのに、君たちは綿毛を飛ばして、遠く離れた場所まで飛んでいくことができる。 それって、すごいことだと思わないかい? 新しい土地で、また花開くことのできる君らを、羨ましいと思う花だってきっとたくさんあるさ。 その時、ポツンと雨粒が落ちてきた。 雀は、空を見上げると、 おっと!いけない。雨が来る! もう帰らなくちゃ! そう言って羽を広げると、嘴でちょんとタンポポを摘まむと、草の山から窪みになってる地面に落とした。 僕ができるのはここまで! あとは、君が自分の力で切り開くか、諦めるかだ。 恵みの雨だ! その根っこの根性に期待してるよ! そう言うと、雀は飛び立っていった。 雀が嘴で落としてくれた地面は、 ちょうど木陰になっていて、小さな雑草たちがあちこちに咲いていた。 良かったわね、あなた。 命拾いしたわね。 雀の頭の上で、カラスノエンドウがピンクの花に雨粒を受けて、花を揺らしながら言った。 雨が降ってきたわ。 チャンスは一度限り。 あなたの頭に小さな蕾が一つ残ってる!うまくいけばもう一度花をさかせられそうね。 カラスノエンドウの言葉を聞きながら、疲れはてたタンポポは眼を閉じた。 しとしと しとしと 雨は降り続き、雪柳やカラスノエンドウの枝の下には、小さな水溜まりができていた。 続く
いいね済み
100
so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その3 雀はタンポポの周りをチョンチョンと歩き回っていた足を止めて、話しかけてきた。 君はもう、諦めることにしたの? タンポポはムッとした。 コイツなんにも知らないくせに、 なんてひどい言葉をかけるんだ! そう、思って雀を睨んだ。 ハハハ 怒ってるのかい! 君ったら、 自分はもう死にそうなのに、 そんな状態でも、まだ誰かに優しい言葉かけてもらうのを期待してるのかい。 雀の言葉に、タンポポは声を震わせながら言い返した。 お前だって、同じ立場になったらわかるさ! 引っこ抜かれて、どんどんカラカラに干からびていくしかない辛さ! あぁ、こんなのはもうこりごり! 一生懸命花を咲かせたって、喜んでくれる人なんかいない。それどころか邪魔だって引っこ抜かれて、どこへいっても嫌われものさ。 早く死んじゃって楽になったらいいんだ! 歩き回るのをやめて、タンポポの言葉をじっと聞いていた雀が続けた。 本気でそう思ってるの? ┐(-。-;)┌ やれやれ、ガッカリだ。 君の根っこを見て、少しは見込みのあるやつかと思って話しかけたんだけど…とんだ思い違いってわけか。 そう言われて、タンポポはハッとした。 僕の根っこ! 根っこの事なんか考えたこともなかった。そうだ!抜かれて体はこんなにカラカラなのに、まだ生きてる! タンポポはハッとして、自分の根っこを見た。 カラカラになった体の下で、ぷっくり膨れたその根っこはまだ元氣だった。 ガレージの隙間の割れ目で、門扉に削られながら、生きようと頑張ってきた日々。そんな思いが詰まったように太くなった根っこ! 辛いこと苦しいことが根っこを育てて、そして今僕の命を守ってくれてるんだ! そんなことに改めて氣づいて、タンポポははらはらと涙をこぼした。 おやおや、今度は泣いてるのかい? 雀は覗き込むようにタンポポに近づいて言った。 続く 🌸今日のお花 ナズナ
いいね済み
141
