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84
醜男
麻疹草(ハシカグサ) アカネ科ハシカグサ属の一年草。山野や道端の木陰に生える。茎は柔らかく、枝分かれして地に広がり、長さ20〜40㎝になる。各節から根を出し、先の方はしばしば斜めに立ち上がる。葉は対生し、長さ2〜6㎝、幅1〜2㎝の球形または狭卵形で柔らかく、両面にまばらに白い軟毛が生える。花期は8~9月。茎の先端や葉腋に小さな白い花を数個束生する。萼には白い軟毛がある。果実は蒴果。直径3〜4㎜の球形。中部地方の日本海側から東北地方には、萼の筒部に毛がないものがあり、オオハシカグサという。 名前は、葉を乾かすと麻疹に似た茶色の紋ができることが由来という説がある。 出典『野に咲く花』『四季の野の花図鑑』
77
醜男
大錦草(オオニシキソウ) トウダイグサ科ニシキソウ属の一年草。明治時代末の1904年に侵入が確認された北アメリカ原産の帰化植物。各地で野生化し道端などで普通に見られる。茎は淡紅色を帯び、直立または斜上して高さ20〜40㎝になる。葉は対生し長さ1.5〜3.5㎝の長楕円形で、基部は左右が非常に不揃い。花期は6~10月。杯状花序は枝先にまばらにつく。腺体は円形。腺体の付属体はよく発達し、白い花びらのように見える。果実は蒴果。直径約1.7㎜の卵球状で無毛。種子は3個あり黒褐色でゆがんだ卵形。 ある毒草の本に『きれいな花には毒がある』というが、『きれいでなくても毒がある植物がある』と酷評されているのがこの植物である。全草に毒成分であるマクラトールやβ-シロステロールが含まれる。生汁が肌につくと皮膚炎を起こすことがあり、誤食すると粘膜がただれる。 ニシキソウの葉と茎によく似ていて、大きい草姿なことが名前の由来。ニシキソウは地面を這うように生える日本在来種で、かつては普通に見られたが、コニシキソウなどの帰化植物に押されて、現在では5都市で絶滅危惧種に指定されている。 出典『野に咲く花』『日本帰化植物写真図鑑』『帰化&外来植物見分け方マニュアル 950種』『植調 雑草大鑑』『草木の種子と果実』『薬草の呟き』『野草の名前 秋冬』
96
醜男
見返草(ミカエリソウ) シソ科テンニンソウ属の落葉低木。山地の林下に生える。沢沿いなどに多く群生する。茎の下部は木質化して低木状となる。花期は8~10月。花穂は15㎝ほどで花を密につける。花はブラシ状で、長く飛び出した雄しべがよく目立つ。 テンニンソウに似ているが、本種は花色が紅紫色で低木になるのがテンニンソウとの違い。葉が丸く大型の変種、オオマルバノテンニンソウがある。 花があまりに美しいため、通り過ぎた後も振り返って見ることが名前の由来。学名をつけた『ミカエル』に由来するともいわれる。別名の糸掛草(イトカケソウ)は、花の中から飛び出ている4本の雄しべと1本の雌しべを糸に見立てた。 出典『秋の野草』『四季の野の花図鑑』『野草の名前 秋冬』
84
醜男
秋丁字(アキチョウジ) シソ科ヤマハッカ属の多年草。山地の半日陰に生える。高さは1mほどになる。長楕円状の葉は対生する。花期は8~10月。花は青紫色、筒形で胴長、花先は上下に開いた唇形。花の中に4本の雄しべと1本の雌しべがある。萼は朝顔形で先が5裂する。 秋咲きで、丁子(ちょうじ💬フトモモ科の樹木で、花の蕾を乾かしたものをクローブといい、香料に使う)に似た花を咲かせるのが名前の由来。 よく似た関屋の秋丁子(セキヤノアキチョウジ)との識別点は次の通り 秋丁子 ・花柄は1㎝以下と短く、細毛がある ・萼片が尖らない ・花序の幅が狭い ・岐阜県以西に分布する 関屋の秋丁子 ・花柄は1~2.5㎝と長く、毛がない ・萼片が細く尖る ・花序の幅が広い ・関東と中部地方に分布する 出典『山に咲く花』『秋の野草』『四季の野の花図鑑』『野草の名前 秋冬』
