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醜男
夷草(エビスグサ) マメ科センナ属の一年草。熱帯アメリカ原産で江戸時代に中国から薬用として渡来した。暖かい地方の畑地、空き地、道端、樹園地などに生える。葉は直立、分枝があり高さ50~200㎝。葉は互生、偶数羽状複葉を形成し、小葉は2~4対で3対が多く、倒卵形~楕円形で長さ3~4㎝、葉柄上に1個の蜜腺がある。花期は8~9月。花は葉腋から伸びた10~20㎜の花柄に1~2個つける。萼は長卵形。花弁は倒卵形で黄色、左右相称。果実は豆果。円柱形で長さ15㎝、25~30個の種子を入れる。種子は菱形で長さ5㎜、茶褐色。種子繁殖する。 種子を煎じてハブ茶とする。この種子は漢方名を『決明子(けつめいし)』という。よく似た波布草(ハブソウ)の種子からもハブ茶ができる。エビスグサのハブ茶とハブソウのハブ茶と紛らわしいが、一般にハブ茶といえばエビスグサを原料としている。ハブ茶は神経痛の緩和、高血圧予防、整腸作用などが期待される。種子を生のまま煎じると生臭くて美味しくないので、鍋やフライパンで軽く炮ってから煎じると香ばしく飲みやすくなる。ハブ茶が便通に効くことが広まったのは大正時代で、センナ末の代用として利用している。エビスグサには葉にも薬効がある。一般に粉末などにして全てを取り込む場合の効果は煎じて飲む場合の5倍であるといわれる。 胡草、恵比須草、夷草などと記すが、どれも『外国の草』という意味。 出典『日本帰化植物写真図鑑』『植調 雑草大鑑』『帰化&外来植物 見分け方マニュアル 950種』『薬草の呟き』
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醜男
胡麻(ゴマ) ゴマ科ゴマ属の一年草。原産地はインドともアフリカともいわれる。世界で広く栽培される。中国では胡の国から来たということであるが、日本には古い時代に中国から入ってきた。茎は四角形で高さ1m前後。葉は長さ約10㎝、長楕円形ないし披針形であるが、茎の下位の葉は広楕円形で3裂するものもある。葉茎は軟毛に覆われている。花期は7〜8月。茎の上部の葉腋に鐘状の花をつける。花は長さ2.5㎝で淡紫色、花冠の先は不等に5裂し、下唇3裂片は上唇2裂片よりやや長い。雄しべは4本で、そのうち2本が長い。果実は蒴果。種子は4〜8室に分かれた蒴果の中に、各室に9〜20粒入る。熟すと裂けて種子がこぼれ落ちるので、熟す前に刈り取って乾燥後、たたいて種子をとる。 胡麻は最も古くから利用されていた香辛料のひとつで、種子を利用する。種子の色により3品種に分けられる。白胡麻、黒胡麻、金胡麻があるが、中は全て白色。それぞれ特色がある。白胡麻には油の含有量が最も多く、江戸時代から胡麻油には白胡麻が使われていた。黒胡麻は特有の香りが強いので、胡麻和え、胡麻塩など料理に主に使われる。金胡麻は生産量が少なく高価であるため、一般にはあまり用いられない。カルシウム、リン、ビタミンEなどを豊富に含む強壮食品として利用されてきた。胡麻の脂肪油はリノール酸、パルミチン酸などからなり、脂肪油以外の成分としてセサミン、カルシウム、ナトリウムなどのミネラルが多いアルカリ性食品である。かつては日本でも広く栽培されていた。しかし、収穫に手間がかかることや、採算をとることが難しいことなどから、多くの農家が栽培をやめてしまった。店頭で見かける胡麻の99%以上は海外から輸入されているものである。主な輸入先はナイジェリア、ブルキナファソ、タンザニア、ミャンマー、パラグアイなど。 かつて中国では、西側(中央アジア。現在のイランあたりがその中心)の異民族を胡と呼んでいた。そのため、シルクロードを通じて西から伝わってきた文化の多くには『胡』の文字が使われていた。胡瓜(きゅうり)、胡桃(くるみ)、胡弓(こきゅう)、胡座(あぐら)など。胡麻もそのひとつ。胡から伝来したもので、種子が麻に似ていることが名前の由来。 出典『食材図典』『薬草の呟き』『日本大百科全書』『ごまのすべてがわかる本』
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醜男