so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その2 タンポポの根づいた家の庭でも、春の花たちが咲き始めた。 真っ赤なボケの花、 白い雪柳、 色とりどりのパンジー 花壇ではチューリップが可愛い芽を出して、日に日に育っていった。 そして、朝になると奥さまが、花たちに声をかけながら水まきをするのだった。 可愛いわねぇ。 良く咲いたわね。 次は自分の番! そう思ってタンポポはいつもドキドキして待っていたが、奥さまはタンポポに氣づかないように通りすぎるのだった。 はぁ~ 僕はちび助で目立たないからかなぁ タンポポは、自分も春の花の仲間になりたいと思って、ぐんぐん葉を伸ばし花を育てた。 そして! とうとうある朝、 初めての花を開いた。 今日こそ僕を見つけてくれるかなぁ!そして、今年はたくさん綿毛を作って、今まで見たこともない素敵な所へ飛んでいくんだ! タンポポは意気込んで 朝日のなかで花を揺らした。 そして陽が昇る頃、いつものようにお花の手入れに奥さまがやって来た。 あら! こんなところにタンポポ まぁ今まで氣づたかなかったわねぇ。 そういってかがむと、タンポポをしげしげと眺めて 可愛いわねぇ。 とタンポポの花びらを撫でた。 タンポポは褒められて嬉しくて、頬を染めて、次はどんな言葉をもらえるんだろうと、わくわくして待っていた。 ちょうど今日は孫たちも遊びに来 るから、テーブルにこの花を飾ってみようかしら。 そう言うとタンポポの花をチョキンと切った。 そして、なんと!タンポポの葉っぱを掴んでベリベリっと引っこ抜いたのだった! 可愛くても増えちゃ困るものね。 何が起こったんだろう?タンポポは突然の出来事に目をまわして氣絶してしまった。 何日経ったのか それとも数時間だったのか タンポポが氣がつくと、雪柳の足元にカラカラになって転がっていた。 やっと目覚めたね。 君、大丈夫? そう話しかけたのは、真っ白な雪柳の枝の下で餌を探していた小さな雀だった。 (続く) 🌱今日のお花 雪柳 ユキヤナギの雪のように白く、小さく、可愛らしい花の風情が、 「静かな思い」「愛らしさ」の花言葉に。 街の散歩コースで、雪柳の花を見つけました。ピンクがかった蕾が愛らしく、花弁も少し大きめの雪柳でした。 蕾をつける 実を結ぶ その一瞬一瞬が 全て今をいきる命を喜ぶための 贈り物なのだと思うこの頃です 🌱
いいね済み
124
so.ra
✨タンポポの小さな物語✨ 広い野原の真ん中に タンポポが咲いていた 周りは枯れた草原で タンポポがぽつんと一つ 光を集めて咲いていた エサを探して 蜜蜂や小鳥がやって来ては 話しかけていったけど タンポポは上の空 もうこんな所は嫌だと 空を見上げて ため息ばかりついていた 僕も飛んでいきたいなぁ どこかへ どこか遠くに もっと幸せに暮らせる場所が きっとあると思っていた 風の日 初めて綿毛を飛ばして 飛んで飛んで 辿り着いたのは アスファルト道路の割れ目だった 土は固くて根もはれず こんなはずじゃなかったのに ただ一輪の花を 咲かせることだけを思って タンポポは一年やっと生きた ふたたび春が巡り タンポポは小さな小さな 花を咲かせた 綿毛を開いて 辿り着いたのは ガレージの隙間の小さな割れ目 ガリガリと門扉に擦られながら タンポポはまた一年やっと生きた 誰か仲間に会いたいなぁ もう 一人ぼっちは 寂しいなぁ そうして 空を見上げて あの広い原っぱを 懐かしく思い出していた ある日 見知らぬ野良猫がやって来た のそり のそりと 車のボンネットに登って 気持ち良さそうに 日向ぼっこしていた タンポポは思いきって 声をかけた ねぇ 猫さん どこから来たの あなたのお住まいは タンポポの花が咲いている? 猫はギロリと タンポポを睨むと めんどくさそうに口を開いた 人が気持ち良く昼寝をしてるのに うるさいちびすけめ お前の仲間なんぞ 知ったことか そういうと 車からトンと飛び降りて どこかへスタスタ歩いていった あぁ 猫さんを怒らせちゃた 僕も足があったらなぁ 続く 今日のお花 タンポポ タンポポの花の香りは好きですか? 綿毛を空に飛ばす姿を見るたびに タンポポの旅の先に 想いを馳せました。 タンポポを見ていたら、物語が書きたくなって、小さなタンポポのお話を書いてみようと思いました(*^^*)良かったら読んでください🤗 🌱✨
いいね済み
148
so.ra
