「ダーウィンのラン」とも呼ばれるアングレカム・セスキペダレ
1798年に発見されたこのランは、長い距（花弁や萼が変化したもので、内部に蜜腺をもつ）を持ちます。ダーウィンは、その蜜を吸うことができるような長い口吻をもった蛾がいるのではないかと予測しました。1762年著書『蘭の受粉』でこれを発表後、しばらくの間、こんなに異常に長い口吻を持つ送粉者の概念は嘲笑され、一般には信じられていませんでした。その蛾が発見されたのは、彼の死後、20年程経った頃です。「キサントパンスズメガ」とその蛾は名づけられました。ランはこの蛾の頭に花粉を確実につけるために距をどんどん長くしていき、蛾はこのランの蜜を吸うために口吻をどんどん長くしていった、そんな共進化（ある要因から二つの生物が進化する）の顕著な例として有名なランです。
国立科学博物館　蔵