茄子(ナス) ナス科ナス属の一年草。インド東部から東南部原産と推定され、中国や中近東からアフリカには5世紀以前に伝播した。以来中国では主要野菜となり、各種の品種が分化発達した。日本では8世紀から記録があり、現在は全国的に長卵または中長形が栽培されるが、元来品種の地域差が明瞭な野菜で、地方色は現代の品種にもなお一部に生きている。へたに刺があり、果皮がいたみやすく病害虫が多いなど、生産上は扱いにくい面があり、栄養価も乏しいとされてきたが、淡白な味で和洋中華や漬物などに幅広く利用され、一定の需要を保っている。 草丈は早生品種で50~60㎝、晩生品種では1m以上になりさかんに分枝する。茎、葉柄、葉脈、萼にとげがあるものもある。茎や葉には灰色の腺毛や鱗片状の星状毛がある。葉は楕円形で、長さ15~40㎝、長い葉柄があって互生し、一般に濃紫色を帯びる。花期は6~10月。花は茎に側生し、普通は一花が下向きに開くが、品種によって三~五花を房状につけるものがある。その場合でも結実するのは最初の一花だけであるが、まれに一房に数花をつける品種もある。花冠は直径3㎝ほど、浅い杯状で数片に分裂し、紫色。 果皮の黒色はナスニンによる。アントシアニン色素で変色しやすいが、アルミニウムや鉄のイオンと結合すると藍色になって安定する。古くからナスの漬物に古釘やミョウバンを入れるのはこのためである。低温下では果皮が萎び、種子が褐色になるので、10℃前後で保存する。栄養成分は少ないが、繊維は比較的多い。果皮のナスニンや褐変物質のクロロゲン酸は抗酸化作用の優れたポリフェノール類で、老化抑制やガンの予防のほか、前者は動脈硬化の予防や眼精疲労の回復、後者は血圧や血糖値の正常化に有効とされる。 現在の日本のナスは、諸外国の黒紫色の品種と比べてもとくに濃い漆黒でつやがある。これは紫外線の弱いハウス栽培でも色ぼけしないように、改良が重ねられた結果である。ナスの色はアントシアニン系の黒や紫のほか、葉緑素により全体が緑の縞になるものと、色素のない白色がある。アジア諸国ではいずれもふつう食用とされ、卵形の白ナスはまさにeggplantである。果皮の色は味や品質には直接にはかかわらないが、黒紫色の品種以外はあまり改良が進んでいない。日本でも江戸時代からこの3種類が存在したが、現在は青ナス(緑色のナス)がわずかに栽培される程度で、果皮や果肉がややかたい白ナスはおもに観賞用とされる。呼称としては黒紫以外の緑や白色のものを白ナスと呼ぶこともある。なお青果として用いるナスは未熟果で、熟すると数倍大きな黄色の果実となり、食用には適さなくなる。 ナスは漢字では『茄』が当てられ、『茄子』と書かれることもある。『茄』は植物をさし、『茄子』はその果実のことであるという。日本への伝来時には『奈須美』となっており、ここから『ナスビ』と呼ばれ、転じて『ナス』になったとされる。また、ナスは『為す』『成す』の意味で、果実がよく成ることに由来するという。『和名類聚抄』では、『茄子は、中酸美(なすび)の義なり、その実少しく酸味あればなり』という説を紹介している。『初夢や 一富士二鷹三茄子』と珍重されるのは、ナスに成すをかけて新年のめでたさを祝ったものであろうが、一説には江戸時代早くも東海地方の暖冬地でナスの促成栽培が始められ、夏の野菜が初春に珍しいということで得難い貴重なものとして比喩に用いられたともいわれる。『秋茄子は嫁に食わすな』の諺は、『夫木和歌抄』の『秋なすび醅(わささ→新酒)の粕につきまぜてよめにはくれじ棚に置くとも』から出たもので、秋ナスは味がよいので嫁には食べされるなという意味である。このほかに、秋ナスは体を冷やす食べ物で、また皮もかたく消化に悪いので、嫁の体を気遣ってのこととする説もある。『親の意見とナスビの花は千にひとつの無駄もない』のたとえは、ナスの花はウリ類などと違って雄花と雌花が分かれていないので結実率が高いことと、枝か茂って次々と開花結実し、落花が目立ちにくいことからいわれたものである。 出典『食材図典』『日本大百科全書』『野菜園芸大百科 ナス』
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醜男
下野(シモツケ) バラ科シモツケ属の落葉低木。山地の日当たりのよい林縁に生え、庭や公園に植えられる。葉は細身の水滴形で、細い葉や丸い葉など変異が多い。鋸歯は粗く角張り、不揃い。花期は5~8月。枝先に淡紅色や紅色、白色の小さな花を半球状に咲かせる。花には甘い香りがあり、たくさんの長い雄しべが花から突き出る。果実は袋果。長さ2~3㎜。5個が集まってつき、先端には花柱が残る。秋に熟すと裂開して種子がこぼれ落ちる。 名前は、下野(栃木県)で最初に自生種が見つかったことが由来といわれるが、定かではない。下野で調べられたから、下野から江戸に苗木が運ばれたからなど諸説ある。分布は広く他の地域でもごく普通に見られる。よく似た花をつける下野草(シモツケソウ)も本種もともにバラ科だが、本種のほうは草本ではなく木本という違いがあり、区別するために木下野(キシモツケ)の別名もある。 出典『里山の花木 ハンドブック』『草木の種子と果実』『樹木の名前』
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醜男
