夏水仙(ナツズイセン)

ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草。リコリス・ロンギツバとリコリス・スプレンゲリの雑種と推定されている。古い時代に中国から渡来したといわれる。観賞用に栽培されるほか、人里近くの日当たりのよい草地にしばしば野生化している。葉は早春に伸びだし、粉白を帯びた緑色で、長さ20〜30㎝、幅1.8〜2.5㎝。初夏には枯れる。花期は8～9月。花茎は高さ50〜70㎝になり、淡紅紫色の花を数個つける。花は直径約8㎝とヒガンバナ属としては最も大きく、横向きに開く。花被片はやや反り返る。果実はできず鱗茎で殖える。花が終わった後、一旦地上部から姿が消える。早春にスイセンに似た葉を出し、葉を茂らせて鱗茎に養分を蓄えて、葉は初夏に枯れる。

葉がスイセンに似ていて、花が夏に咲くことが名前の由来。開花期に葉がないことから裸百合(ハダカユリ)とも呼ばれる。他に、毒水仙(ドクズイセン)、傾城花(ケイセイバナ／傾城💬絶世の美女または遊女)、属名のリコリスと呼ばれることもある。

出典『野に咲く花』『都会の草花図鑑』『夏の野草』『ボタニカルアートで楽しむ花の博物図鑑』