浦島草(ウラシマソウ)

サトイモ科テンナンショウ属の多年草。山野の木陰に生える。地中の球茎は多数の子球をつくり、盛んに栄養繁殖をするので、かたまって生えることが多い。葉はふつう１個根生し、１１～１７個の小葉からなる鳥足状複葉。葉柄は高さ４０～５０㎝で、太くて茎のように見える。花期は４～５月。ふつう雌雄異株、ときに同株。若い株は雄花、大きくなると雌花を咲かせる。栄養状態によって性転換が起こる。葉柄の基部から花茎をだし、葉の陰に紫褐色の仏炎苞に包まれた肉穂花序をつける。花序の先の付属体は紫黒色で長さ６０㎝。釣り糸のように長く伸びて、苞葉の外へ垂れ下がる。これを伝って昆虫が花の中に入り、花粉を別の花に運ぶという説もある。果実は液果。狭倒卵形の果実がトウモロコシ状に密生し、秋になると鮮やかな朱赤色に熟す。種子は広卵形や半円形など。

仏炎苞から長く伸びた付属体を浦島太郎の釣り糸に見立てたのが名前の由来。

出典『野に咲く花』『草木の種子と果実』