85
醜男
曙草(アケボノソウ) リンドウ科センブリ属の一〜ニ年草。山地の水辺に生える。1年目はロゼット葉で過ごし、翌年に花が咲く。茎は緑色で高さ60~90㎝になる。根生葉は大型の長楕円形で、花時にはなくなる。茎葉は卵形または披針形で長さ5~12㎝、先は尖り、基部はくさび形で、3主脈が目立つ。花期は9~10月。茎頂で枝を分け、白色の花を開く。花冠は直径2㎝ほどで基部近くまで深く5裂する。裂片の緑色の2点は蜜腺溝で、ここから蜜を分泌し、よく昆虫が来ている。また、先端には黒紫色の多数の細点がある。果実は蒴果。花後も残る花冠や萼より長く、花冠から突き出る。種子はごく小さく、形は様々。蒴果に種子は多数。 曙とは夜明けのことで、空にはまだ星がまたたいている。曙草の花弁にある黒紫色の斑点を夜明けの明星に見立てたのが名前の由来。 出典『山に咲く花』『秋の野草』『草木の種子と果実』『野草の名前 秋冬』
76
醜男
丸葉縷紅(マルバルコウ) ヒルガオ科サツマイモ属の一年草。江戸時代末期の嘉永年間(1848〜55年)に観賞用で日本に入った熱帯アメリカ原産の帰化植物。大気汚染に弱いアサガオにとって代わる勢いがある。主に中部地方以西に帰化している。都市周辺の空地、人里近くの草地や河原に生える。葉は互生し、卵形で先は尖り、基部は心形。花期は8~10月。花は朱赤色で中心部は黄色。花冠は直径1.5〜2㎝で、上から見ると五角形。果実は丸い。 葉の裂片の幅が広いものをハゴロモルコウソウ(モミジルコウ)という。ルコウソウとマルバルコウとの雑種とされる。 ルコウソウに似ていて葉が丸いことが名前の由来。ルコウソウは江戸時代、本種よりも前に熱帯アメリカから入った帰化植物。古くから栽培されていて野生化している。ルコウソウの縷は『細い糸』という意味で、葉が細く裂けて羽根のような形になることによる。 出典『野に咲く花』『四季の野の花図鑑』『都会の草花図鑑』『薬草の呟き』『日本帰化植物写真図鑑』『帰化&外来植物見分け方マニュアル 950種』
102
醜男
菊芋(キクイモ) キク科ヒマワリ属の多年草。江戸時代末期の1859年にイギリスから渡来した北アメリカ原産の帰化植物。イギリスの駐日総領事が持ち込み、栽培を推奨したのが始まりといわれる。塊茎を茹でたり、煮物、漬物にした。明治時代から各地で栽培され、特に太平洋戦争中は食糧不足を補うため栽培され、大いに利用された。食料補給以外に果糖製造の原料に利用する目的もあった。現在はあまり栽培されていないが、ときに畑のすみや山麓などに野生化して残っている。道端や荒れ地に大きな群落を作り、ときには農耕地にも侵入して問題となる。10月、茎葉が枯れる頃に塊茎を採り、水洗いして用いる。塊茎を太く大きく育てるには、秋に一度掘り上げてから植え直すとよい。種イモは購入イモに限らず、土手や原野の斜面からの自生イモでも良い。塊茎には主成分であるイヌリンが豊富に含まれるため注目され、機能性食品として利用される。 茎は高さ1.5〜3mになり、葉とともにざらざらする。下部の葉は対生、上部のものは互生し、卵形または卵状楕円形で、基部は葉柄に流れて翼となる。花期は9~10月。上部の枝先に黄色の頭花を1個ずつつける。頭花は直径6〜8㎝で、内側には筒状花が多数集まり、まわりに10〜20個の鮮黄色の舌状花が1列に並ぶ。総苞は半球形で、総苞片はふつう3列に並び、上半部は反り返る。果実はできにくい。塊茎は大きく、サトイモのような形をしている。よく似たイヌキクイモの塊茎は節のある紡錘形。キクイモとイヌキクイモは地上部での区別は困難だが、塊茎を見るとすぐに分かる。イヌキクイモはキクイモの一形態で区別しない考え方もある。 花が菊に似ていて、地中に大きな塊茎を作ることが名前の由来。別名にシシイモ、ブタイモがあるが、猪や豚が好んでこの芋を食べる。 出典『野に咲く花』『日本帰化植物写真図鑑』『帰化&外来植物見分け方マニュアル 950種』『野菜・山菜ハンドブック』『食材図典』『野草の名前 秋冬』
