幸せな
麻婆豆腐
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母が
緊急搬送された
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病院の廊下は
永遠の時間が
流れる場所
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目の前を
血の気のない
若い女性が
運ばれる
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思わず 自分が
突然 倒れた時を
考えた
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母も
何で こうなったのか
このまま 死ぬのか
思ったそう
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意識が あるのに
体が 動かず
誰もいない 一軒家
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さぞかし
怖かっただろう
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虫が 知らせた
生命拾い
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医師の説明に
私の頭が
フル回転していた
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次々と 容赦なく
突きつけられる
現実に
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体が 動き
頭も はたらき
ありがたい
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ICUでの
「ありがとう」
母の声は 力強い
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こんなにも
大きく
はっきりと
彼女は 話すのか
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真の姿を
初めて 見た
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不意に
母が言う
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「麻婆豆腐食べた」
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「すごいじゃない、
美味しかった？」
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「美味しかったぁ」
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すごく嬉しそうに
笑う母と 一緒に笑った
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今は 絶食
水すら
飲ませてもらえない
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夢を
見たのだろうか
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嬉しそうに
笑う母は
かわいくて
幸せそのもの
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その瞬間
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いだきしんさんが
母と共に
いて下さってると
分かった
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愚図愚図なんか
していられない
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私も
明るく元気に
母に
負けないように
働き 動く時
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もっと 強く
さらに 先へ
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今までがあるからこそ
今がある・・・
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様々な思いを
感じるままに
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