鳳仙花(ホウセンカ) ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草。インド、マレー半島、中国南部原産。日本には江戸時代に中国から渡来した。庭などに観賞用として植えられ、人家の周りに野生化している。学校などでもよく栽培され、小学校の理科の教材としても使われる。草丈50〜60㎝の高性種と20〜40㎝の矮性種の2タイプがあり、花形も、清楚な一重咲き、豪華な八重咲き、八重咲きのなかでも花弁数の多い椿咲きなど多数あって花色も豊富。花期は6~9月。花は花弁と萼片が組み合わさった複雑な形で、萼片の1つは後ろに細長く伸びた『距(きょ)』になっている。この奥に蜜があり、口の長いマルハナバチなどが蜜を吸う。雄しべはキャップ状に雌しべを覆い、花粉を出した後抜け落ちて中から雌しべが出てくる。この時間差の仕組みを雄性先熟といい、自家受粉を避けている。果実は蒴果。熟した果実は触れると果皮が急に裂けて内側に巻き、黒褐色の小さな種子が勢いよく飛び散る。属名のインパチェンスは不忍耐、気短、怒りっぽいなどの意味で、熟した果実が勢いよく裂けることに由来する。 名前は漢名の音読み。女児がこの花とカタバミの葉を揉み合わせて爪を染めて遊んだことから爪紅(ツマクレナイ)やツマベニとも呼ばれる。魚の骨が突き刺さったときに種子を飲むと骨が柔らかくなって抜けることからホネヌキという別名もある。 出典『散歩の草花図鑑』『都会の草花図鑑』『色と形で見わけ散歩を楽しむ花図鑑』『花の事典 970種』『薬草の呟き』
84
醜男
犬薄荷(イヌハッカ)/キャットニップ シソ科イヌハッカ属の多年草。ヨーロッパ原産の帰化植物。明治時代に長野県で知られ、筑摩薄荷(チクマハッカ)の名がつけられているが、その後も各地で散発的に見出だされている。全体に微毛があり、やや悪臭がある。夏から秋にかけて茎の頂に10㎝ほどのややまばらな花穂をつけ、白~淡青色の唇形花をつける。古代ローマ時代からハーブティーとして喉の痛みや風邪の予防に飲まれていた。英名をキャットニップCatnip(猫が噛む草)といい、ネコが興奮することに由来する。 出典『日本帰化植物写真図鑑』
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醜男
茴香(ウイキョウ)/フェンネル セリ科ウイキョウ属の多年草。地中海沿岸原産で香辛料、野菜、薬用に世界中で栽培される。日本でも古くから薬用などに栽培され、また、近年のハーブブームで家庭菜園などでつくられておりしばしば逸出する。地下茎から発生し、全体無毛、茎は中空で円柱状、上部で分岐して高さ2mに達する。葉は線形~糸状に細裂し葉柄基部は鞘状になって互生する。初夏に茎の頂に大きな複数形花序をつけ、小さな黄色の5弁花を多数つける。果実は卵状楕円形、香りが強く、薬用、香味料に使用される。胃の働きを良くし腸内のガスを排出する駆風作用や口臭を消す作用がある。魚料理やピクルスの風味付けに用いる。 出典『日本帰化植物写真図鑑』
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醜男
矢車薄荷(ヤグルマハッカ)/モナルダ シソ科ヤグルマハッカ属の多年草。北アメリカ原産。暑さ寒さに強く育てやすいハーブ。観賞用として花壇に植える。茎は断面が四角形で直立し高さ0.5~1mに達する。葉は対生し卵状披針形で長さ約15㎝。花期は6~10月。茎上部に数個の花からなる頭状花序を開く。花色は緋紅色のほか白、桃、紫色などで、花冠は筒状で2唇に分かれ長さ4〜5㎝、包葉は紅色を帯びる。 モナルダには、唇形で緋赤色の花を茎先に固まって咲かせタイマツバナの和名があるディディマ、桃色の大きな苞と黄色い花が美しいプンクタータ、ヤグルマギクに似たピンクの花をつけヤグルマハッカの和名があるフィスツロサなどがある。 民間療法では殺菌、鎮静など。また、通経作用、子宮刺激作用による月経の調整。妊娠中の使用は危険。授乳中も使用は避ける。苦味と辛味があり、タイムに似た芳香を持つ。乾燥させた葉をハーブティーに。また、精油として利用。ミカン科のベルガモットオレンジとは同名別種。 和名は松明花(タイマツバナ)。花を放射状に咲かせる様子を松明の火に見立ててこの名がついた。属名のモナルダで呼ばれることもある。北アメリカ原産の香料植物で、ミカン科のベルガモットと香りが似るため、ベルガモットと呼ばれることもある。 出典『薬用植物辞典』『日本大百科全書』『花の事典 970種』
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醜男