92
醜男
藪豆(ヤブマメ) マメ科ヤブマメ属のつる性一年草。野山の林縁や藪などに生える。茎には下向きに毛がある。葉は3小葉からなり、両面とも伏毛がある。小葉は長さ3~6㎝の広卵形。花期は8~10月。つるを伸ばして他の草に絡まり、群れて小さな花を咲かせる。形の異なる3種類の花をつける。解放花は、旗弁は紫色、翼弁と竜骨弁は白っぽい。解放花の他に、地上の閉鎖花、地下の閉鎖花があり、それぞれから豆が収穫できる。地上果は長さ2.5~3㎝で縁にだけ毛がある。熟すと2裂して種子を飛ばす。種子は3~5個。地中果は地下の細いつるの先につき、種子は1個。仮に地上部が刈られても根こそぎ除去されない限り種を残せる。環境の変化に適応して生き残るための植物の巧妙な知恵である。豆は飢饉に備えた大切な保存食でもあった。 名前は、草藪に生えるマメ科の草の意味。よく似た蔓豆(ツルマメ)は改良して大豆になったが、利用価値の少ない本種は江戸時代になってヤブマメの名前がつき認知された。 出典『野に咲く花』『秋の野草』『里山の植物 ハンドブック』『草木の種子と果実』『野草の名前』
77
醜男
宮城野萩(ミヤギノハギ) マメ科ハギ属の落葉半低木。東北、北陸、中国地方の山野に自生する。日本海側に分布するケハギの園芸品種といわれる。庭や公園に植えられているハギはほとんどが本種。高さ1〜2m。枝は下垂して花期には先が地に接するほどになる。葉は互生。花期は7~10月。花は紅紫色。長さ約1.5㎝ほどの蝶形花で、旗弁が強く反り返る。果実は豆果。長さ約1㎝。種子は1個。 名前の由来は不明。宮城野は、現在の宮城県仙台市内にあった原野の名前である。『古今集』に宮城野のハギを詠んだ歌があり、古くはハギの名所として知られたことによりミヤギノハギの名が付いたという説があるが、実際には宮城野にはミヤギノハギは自生せず、ツクシハギが多い。かつての宮城野の地は現在、楽天イーグルスのホームスタジアムや陸上競技場などになっている。ミヤギノハギと宮城野との関係は不明だが、ミヤギノハギは宮城県の県花として親しまれ、県章はミヤギノハギの3出複葉を図案化したもので、平仮名の『み』を表している。また、ミヤギノハギは夏から秋にかけて咲くことから、ナツハギとも呼ばれる。ハギの名前の由来は、毎年春に根元の古い株から新しい芽を出すので、『生え芽(はえき)』『生え木』の意味でもあるという。漢字の『萩』は日本独自の訓読み(日本で作られた国字説もある)で、中国ではヨモギ属のことである。ちなみに、ハギには『花妻』という別名もあり、『万葉集』にも詠まれる。鹿がいつもハギに寄り添うことから、ハギの花を鹿の妻に見立てたことに因む。但し、鹿がハギに近づくのは、単にハギの花芽を食用としているから。ハギと鹿の取り合わせは和歌のほか、工芸品の意匠の題材としても繰り返し好まれる。 出典『樹木の事典 600種』『ボタニカルアートで楽しむ花の博物図鑑』『樹木 見分けのポイント図鑑』『草木の種子と果実』『樹木の名前』『同志社女子大学ホームページ』
80
醜男