パンジーの小さな物語🌸 そのさん お疲れさま。 仕事を終えてタクト君のママは、空を見上げた。キンと冷えきった空気に、一番星の青い光がキラキラと光っていた。 ねぇ、あなた。 頑張っても、頑張っても、楽にならないのよ。タクトの給食費を払ったら、また食費切り詰めなくちゃ。あの子もどんどん大きくなって、洋服もすぐに小さくなるし…。 だけど、わたしもあの子も、こうして元氣で生きている。あの子も、優しいいい子に育ってくれて、この幸せがずっと続くように、見守って下さいね。 そうして、あれこれ考えながらタクト君のお母さんが家につくと、ドアの前でタクト君が笑って待っていた。 まぁ!こんな寒いなか待っていてくれたの? 冷えたタクト君の腕をさすりながらママが声をかけると、 大丈夫! だって、ママの帰りはいつもおんなじ時間だから、ママの靴の音が聞こえたから、さっき出たばかりだよ。 それより、早く家に入って! タクト君に背中を押されるように家に入ると、うがいして手を洗ったら食卓にきてと促され、ママが食卓についた。 食卓には、小さなろうそくが灯され テーブルに手紙があった。 席について手紙を開くと、 お母さん おたんじょう日おめでとう🎁❤️ いつも いっしょうけんめい ぼくを育ててくれて ありがとう! ぼくは今日、とってもりっぱな子だねとほめられたよ。 お母さんがすばらしいからだねと、ほめられたよ。 だから ぼくもとってもうれしかったよ。 ぼくはお母さんのわらいがおが大好きです。だから、いっぱいお母さんのわらいがおを作れるような、大人になりたいです。 これからも 体を大事にして 元気でいてね。 大好きなお母さんへ タクトより そして笑顔のママの絵も添えられていました。 そうかぁ、今日わたしの誕生日だったのね。覚えていてくれてありがとう!子供にお祝いしてもらって氣づくなんてね。。。 涙声で言うママに、タクト君は、後ろにそっと隠し持っていた、パンジーの花を差し出した。 お母さん、お誕生日おめでとう❣️ これお誕生日のプレゼント✨🎁 お母さんが欲しいって見ていた、あのお花だよ。 照れたように差し出すタクト君から、お花を受けとると、ママは大切そうに胸に抱き締めて これ、ママが欲しかったパンジー フリフリのお花が可愛くて ありがとう❣️ 本当に嬉しい… あっ でも、このお花高くて買えなくて 諦めてたお花なのよ どうして買えたの? ビックリするやら 嬉しいやらで 涙でくちゃくちゃのママに はにかんだ笑顔を見せながら タクト君が答えた。 あのね、遠足のおやつのお金 使わないでお花にしたの。 せっかくママがおやつを買うようにくれたのに、ごめんね。 でも、大丈夫だよ。 僕が忘れたことにしたから、みんなからおやつを分けてもらっちゃった(^_^;)あはは。。 それから、タクト君は、 ヒロカちゃんとお花やさんに行ったこと。お花やさんのおじさんとの話を、嬉しそうにママに話した。 あのね、ぼく生まれてはじめて、大好きなママにプレゼントできてすごく嬉しかったんだ。ママの喜ぶ顔をいろいろ考えてるとき、すごく幸せだった。お花は天国のパパとぼくからだよ。 それからね、いつかたくさん花を買えるお金持ちになったら、あの花屋さんを喜ばせてあげるって男の約束もしたんだよ!素敵でしょ! ママは、嬉しくて 一回りもふた回りも 大きくなったような我が子を抱き締めて、あとからあとから 涙が止まらなかった。 2人の食卓の小さなろうそくの光に、 ピンクのリボンをかけられた パンジーの花がほんのり頬を染めて 優しく微笑んでいるようでした。 🌸今日のお花 パンジー🌸 パンジーの小さな物語 とりとめない物語を、読んででくれてありがとうございました。 お花の思い出は、人それぞれにあるのかなって思います。お花が咲くたび、お花に出会うたび、よみがえる幸せな思い出って素敵ですね💖 子供は、あっという間に大人になってしまうけど、その優しくて繊細な魂との時間は、かけがえのない素晴らしい贈り物だとあとから氣づいたりするものですね。 そして、その人生で、たったひとつの言葉や、たった一度の出来事が、 一生の宝物になることがあります そんな思いを もしも、もらってきたなら 強い強い愛で生きる力になるのかなって。 何度でも 大好きだよって 伝えあっていきたいですね 今日も素敵な夜を💖 お休みなさい✨
