超身も蓋もない話


トマトの枯れた下葉を切りながら、何故人は自分は園芸をするのか、という素朴な疑問の全てに突然答えが出た。

生きていることを実感したいからである。

端的に言い過ぎるが大概は、野菜や果物の多収穫や高品質を目的にするのは仕事の充実感が欲しいからであり、美しいお花の開花を求めるのは、まぁ、要は充実した性行為や美しい自分の姿を欲しているのである。欲求不満の解消だ。

以前は花や葉が枯れたり咲いたりで一喜一憂した。それはまるで子供が様々なことに泣いたり笑ったりとにかく反応する期間。慣れてくると変化にはそれぞれ意味があることに気がつく。最終的に死があることも受け入れ、受け継がれてゆくことも知る。生命の真実は単純で複雑で、分かっているつもりが本当は恐くて逃げて、でも逃げられなくて。そんな感じ。

身も蓋もないけど、そんな感じのことの代替を園芸を通じてやっているのである。