沢薊(サワアザミ) キク科アザミ属の多年草。山地の渓流近くに生える。つるは高さ1〜2m。大きいものは3mにもなり、クモ毛がある。葉は楕円形で長さ50〜60㎝、羽状に分裂する。花期は9~10月。頭花は点頭し、頭花の下に4〜6個の苞葉がある。総苞は扁球形でクモ毛がある。花は全て下向きに咲き、総苞のつけ根に小さな葉が何枚も反り返るようにつくのが特徴。 沢沿いや川のそばなどの水辺に生えることが名前の由来。アザミの語源には3つの説がある。 ①『あざむ』の連用形『あざみ』から。『あざむ』には驚くという意味がある。美しい花だと思って近寄ると鋭い刺に驚く。 ②『あざむく』が『あざみ』になった。美しい花だと思って近寄ると刺で欺かれた。 ③アザミの『アザ』は刺を指し、『ミ』は実を意味する。 出典『山に咲く花』『秋の野草』『野草の名前 夏』
107
醜男
蔓竜胆(ツルリンドウ) リンドウ科ツルリンドウ属のつる性多年草。人里近くの雑木林から深山の針葉樹林の下まで、生育地の幅は広い。長さ40〜80㎝。つるは紫色を帯びる。葉は卵状披針形で長さ3〜5㎝、裏面は紫色を帯びることが多い。花期は8~10月。花冠は淡紫色で5裂し、副片がある。雄しべは5個。1個の雌しべを取り囲んでいる。花が終わると果柄は長くなる。果実は液果。楕円形で紅紫色に熟す。果実は枯れた花冠から突き出る。液果の頂には花柱が残る。種子は広楕円形で平たく、翼がある。種子は果実に50〜60個入る。 花がリンドウに似ていて、つる性なのが名前の由来。リンドウの名前は、中国名の『龍胆』に基づく。胆は根の味が胆汁のように苦く、龍は最上級を意味する。リンドウの根はとても苦く、健胃効果がある。日本では『熊胆』が最高級であった。中国から来たリンドウの根には『熊』よりも格上の『竜の胆』とつけられていた。それを音読みして『竜胆(りゅうたん)』といった。それが訛って『りんたん』か『りゅうどう』になり、ついに『りんどう』になった。 出典『山に咲く花』『草木の種子と果実』『野草の名前 秋冬』
86
醜男
彼岸花(ヒガンバナ) ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草。古い時代に中国から渡来したとされる。田のあぜや土手などに群生する。日本全国どこでも秋の彼岸の頃に地下の鱗茎から花茎を立て、赤い花を数個開く。花茎は30~50㎝になり、鮮紅色の花を散形状に5~7個つける。花被片は長さ約4㎝の狭披針形で6個あり、強く反り返る。雄しべ6個と雌しべは花の外に長く突き出る。花が終わると種らしきものはつくが枯れてなくなる。種ができず鱗茎(球根)で殖える。葉は晩秋、花後に伸びて地面に広がって冬の間じゅう青々として鱗茎(球根)に栄養を送り、翌年の5月頃に枯れる。鱗茎(球根)のまま夏を越し、秋の彼岸の頃に花を咲かせる。なお、花が白いシロバナマンジュシャゲは、本種と鍾馗水仙(ショウキズイセン)の自然交雑種。 全体に猛毒であるアルカロイドのリコリンを含み、誤食による中毒例がある有毒植物。特に鱗茎(球根)に多く含むが、飢饉の際は澱粉を採り、水にさらして毒抜きをして食べた。根にも有毒成分が含まれており、その成分を害虫や害獣対策に利用したため、今でも田畑のまわり、墓地などで多く見かける。 ヒガンバナ属(ヒガンバナ、ナツズイセン、キツネノカミソリなど)は葉見ず花見ず(ハミズハナミズ)といい、花の季節には葉がなく、葉が茂っている頃には花が咲かず、花と葉が出会うことはない。お互い姿を見ないので思い合っているだろうと思われ、『相思華』ともいわれる。秋の彼岸の頃に咲くことから彼岸花の名が付いたが、他にも死人花、火事花、仏花など多くの異名を持つ。曼珠沙華(マンジュシャゲ)は梵語で『天上に咲く赤い花』という意味。 出典『野草・雑草の事典530種』『里山の植物ハンドブック』『野に咲く花便利帳』
103
醜男