駒繋ぎ(コマツナギ) マメ科コマツナギ属の草本状落葉小低木。草地や川の土手、道端などの日当たりがよくやや乾いたところに群生する。高さ40〜80㎝の草本状の小低木で、茎や葉に伏毛がまばらにある。葉は奇数羽状複葉。小葉は7〜13個あり、長さ0.8〜1.5㎝の長楕円形。花期は7〜9月。葉腋に長さ4〜10㎝の総状の花序を出し、淡紅紫色の花をやや密につける。花は花序の下から咲き上がる。花は長さ4〜5㎜。果実は豆果。円筒形で長さ2.5〜3㎝。種子は球形でへそがややくぼむ。 茎が丈夫で引きちぎれないことから馬も繋ぐこともできるだろうというのが名前の由来。 道路の法面で高さが2m以上ある似た花を見るが、土留め用に種子を吹き付けた中国原産の唐駒繋(トウコマツナギ)、又は木立駒繋(キダチコマツナギ)と思われるが、種としては駒繋ぎとされている。 出典『野に咲く花』『日本帰化植物写真図鑑』『草木の種子と果実』『四季の野の花図鑑』『帰化&外来植物 見分けマニュアル950種』
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醜男
大葉擬宝珠(オオバギボウシ) キジカクシ科ギボウシ属の多年草。山野の草地や林内などに生える。庭や公園などで観賞用に植えられている。根茎は太くて短く、横に這う。葉は大きく、長い柄がある。葉身は卵状楕円形で先は尖り、基部は心形。裏面の脈が隆起し、脈上に小さな突起が少しある。花期は7~8月。花茎は高さ0.6〜1mになり、白色〜淡紫色の花を横向きに多数つける。花は筒状鐘形。花の基部には緑白色の苞がある。花は下から上へ咲きのぼり、花穂は長くなる。果実は蒴果。種子は扁平な楕円形で片側に翼がある。 ギボウシの仲間は学者の間でも分類に諸説があり難しいグループのひとつだが、本種はその中でも最も普通に見られる。本州の日本海側の山地に生えるものは花茎がそれほど高くならず、葉が粉白を帯びるものが多い。これをトウギボウシと称し、オオバギボウシをトウギボウシの亜種または変種とする考え方もある。 若葉はウルイと呼ばれる山菜で、柔らかく美味。ウルイはアイヌ語起源の言葉。最近は栽培され、販売もされている。塩少々を入れた熱湯で茹で、水で晒して絞り、酢味噌や胡麻和えにして食べる。生のものを天ぷらにする。煮浸しにしても美味しい。 日本の伝統的な木造の橋に欄干がある。欄干の柱に葱坊主の形をした飾りがついている。これを『擬宝珠』という。ギボウシの仲間の蕾はどれも、この擬宝珠と似ている。それでこの仲間にギボウシの名前がついた。擬宝珠の『宝珠』とは、竜王の脳から出た頭の尖った火焔形の玉をいう。これは仏教語で如意宝珠ともいって、どんな願いも叶える不思議な珠のことである。橋の欄干の柱を如意宝珠に似せて(これを擬という)つくることで、橋の安全や、橋を渡る人々に幸せがもたらされるように願う。さらに、この橋を邪悪な鬼たちが渡らないよう祈るとか、擬宝珠にはこのような橋の製造者の思いが込められていた。本種は葉が他の仲間の葉より大きいので『大葉』がついた。 出典『野に咲く花』『四季の野の花図鑑』『色と形で見わけ散歩を楽しむ花図鑑』『薬草の呟き』『野草の名前 夏』
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醜男
黄金花(コガネバナ) シソ科タツナミソウ属の多年草。原産地は中国北部からシベリア、モンゴル、朝鮮半島。日本では栽培品のみ。生薬として輸入されていたものを享保年間に幕府が小石川御薬園で栽培するようになった。根は円錐状で外部は暗褐色、内部は黄色。葉は対生して先端は尖る。花期は8月。茎の上部に唇形をした紫色の花を穂状につける。 漢方では根を黄芩(おうごん)と称し、解熱、利尿、止瀉、利胆、消炎剤としてよく用いる。 出典『薬草の呟き』『日本大百科全書』
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醜男
蓬菊(ヨモギギク)/タンジー キク科ヨモギギク属の多年草。ヨーロッパからシベリアにかけての原産で観賞用に導入され、各地で逸出、野生化している。全体に強いキクの香りがある。茎は堅く、あまり分岐せず直立し、高さ1mほどになる。葉は互生して奇数羽状複葉。花期は5~9月。茎の上部で分岐し、下唇は黄色い頭状花を多数つける。頭状花は全て筒状花。開花時に全草を乾燥して駆虫剤として使用された。また、煎じ液を服用すると食欲を増進し、胃を丈夫にするといわれる。ヨーロッパでは回虫の駆除や調味料に用いた。 出典『日本帰化植物写真図鑑』
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醜男