いいね済み
125
so.ra
🌸パンジーの小さな物語🌸 そのに お花やさんには、色とりどりのパンジーが並んでいた。 タクト君はヒロカちゃんとママへの贈り物を探しながら、お店の中をあちこち歩いた。 みんな結構するね。 ヒロカちゃんがため息をついた。 うん。 ママが欲しいって言ってたのは、あのヒラヒラのパンジーなんだ。 だけど、高くて買えそうにないや。 タクト君もため息をついた。 そんな様子を見ていた花屋のおじさんが、2人に声をかけてきた。 坊やたち2人でお買い物? どんな花を探しているの? あのね、 ママにお誕生日のプレゼントに お花をあげたいなって。 いつも、ママが欲しいなって見ていたあのお花を買えたらいいなって。でも、持ってるお金はこれだけなの。 そう言うと、タクト君は、ポケット中でぎゅっと握りしめていた300円をおじさんに見せた。 なるほど。そのお金じゃ、このお花は買えないね。このお花を買うのには、あと200円はようなんだよ。 おじさんがそう言うのを聞いた、タクト君の目から涙がこぼれそうになり、あわててタクト君は袖で目をぬぐってニッコリした。 ありがとう、おじさん!子供なのに、ちゃんと大人の人に話すみたいに、僕に話してくれて。 僕は今このお金しかないの。 今日の遠足のおやつを買わないでとっといたお金なんだ。 だから、少ないかもしれないけど、このお金で買えるお花を教えて下さい。そう言ってタクト君は頭を下げた。 そんなタクト君の言葉を、黙って聞いていたおじさんは、タクト君の話が終わるとニッコリ微笑んで言った。 坊や!小さいのにしっかりした話ができて偉いね。 君のお母さんのお気に入りは、このパンジーの花なんだね。それなら、この花を特別に300円で売ってあげよう。なあに、坊やの心意気に先行投資だ! そのかわり約束だ!坊やがお金を稼ぐようになったら、うちの花屋でバンバン花を買ってくれよ。 そう言うと、おじさんは顔中をシワシワにしてニッコリと微笑んだ。 おじさんの言葉に、タクヤ君とヒロカちゃんは、にっこり顔を見合わせると、ありがとうございますと、深々とお辞儀をした。 タクヤ君からお金を受けとると、『おお、ほかほかしとる』と笑いながら、おじさんは、特別大々サービスだよと、パンジーの鉢にラッピングしてリボンをかけてくれた。 良かったね 嬉しいね お母さん、どんな顔するかなぁ お花やさん、素敵だね。 わたしもあんな大人になりたいなぁ そんな話をしながら、家へと帰る道。 タクヤ君の腕の中で、パンジーの花がキラキラ輝いていた。 続く 🌸今日のお花 パンジー🌸
いいね済み
118
so.ra
🌸パンジーの小さな物語🌸 そのいち 久しぶりのお天気 公園では子供たちが 鬼ごっこやボール蹴りをして 楽しそうに遊んでいた 公園の小さな花壇の前には 少し古くなったブランコもあって 遊び疲れた子供たちが ブランコでお喋りしながら 一休みしていた ねぇ 明後日の遠足のおやつ買った? ヒロカちゃんが、ブランコを軽くこぎながらタクト君に訪ねると タクト君は首をふった。 そっかあ わたしもまだなんだ。 じゃあ、明日一緒に買いにいかない? うん、いいね! タクト君も嬉しそうに頷いた。 タクト君たち小学生3年生は、 今度近くの動物園に社会科の見学にいく予定だった。 小さな動物園だが、小動物とのふれあいもできるので、子供たちはとっても楽しみにしていた。 300円以内のおやつも持って行っていいことになっていたので、どんなおやつを買おうかと子供たちはワクワクしていた。 