小葉鴎蔓(コバノカモメヅル) キョウチクトウ科カモメヅル属のつる性多年草。山野の林縁などに生える。葉は対生し、長さ3~11㎝、幅約2㎝の長楕円形、先は尖り基部は浅い心形~円形で短い柄がある。花期は7~8月。葉腋から花序を出し、直径7~9㎜の暗紅紫色の花をまばらにつける。花冠は5裂し、裂片は細い。副花冠は白いずい柱の半分ほどで、花冠と同色。果実は袋果。長さ5~7㎝の披針形で先は細く尖る。種子は狭倒卵形。平たく、縁は翼状。基部に白い毛(種髪)が多数つく。 名前は、花弁の中心部のずい柱が淡黄色で、ずい柱の周囲を取り巻く副花冠が濃暗紫褐色なことろが、背黒鴎(セグロカモメ)の目のアイリング(赤い輪)に似ているため鴎となり、仲間のシロバナカモメヅルの葉よりも小さいので小葉が付いた。また、対生する葉がカモメの飛翔を思わせるとの説もある。 出典『野に咲く花』『草木の種子と果実』『野草の名前』
101
醜男
紫苑(シオン) キク科シオン属の多年草。中国、朝鮮半島、シベリアなどが原産地の野菊の一種。古い時代に薬用植物として朝鮮か中国から渡来したが、花が美しいので平安時代から観賞用に栽培され、枕草子や源氏物語にも記載がある。中国地方と九州の山地に自生するが、栽培されていたものが逸脱して野生化したものと考えられる。高さは1〜2m、茎にはまばらに剛毛がある。根生葉は花の頃は枯れてないが、大型のへら状長楕円形で、大きいものは長さ65㎝にもなる。茎葉は長さ20〜35㎝、幅6〜10㎝の卵形または長楕円形で、上部のものほど小さく、幅も狭い。花期は8~10月。頭花は直径3〜3.5㎝。舌状花は1列で淡青紫色。花柄には短毛が密生する。総苞は長さ約7㎜の半球形。総苞片は3列で先は尖り、縁は乾膜質。外片は少し短い。痩果は長さ約3㎜のやや扁平な倒卵状長楕円形で黒紫色を帯び、毛がある。冠毛は汚白色または赤みを帯び、長さ6㎜ほど。 シオンは『紫苑』という中国からの生薬名を音読みした名前である。シオンの根が紫色を帯びていることから『紫苑』の名前がある。生薬の『紫苑』は鎮咳と去痰の薬効があり、今日も生薬として利用されている。シオンの導入は薬用が主であったが、花が美しかったので観賞用に栽培され、普及するにつれ野生化していった。 出典『野に咲く花』『薬草の呟き』『都会の草花図鑑』『野草の名前 秋冬』
75
醜男
穂躑躅(ホツツジ) ツツジ科ホツツジ属の落葉低木。日当たりのよい山地に自生する。樹高1〜2m。よく分枝する。葉は互生。倒卵形または楕円形で枝先に数枚集まってつく。葉の縁に鋸歯はなく波打つ。花期は8~10月。枝先に5〜10㎝の円錐花序を直立する。淡紅色を帯びた花を多数つけるが、花冠は3裂し、裂片は長さ約1㎝幅3㎜の狭長楕円形で、反り返る。雄しべは6個、雌しべは花冠の外へまっすぐ突き出る。萼は長さ約1㎜の腕状で浅く5裂する。果実は蒴果。秋に熟し、3裂して種子を出す。 全株に毒成分のグラヤノトキシンを含む。毒性は運動神経を麻痺し、歩行失調、呼吸麻痺を起こす。誤って引用すれば頭痛、嘔吐、痙攣を起こす。この花から集めたハチミツも中毒を起こす危険性がある。 穂のように直立した花序が名前の由来。かつては細枝で箒や蓑を作ったことから、ヤマボウキ、ヤマワラの別名がある。また、樹皮が松の肌に似ているため、マツノキハダの別名もある。 よく似たミヤマホツツジとの識別点は次の通り。 ホツツジ ・花柱はまっすぐ ・花の数はミヤマホツツジより多い ・葉先が尖っている ミヤマホツツジ ・花柱が上に反り上がっている ・花の数はホツツジより少ない ・葉は卵形で先は丸い 出典『薬草の呟き』『樹木の名前』
90
醜男