蛇の髭(ジャノヒゲ) キジカクシ科ジャノヒゲ属の多年草。別名リュウノヒゲ。山野の林内や林縁に生える。匍匐を出して殖え群生することが多い。庭や公園の下草として植えるほか、桜の根もとが踏み固められるのを防ぐために植えられる。葉は根生し幅2~3㎜の線形。花期は7~8月。白色または淡紫色の花を総状につける。果実は蒴果。ジャノヒゲの果実は果皮が早くに脱落し、種子がむき出しになって成熟する。果実に見える瑠璃色の部分は種子。種子は直径7~8㎜の球形。鳥が食べることもあるが、地際に種子ができるため目立ちにくく、あまり散布距離を伸ばさない。瑠璃色の種皮をむいて中の半透明の玉をコンクリートなどに投げつけるとよく弾む。 庭にもよく植えられる玉竜(タマリュウ)は園芸用の矮小種で背が低い。 名前は、細い葉を伝説の大蛇や竜のひげにたとえたもの。 出典『野に咲く花』『都会の木の実・草の実図鑑』
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醜男
葛藤(ツヅラフジ) ツヅラフジ科ツヅラフジ属の落葉つる性木本。別名、大葛藤(オオツヅラフジ)。葉は互生。切れ込みのない広卵形のものから、5〜7浅裂するものまで変化が多い。基部はハート形〜切形。質は薄い革質で、乾くと黒褐色になる。花期は7月。雌雄異株ときに同株。枝先や葉腋から円錐花序を出し、淡緑色の小さな花をつける。花弁と萼片は6個。雄花の雄しべは9〜12個。雌しべの花柱は3個。果実は核果。球形で黒青色に熟す。 名前は蔓で編んだ籠を葛籠(つづら)といったことに由来する。 出典『樹に咲く花 離弁花②』『草木の種子と果実』『薬草の呟き』
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醜男
青葛藤(アオツヅラフジ) ツヅラフジ科アオツヅラフジ属の落葉つる性木本。日当たりのよい道端や林縁などに生える。葉は卵形または広卵形で、多くは葉先が丸くときに浅く3裂する。葉の両面に短毛が密生する。花期は7~8月。枝先と葉腋から淡緑黄色の目立たない小さな花を多数つける。雌雄異株。雄花の雄しべは6個、萼片、花弁ともに6枚。雌花の雌しべの柱頭は6個、外側に小さい萼片が3枚、内側に大きい萼片が3枚つき、花弁は萼片より短く先が2裂する。果実はブドウ状になった直径6~7㎜の球形で、10月頃に黒紫色に熟し、白粉を帯びる。中にアンモナイトのような種がある。 植物のつるは古語でつづらといわれた。本種のつるは藤のように強く、緑色なので青が付き、青葛藤の名が付いた。昔は長くて丈夫なつるで衣服を入れる籠を編んだ。その籠が葛籠(つづら)である。 出典『花ごよみ365』『樹木の事典600種』『里山のつる性植物』
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醜男
小紫(コムラサキ) シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木。湿地などの近くに自生するが自生種はまれにしかなく、栽培種が逃げ出して野生化したものが多い。自家受粉により結実できるので実つきがよく、一般に市販されているものはほとんどが本種である。庭や公園に近縁種の紫式部(ムラサキシキブ)の名で植えられ、園芸店でもムラサキシキブといって販売されていることもある。葉は小さく、上半分だけに鋸歯がある。花期は6~8月。10~20個の淡紫色の花を葉腋の上部につける。花は雄しべ4本、雌しべ1本が突き出る。果期は9~11月。果実は核果。径3㎜ほどの球形で、葉の付け根より上につく。紫色を帯びた細い枝が長く伸びて枝垂れ、丸い果実が群がるようにつく。白い果実の園芸品種がありシロミノコムラサキまたはシロシキブと呼ばれる。 樹高3mほどの近縁種、ムラサキシキブに似るが、樹高が40~120㎝で小さいことが名の由来。別名のコシキブは、紫式部に対して、優雅な女流歌人として知られた『小式部内侍(こしきぶのないし)』にあやかってつけたともいわれる。また、ムラサキシキブは江戸時代初期までは実紫(ミムラサキ)、玉紫(タマムラサキ)、山紫(ヤマムラサキ)といい、その語源は紫の実が敷きつめられた『紫敷き実』であったようで、このムラサキシキミが変化してムラサキシキブになった。別の説として、紫色の実がたくさん成ることから『紫繁実(むらさきしげみ)』の転訛ともいわれる。他にも、植木屋が源氏物語の筆者『紫式部』にあやかろうと、ミムラサキの実の色にかこつけて命名したのではないかともいわれる。 よく似た紫式部(ムラサキシキブ)、藪紫(ヤブムラサキ)との識別点は次の通り 小紫 ・紫式部より全体に小形 ・葉は小形で若葉に毛がある ・花は葉柄からやや離れてつく ・果実は径3㎜で葉の上側にまとまってびっしりとつく ・茎に稜の出ることがある 紫式部 ・葉は無毛 ・花は葉柄の付け根につく ・果実は径3.5㎜でまばらにつく ・茎はまるい 藪紫 ・葉は裏面に毛が密生する ・花は葉腋に数個つく ・果実は径4~5㎜で葉に隠れる部分もある ・果実の半分を毛のある萼が包む ・茎はまるい 出典『木の実のガイド』『里山の花木 ハンドブック』『都会の木の実・草の実図鑑』