『ママ、お弁当つくるの大変だから、おにぎりだけでいいよって言ったんだ』タクト君がポツリと言った。 タクト君のママ、いつも忙しそうで大変だね。ヒロカちゃんのことばにタクト君が頷いた。 パパが死んじゃってから、ママは日曜日も休まないで働いてるんだ。 ママ働きすぎだよって言うんだけど、うちは貧乏だから、働かないと大変なのよって…。そういうと、タクト君はため息をついてうつむいた。 そっかぁ。 大変なんだね。 うちも、パパは遅くまで働いてて、お休みの日は寝てるんだ。だから、お料理の本を見て、わたしがご飯の支度をするの。パパはこげた卵焼きも美味しいって、すごく喜んでくれるから、もっとお料理がうまくなりたいなって思うんだ。 少し恥ずかしそうにヒロカちゃんが話すのを、タクト君は聞きながら何か考えてる風だった。 ヒロカちゃんは、えらいね。 僕は洗濯をこんだり、茶碗を運ぶくらいしかできなくて…。僕も何かできたらいいなって思うけど、ママはちゃちゃっとできるからいいよって言うんだ。 タクト君がため息をつきながら言うと、ヒロカちゃんが笑っていった。 じゃあ、何かママが嬉しくなるような事を考えたら? 例えば? お誕生日のお祝いとか? ヒロカちゃんの言葉に、タクト君は顔を上げてにっこりした。 明後日!ママの誕生日なんだ! そっかあ(^ー^) 何かビックリさせるようなお祝いしたいなぁ タクト君がそう言うと ヒロカちゃんもニッコリした。 うん!それいいかも! それで、何が言いかなぁ? 2人であれこれ考えて、プレゼントをあげようって事になった。 タクト君のママは何が好きなの? 好きなのは?…しばらく考えて、タクト君がポン!!とブランコから飛び降りると『お花だ!』 大きな声をあげた。 その声に、周りで遊んでた子達が一斉に振り向いたけど、そんなことお構いなしにタクト君は、ヒロカちゃんの方を振り向くと続けた。 僕、知ってる! ママが欲しいもの! お花! 僕と買い物の帰りに、いつも角の花屋さんをのぞくんだ。そして、今度安くなったら買いたいなって、お花をながめてるんだ。 僕、お花をプレゼントするよ! パパが生きてた時、ママに花をプレゼントするのを見たことある!ママ、すごく喜んでた。だから、今度は僕があげるんだ! ねぇ、いい考えだと思わない? ヒロカちゃんも、うんうんと頷きながら嬉しそうに聞いていた。 うん!すごくいい考えだと思う! それで、お金はどうするの? 遠足のおやつを買うおかね貰ったから、そのお金で花を買うよ。 えーっ!本当に?みんなおやつ食べてる時おやつなしだよ、いいの? ヒロカちゃんが心配して言うと、 みんなには忘れたって言うよ。 男に二言はない!そう言うと あっ!だけどみんなには内緒だよ。 と、シーッと動作をして笑った。 わかった。 内緒にする(*^^*) ヒロカちゃんと顔を見合わせて、タクト君は嬉しそうだった。 そして、明後日一緒にお花を買いにいこうと約束して、2人は帰っていった。 続く 🌸今日のお花 パンジー
44件中 1-24件 を表示

人気のコラム一覧

2024.02.14

春に咲く花といえば?4〜6月に見頃を迎える春の花一覧

by.GreenSnap編集部
2025.02.27

100均の製氷ケースで寄せ植え!おしゃれな多肉ポットをつくろう

by.hana (a piece of dream*)
2022.08.31

クローバー(シロツメクサ)の花言葉|葉の枚数によって幸せにも怖い意味にも...

by.GreenSnap編集部
2020.01.29

カット苗を買ってきたら?購入後の手順と根を出させるコツ

by.mokutaro(杢太郎)
2020.01.15

小さな多肉がギュギュぎゅっと。魅惑の「多肉畑」へようこそ!

by.内田アリ
2024.02.14

冬に咲く花といえば?寒い時期を彩る人気の冬の花一覧

by.GreenSnap編集部