沢桔梗(サワギキョウ) キキョウ科ミゾカクシ属の多年草。山野の湿地に生える。しばしば群生する。茎は円柱形で中空、直立して高さ0.5〜1mになり、枝分かれしない。葉は無柄で多数互生し、披針形で長さ4〜7㎝、先は鋭く、ふちに細かい鋸歯がある。上部へいくほど葉は小型となり、そのまま苞葉となる。花期は8~9月。茎上部に総状花序をだし、濃紫色の花が多数つく。花は下から上に咲いていく。花柄は長さ5〜12㎜、花冠は長さ約3㎝の唇形で上唇は2深裂し、下唇は3浅裂する。雄しべの葯と花糸は合体して筒状となり、花柱がこれを貫いている。萼は鐘形で、萼裂片は線状披針形。果実は蒴果。球形で長さ8〜10㎜。種子は卵形で光沢がある。全草にアルカロイドのロベリンを含む有毒植物。延髄の催吐中枢や呼吸中枢を刺激する作用があって、中毒症状は嘔吐、下痢に続いて虚脱の状態となるほか、最後は心筋麻痺によって死亡する。 沼地や湿地、山間の沢地などに多く見られ、茎葉がキキョウに似ていることが名前の由来。別名にコノテバナ、チョウジナ、イソギキョウなど。 出典『山に咲く花』『秋の野草』『薬草の呟き』
89
醜男
疣草(イボクサ) ツユクサ科イボクサ属の一年草。水田の土手や溝などの湿った場所に生える。茎は赤みを帯び、下部は地を這う。葉は長さ2〜6㎝の狭披針形で、基部は鞘状になって茎を抱く。花期は8~10月。葉腋に直径約1.3㎝の淡紅色の花がふつう1個つき、1日でしぼむ一日花。萼片、花弁とも3個。雄しべは6本、葯が青紫色の完全雄しべが3本、葯が淡紫色の仮雄しべが3本。花糸には白い毛がある。花のあと花柄は曲がり、長さ0.8〜1㎝の楕円形の蒴果が垂れ下がってつく。 イボクサの葉や茎をちぎると透明なやや粘る液体が出てくる。昔の人はこの液体を疣に塗布すると疣がとれると信じていたことが名前の由来。 出典『野に咲く花』『秋の野草』『四季の野の花図鑑』『野草の名前 秋冬』
83
醜男
藪蔓小豆(ヤブツルアズキ) マメ科ササゲ属のつる性一年草。草地に生える。小豆(アズキ)の原種と考えられる。茎や葉に黄褐色の毛がある。葉は3小葉からなる。小葉は長さ3~10㎝、幅2~8㎝の狭卵形~卵形で浅く3裂するものもある。花期は8~10月。花は黄色で長さ1.5~1.8㎝。蝶形だが、竜骨弁は反時計方向に大きくねじれ、翼弁も左右非相称。果実は豆果。長さ4~9㎝の棒状でぶら下がるようにつく。中に楕円形の種子が10個前後入る。種子は小豆より小さい。 小豆は本種を改良したものといわれ、古代から栽培される。小豆は日本を含む極東アジアが原産とされ、食習慣があるのは日本、韓国、中国、ブータンなどに限られる。日本では吉事や祭事に昔から用いた。現在は4~5万haの作付けがあり、ほとんどが赤色の子実で、種子の大きさにより普通小豆と大納言小豆に分けられる。白餡用の白小豆もある。他に、祭事の赤飯や小正月行事用の小豆粥などに用いる。味をつけない小豆粥は、解毒、利尿、排膿の薬効があるとされる。小豆の年間消費量は10万トンで、70%程度が国内で生産され、その7~8割を北海道が占める。中でも十勝地方産の小豆を原料とする餡は風味が良く、『十勝小豆』が普通小豆のブランドになっている。大納言小豆としては丹波大納言(兵庫県、京都府)、能登大納言(石川県)、アカネダイナゴン(北海道)がある。小豆の仲間では、大角豆(ササゲ)、緑豆(リョクトウ)、毛蔓小豆(ケツルアズキ)、竹小豆(タケアズキ)が食用とされる。 出典『野に咲く花』『里山の植物 ハンドブック』『食材図典』
87
醜男
薄荷(ハッカ) シソ科ハッカ属の多年草。やや湿ったところに生える野生のハーブ。長い地下茎をのばして殖える。茎や葉、萼に軟毛がある。葉は対生し、長さ2〜8㎝、幅1〜2.5㎝の長楕円形で先は尖り、縁に鋭い鋸歯がある。裏面には腺点がある。花期は8~10月。上部の葉腋に長さ4〜5㎜の花を輪生する。花は淡紫色から白色まで変化がある。萼は5裂し、裂片の先は尖る。メントールを多量に含み、爽やかな香りがし、古くから健胃、鎮痛に用い、香料としても利用されるが、現在では合成ハッカや輸入品に押されてほとんど栽培されていない。ペパーミントはヨーロッパの近縁種で、セイヨウハッカとも呼ばれる 名前は中国名『薄荷』の音読み。『薄荷』は、ハッカに対する中国の古い名称、菝蔺(バッカ)、菝活(バッカツ)から転じたものといわれているが、意味そのものについては詳細不明。目が疲れた時、葉を揉んでまぶたにこすり、目薬の代わりに用いたので目草ともいう。 出典『野に咲く花』『四季の野の花図鑑』『色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑』『生薬単』