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醜男
紫式部(ムラサキシキブ) シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木。野山の雑木林に生える。高さ3mほどに育ち、細身の枝を横方向に広げる。葉は対生し、尾状に先が尖った長楕円形で鋸歯がある。花期は6~8月。対生する葉の付け根に芳香のある淡紫色の小さな花が群れ咲く。筒形の先が4裂して平らに開き、4本の雄しべが突き出る。果期は9~12月。果実は核果。径約3.5㎜の球形で、葉が緑色の頃から紫に色づき、落葉後も枝に残る。園芸店でムラサキシキブといって販売されているものは、ほとんどが近縁種の小紫(コムラサキ)である。 ムラサキシキブの幹は真っすぐ伸びて強く、金槌などの道具の柄、杖、箸、傘の柄に用いられた。特殊な用途として、火縄銃の銃身掃除や弾丸込めの唐子棒に使われた。 江戸時代初期までは実紫(ミムラサキ)、玉紫(タマムラサキ)、山紫(ヤマムラサキ)といい、その語源は紫の実が敷きつめられた『紫敷き実』であったようで、このムラサキシキミが変化してムラサキシキブになった。また、紫色の実がたくさんなることから『紫繁実(むらさきしげみ)』の転訛ともいわれる。他にも、植木屋が源氏物語の筆者『紫式部』にあやかろうと、ミムラサキの実の色にかこつけて命名したのではないかともいわれる。 よく似た小紫(コムラサキ)、藪紫(ヤブムラサキ)との識別点は次の通り 紫式部 ・葉は無毛 ・花は葉柄の付け根につく ・果実は径3.5㎜でまばらにつく ・茎はまるい 小紫 ・紫式部より全体に小形 ・葉は小形で若葉に毛がある ・花は葉柄からやや離れてつく ・果実は径3㎜で葉の上側にまとまってびっしりとつく ・茎に稜の出ることがある 藪紫 ・葉は裏面に毛が密生する ・花は葉腋に数個つく ・果実は径4~5㎜で葉に隠れる部分もある ・果実の半分を毛のある萼が包む ・茎はまるい 出典『里山の植物 ハンドブック』『都会の木の花図鑑』『薬草の呟き』『樹木の名前』
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醜男
凌霄花(ノウゼンカズラ) ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉つる性木本。中国原産で古い時代に渡来し、古くから観賞用に植えられる。茎はつる性で、気根と呼ばれる根を出して他の植物や塀などに吸着して生長する。葉は対生し小葉の縁に粗い鋸歯がある。花期は6~9月。枝先の円錐花序に濃いオレンジ色の花が対生して咲く。花はラッパ形で花筒は短い。萼は緑色、穂は長く伸びる。曇天が続いたり、過繁茂して光不足になると落花する。日本ではほとんど結実しないが、秋に実る果実は太い莢状。筋にそって裂けると、中からグライダー型の種子が飛び始め、風で遠くに運ばれる。 近縁種に花が小ぶりな北アメリカ原産のアメリカノウゼンカズラがあり、近年は本種とアメリカノウゼンカズラの交雑種のマダムガレンと推定されるものが多く栽培される。本種とそっくりだが、花の穂はあまり長くならず、萼の色も橙色。南アフリカ原産のピンクノウゼンカズラは別属。 漢字では『凌霄花』と書き、高いところまで生長することから『空をしのぐ花』という意味がある。日本では『凌霄花』を『りょうしょうか』と読み、やがて『のうしょう』から『のうぜん』に変化した。『かずら』はつるの意味。 出典『身近な樹木図鑑』『都会の木の実・草の実図鑑』『樹木の名前』
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醜男
馬の鈴草(ウマノスズクサ) ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属のつる性多年草。川の土手や畑、林縁などに生えるが、近年は数が減った。全体に無毛で粉白を帯びる。茎は細く丈夫でよく分枝し、他の木や草に絡みつく。葉は互生し、長さ4〜7㎝の三角状卵形。基部は心形で両側が耳状に張り出す。花期は7~9月。葉腋にサックスに似た形の花が1個ずつつく。萼筒は長さ2〜4㎝でゆるく湾曲し、先端は斜めにスパッと切り落としたような形で、やや反り返る。ハエを一晩閉じ込めて花粉を運ばせる。花は甘い香りと蜜で、体長2.5㎜ほどのハエの一種を誘う。花に入ると、密生した毛でハエは戻れなくなる。翌日、雄しべから花粉が出ると毛が萎れてハエは解放される。その時花粉を背負わされて、新しい花に運び込む。果実は蒴果。広卵形で長さ2.5〜3㎝ほど。熟すと果柄ごと縦に6裂する。果実は内が6室に分かれ、室ごとに種子が重なって入っている。種子は薄い台形で片面に張り出し、くぼんだ面には薄い膜がつく。 ジャコウアゲハの食草として知られる。本種には毒があり、好んでこれを食べる虫はジャコウアゲハだけ。触ると臭いにおいを出す。蛹を菊虫と呼ぶ。 葉が馬面(ばめん💬馬の顔につける鎧)に似る。さらに、果実が熟すと基部から6裂して果柄も糸状に6裂してぶら下がる。この形が、馬の首に鈴をつけているように見えることが名前の由来。 出典『野に咲く花』『色と形で見わけ散歩を楽しむ花図鑑』『里山の植物 ハンドブック』『里山のつる性植物』『草木の種子と果実』『野草の名前 夏』
87
醜男
亜米利加塊芋(アメリカホドイモ)/アピオス マメ科ホドイモ属のつる性多年草。北アメリカ原産。日本には明治時代中期に渡来し、主に花を観賞するために栽培された。花期は6~8月。ネックレス状になる塊根を食べる。掘り出して乾燥させると1ヶ月ほど保存できる。豆類ではあるが、基本的にはイモ類の調理方法でよい。茹でて軽く塩をふっておつまみに、素揚げ、ホイル焼きなど。ホクホクとしてさつまいもとじゃがいもの中間のような味。現在は青森県東部地方や南部地方で食用に栽培される。 近縁のホドイモは北海道から九州にかけて分布し食用となる。花は淡い緑色を帯びつつ、翼弁がほのかな桃色を帯びる。 ホドイモは漢字で書くと『塊芋』。地下に美味しい塊があるものを『ホド』といい、ヤマユリ、カタクリ、ウバユリなどの自生種はもちろん、ジャガイモやサツマイモもかつては『ホド』と呼ばれた。東北地方などでは食用として現代でも『ホド』と呼ばれるが、本種であるほど利用価値は高い。自生種としての『ホド』もホドイモとして残るが、その数は少なく、山野ではなかなか出逢う機会がない。3都県で絶滅危惧種に指定されるに過ぎぬが、実態はもっと少ないかに思われる。 出典『野菜と果物の品目ガイド』『帰化&外来植物 見分けマニュアル950種』
110
醜男
河原撫子(カワラナデシコ) ナデシコ科ナデシコ属の多年草。山野の日当たりのよい草地や河原に生える。万葉の時代から歌に詠まれ親しまれる秋の七草のひとつで、単にナデシコとも呼び、昔から観賞用に栽培され親しまれてきた。河川改修や乱獲などで自生地が減り、地域によっては絶滅危惧種となっている。茎や葉は粉白色を帯びる。葉は対生し、長さ3~9㎝の線形~披針形で、基部は茎を抱く。花期は7~10月。花は淡紅紫色で直径3~3.5㎝。花弁が細かく糸状に裂けているのが特徴。舷部の基部にはひげ状の毛がある。萼筒は長さ3~4㎝で、その下に3~4対の苞がある。雄しべは10個、花柱は2個ある。 思わず撫でてみたくなる可憐な花の様子が名前の由来。留学僧が持ち帰るとか、貿易船で中国から『セキチク』が入ってきた。これらを『唐撫子(カラナデシコ)』と呼び、在来種を『河原撫子』とか『大和撫子』と呼び区別した。なお、色名として一般に使われる『Pink』は本来、ナデシコの英名。 出典『野に咲く花』『色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑』『野草の名前』
98
醜男
木斛(モッコク) モッコク科モッコク属の常緑高木。温暖な地域の海岸近くに自生する。庭木や公園樹としても植えられる。幹は真っすぐ伸び、葉は適度な光沢ある濃い緑色が上品で、枝葉が密生して樹形が美しく整うことから、庭木の王様とも呼ばれ人気が高い。枝先に葉が集まって車輪状につき、シャリンバイやトベラに似るが、鋸歯がないこと、葉柄が赤いこと、葉が反り返らないこと、葉裏は明るい黄緑色で葉脈がほとんどが見えないことなどで見分けられる。花期は6~7月。葉の付け根に白い花をつける。花柄はやや上を向き、花は下向きで芳香を放つ。両性花をつける株と、雄花しかつけない株がある。果実は蒴果。球形で秋に赤く熟す。果皮はかたく肉厚で不規則に割れて種子を出す。種子は赤く先端がしぼむ。果実に種子は3〜4個。種子の先に糸状物が残る。果実が全裂開する頃、種子はこの糸状物でぶら下がる。 新年の縁起物として、センリョウ、マンリョウ、アリドオシをモッコクとあわせて箱庭をつくり縁起を担ぐ風習があった。『千両、万両、お金が木の斛(ます)でかき集められ、いつもお金が有り通し』と洒落たもの。モチノキ、キンモクセイと合わせて庭木御三家といわれる。材は緻密で赤色。沖縄県では重要な建築材とされ、首里城正殿に使われた。 名前の由来は、白い花がラン科の石斛(セッコク)に似ているためとも、香りが似ているためともいわれる。木のセッコクなのでモッコクとされた。種子が樹上で赤く色づくことからアカミノキの名もある。 出典『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『樹木の事典 600種』『都会の木の花図鑑』『草木の種子と果実』『樹木の名前』