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醜男
露草(ツユクサ) ツユクサ科ツユクサ属の一年草。道端や草地などに生える。茎の下部は地を這ってよく分枝し、節から根を出して殖える。葉は互生し卵状披針形で、基部は膜質の鞘になって茎を抱く。花期は6~10月。つぼみは2つ折りになった網傘のような苞の中に数個あって1個ずつ順に咲く。花は早朝に咲き午後にはしぼむ一日花。花はしぼむだけでなく花弁がとけてなくなる。果実は花後、大きな苞に包まれたまま生長する。苞内に1~数個の果実がある。果実は蒴果で偏楕円形。成熟すると2つに裂開して種子を出す。種子はふつう4個あり楕円形を2つに割ったような形。表面は凸凹している。 花は早朝に咲いて午後にはしぼみ、花弁はとけてなくなる。その儚げな様子を朝露に見立てたことが名前の由来。また、花弁をつぶすと色が着き、布を染めたことから古くは着草(ツキクサ)といい、それがツユクサに変化したともいわれる。英名をDayflowerといい、一日花の代名詞的存在。一日花は仲間と打ち合わせて同じ時刻に一斉に花を開き、効率的に花粉をやり取りする。そして、露草は次の3つの方法で確実に受粉する。 ①露草は花の構造が非常に凝っている。一般に、花を訪れる虫は蜜と同時に花粉を食糧として利用する。蜜を出さない露草は花粉で虫を誘う。花にとって花粉の製造はたんぱく質や核酸を要するのでコストがかかるため、一匹に多量に花粉を食べられては困る。そこで露草は雄しべに細工を施した。 露草の雄しべは6本あるが、3形態に分けられる。 一番奥の3本のX型→飾り雄しべ 真ん中1本のY型→保険雄しべ 手前2本のO型→本物雄しべ X型はコスト削減のため中身のない花粉を少量作るが、黄色く目立たせてたんまり花粉があると見せかけて虫を誘う飾り雄しべ。 Y型は少しの花粉を作るが、虫がX型に行く間に通過するので花粉をつける保険的役割を果たす。 騙された虫が花粉をなめている間に、本物の雄しべのO型が虫のお腹に花粉をそっとつける。こうして低コストで付けられた花粉が次の花の雌しべに運ばれたとき、露草の目的は成就する。 ②それでも受粉できなかった時のため露草は自家受粉する。花が萎み始めると雄しべと雌しべが内側に巻き、絡み合わせて自ら受粉する。 ③閉鎖花をつくり自家受粉する。 出典『したたかな植物たち』『野に咲く花』『花のふしぎ100』
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醜男
大山繁縷(オオヤマハコベ) ナデシコ科ハコベ属の多年草。山地の湿った林内や林縁に生える。茎は上部で分枝し高さ40~80㎝、有毛。葉は対生し、短柄があり、長さ5~10㎝の長楕円状披針形で無毛、ふちは全縁で波打つ。茎の上部葉腋から柄をだし、集散状に直径1㎝以下の白花を開く。花弁は5個、先は2深裂し、萼片より短い。雄しべは5個で葯は黄白色。 出典『山に咲く花』『日本の野生植物Ⅱ』
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醜男