89
醜男
南天(ナンテン) メギ科ナンテン属の常緑低木。温暖な山野に自生するが、中国からの渡来植物ともいわれる。庭や公園に植えられる。小さな葉が3枚ずつついているように見えるが大きな葉の一部で、1枚の葉は50㎝にもなる。これは、3回3出複葉(💬3出複葉が3回繰り返し生え羽状になったもの)と呼ばれる珍しい形。常緑だが冬に紅葉することもある。花期は5~7月。白い小さな花が円錐状にたくさん咲く。黄色い雄しべが6本ある。果実は液果。径約7㎜の球形で、晩秋に赤く熟す。果実がなった枝は翌年開花しない。 『難を転じて福をもたらす』との縁起担ぎで玄関に植えられる。敷地の鬼門に災難から免れるようにという意味を込めて植えられる。冬の庭を彩る赤い果実は、正月の床の間に飾られたり雪ウサギの目になったりする。果実や枝は有毒な一方で薬や消毒に使われ、手水に浮かべたり料理に添えたりする。食あたりを防いで長寿になるという意味で南天の箸が使われる。葉に含まれる毒素が熱い赤飯の上で熱と水分により腐敗防止作用のあるチアン水素に分解されるため、熱い赤飯などの上に置いて飾りと同時に腐るのを防ぐのに使われる。赤い果実を乾燥させ生薬にしたものを鎮咳剤に用いる。乳白色の白実南天(シロミナンテン)や薄紫色の藤南天(フジナンテン)、橙色に熟すウルミナンテン、支那南天(シナナンテン)などの園芸種がある。 中国の中部以南に産するので南天といい、株立ちの姿が竹に似るから南天竹という。中国名が南天竹で、乾燥果実の薬名が南天実。名前はこれを和音読みしたもの。 正月を飾る赤い果実といえば千両、万両、南天だが、他にも猿捕茨、黒鉄黐、黐の木、藪柑子(十両)、青木、飯桐、七竈、野茨、ピラカンサなど、冬は赤い果実が目につく。これらの植物は鳥に向けて信号を送っている。鳥の視力は鋭い。その目は人間と同様、赤い色を最も刺激的に捉える。鳥に食べてほしい果実は競って赤い色で装う。次いで多いのは黒い果実だが、鳥には紫外線領域も見えているので、人の目に黒く見える果実の中には、紫外線を反射して鳥には色付いて見えるものも含まれる。 これらの果実は、鳥の口にぴったりの飲み込みやすい形に作られている。果実を丸ごと飲み込んでもらい種子を運ばせようという魂胆。赤い果実の内部には柔らかな果肉にくるまれてこっそり種子が仕込まれている。種子は硬くて丈夫な材質に包まれていて、鳥の消化管を通過しても消化されないよう工夫されており、そのまま糞の中に出される。植物は動けないが、果実を食べた鳥が移動した後で糞をしてくれれば、種子は親植物から遠く離れた場所で芽を出せる。 香りに乏しいのも共通の特徴。鳥は嗅覚が鈍いため香りで誘ってもほとんど意味がない。また、冬に多いのは、虫が少ないため食べられる心配がないから、あえて冬に果実をぶつけて誘惑する。 これらの果実は苦かったり渋かったりしてまずく、毒を含むものもあるが、それにも理由がある。もしも果実が美味しければ、鳥がその場で食べ続けてしまい、種子があちこちにばらまかれない。植物は果実をわざとまずくしたり毒を含むことによって鳥が1回に食べる量を制限している。こうして種子は何度かに分けて少しずつあちこちに運ばれる。 冬の赤い果実には植物の思惑が隠されている。 出典『身近な木の実・タネ』『日本有用樹木誌』
97
醜男
夏櫨(ナツハゼ) ツツジ科スノキ属の落葉低木。山地の日当たりの良い乾燥した場所に生え、庭木にもされる。幹の根元近くから枝分かれし、株立ちの不規則な樹形になる。葉は楕円形または長楕円形〜卵形で縁に細かい鋸歯と尖った毛がある。夏の頃から葉が赤く色づき、秋も赤〜オレンジ色に紅葉する。花期は5~6月。本年枝に鐘形の花を多数つける。色は黄緑から赤まで変化に富む。果実は液果。上部に萼の跡が大きく残るのが特徴。ブルーベリーの仲間で秋に黒く熟す。甘酸っぱく、生でもジャムでも食べられる。ナツハゼの果実にはアントシアニンが他のベリー類の6倍も含まれており、目の疲労回復や血液浄化作用を強く期待できるという。 山の尾根で夏のうちからウルシ科の櫨の木(ハゼノキ)のように赤く紅葉するナツハゼ。紅葉の特徴がそのまま名前の由来となっている。黒い果実の上部に萼の跡が輪状に残る姿を鉢巻に見立て、中国地方ではハチマキイチゴ、山梨などでハチマキブドウ、山形県では鉢巻をした男の子に見立ててヤロコハズマキと呼ぶ。長野県では、茶釜に見立ててブンブクと呼ぶ地方もある。 出典『樹木 見分けのポイント図鑑』『里山の花木 ハンドブック』『木の実のガイド』『薬草の呟き』『樹木の名前』
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