大毛蓼(オオケタデ) タデ科イヌタデ属の一年草。インドから中国にかけての原産。薬用や観賞用に栽培される。江戸時代に蛇毒の薬草として中国から導入されたが、その後は主に観賞用に栽培され、全国各地で逸出、野生化したものが見られるようになった。道端、荒れ地、河原などで見つかる。全体に剛毛があり、茎は直立して上部で分岐し、高さ1.5mほどになる。節部は肥厚する。葉は大きく、円形〜心臓形で全縁、柄があって互生する。花期は8~11月。枝先に長さ10㎝ほどの花穂をつけ、紅紫色の小花を密につける。まれに白花を咲かせる品種もある。花色が濃いピンクのものがオオベニタデ、白色から淡いピンクのものはオオケタデとして区別する考え方もある。 タデの仲間で最も大形で、葉や茎に多くの毛が生えていることが名前の由来。化膿したおでき、毒虫刺されなどに薬効があり、マムシの毒を消す効能も確認された。後に、毒ヘビの毒成分を消す効能のある『ハプテコプラ』という名前の薬がポルトガルから入り、オオケタデも同じく毒ヘビの毒成分を消すことから、同様にハプテコプラとも呼ばれた。 出典『日本帰化植物写真図鑑』『帰化&外来植物見分け方マニュアル 950種』『野草の名前 秋冬』『薬草の呟き』
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醜男
白花桜蓼(シロバナサクラタデ) タデ科イヌタデ属の多年草。湿地に生える。高さ0.5〜1m。花期は8~10月。地下茎があり、雌雄異株で、サクラタデによく似るが、花被は白花で長さ3〜4㎜とやや小さく、痩果は3稜形またはレンズ形で光沢がある。単なるサクラタデの花色変わりではなく、全くの別種である。 花が白色で、サクラタデに草姿が似ることが名前の由来。 よく似たサクラタデとの違いは次の通り。 シロバナサクラタデ ・花は白色 ・花序の先はトラノオのように垂れ下がる ・萼はサクラタデよりやや小形で長さは3〜4㎜ ・花穂の枝分かれが多い ・痩果に光沢がある サクラタデ ・花は淡紅色 ・花序は普通直立するが、先が垂れ下がることもある ・萼の長さは約5㎜ ・花穂の枝分かれはしない 出典『野に咲く花』『秋の野草』『四季の野の花図鑑』『野草 見分けのポイント図鑑』『野草の名前 秋冬』
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醜男
蔓穂(ツルボ) キジカクシ科ツルボ属の多年草。山野の日当たりの良いところに生える。鱗茎は卵球形で黒褐色の外皮に包まれ、タマネギのようなにおいがする。葉は2個根生し、長さ15〜25㎝の扁平な線形。花期は8~9月。花茎は高さ20〜40㎝になり、淡紅紫色の花を総状に多数つける。花のころ根生葉があるものとないものがある。花茎にはふつう葉がない。果実は蒴果。長さ5㎜ほどの倒卵形または楕円形で鈍い3稜がある。中は3室に分かれ、それぞれ1個の種子が入る。種子は長さ4㎜ほどの扁平な線状長楕円形。 名前の由来は不明とされるが、皮をむいたなめらかな鱗茎(球根)から『つるん坊』と呼んだものが転訛したとの説がある。他に、細い蔓状の花茎を伸ばし、その先に花を穂状につけることにより名付けられたとの説もある。別名は参内傘(サンダイガサ)。公家が参内するとき、従者がさしかけた長い柄の傘をたたんだ形と花序が似ていることによる。 朝鮮に出兵していた加藤清正は明代に中国で記された『救荒本草』を持ち帰った。この本は飢餓の時、どんな草が食べられるかを書いたものである。この本にならいツルボの鱗茎を食用にし、生薬として活用するようになった。 出典『野に咲く花』『草木の種子と果実』『色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑』『薬草の呟き』『野草の名前 夏』
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