日本でも限られた地域のみに生育するココヤシ。
宮古諸島では個体数が多いため観察してきました。
日本におけるココヤシ
ココヤシ(Cocos nucifera)は世界の熱帯域に広く分布するヤシであり、所謂ヤシの木と言えば本種を指します。
耐寒性が非常に低く、15°Cを下回るとダメージを受け始めるため日本の殆どの地域では屋外越冬が不可どころか、屋内越冬でさえ気を使わないといけないため、比較的難易度の高い観葉植物。
国内で唯一露地越冬が可能な地域は沖縄県、鹿児島県奄美群島の一部地域、東京都小笠原村とされています。
しかしながら、沖縄本島北部の方では冬のダメージが大きく、一部枯死している個体も見かけたことがあるくらい寒さに弱いです。
奄美群島では実際見たことがないためなんとも言えませんが、wikiによれば結実例まであるようなので環境次第では上手くいくのでしょう(半信半疑ですが)。
今回訪れた宮古諸島ではココヤシの個体数が非常に多く、一部では定着も確認できました。
※写真は沖縄県名護市にて撮影。
宮古島の気候
宮古島の気候
日本の年平均気温は気象庁による30年平均を基準値としています。
そして宮古島の年平均気温は23.8℃。
日本では一般に亜熱帯海洋性気候や南日本気候なんて言われています。
ただ、日本でも多く用いられるケッペンの気候区分によれば宮古島は熱帯雨林気候(Af)、つまり熱帯となります(日本の大部分は温暖湿潤気候(Cfa))。
シンガポールのような ザ・熱帯(常夏)という訳では無いですが、熱帯気候の北限といえます(熱帯の定義は色々とあるのでケッペンの気候区分における場合)。
因みに日本における熱帯(A)は沖縄県では宮古島や石垣島等の先島諸島、大東諸島。
東京都では父島以南の小笠原諸島、南鳥島、沖ノ鳥島になります。
沖縄県における上記の地域ではシンガポールと同じ熱帯雨林気候(Af)、父島ではマイアミと同じ熱帯モンスーン気候(Am)、南鳥島ではバンコクと同じ熱帯サバナ気候(Aw)に分類され、日本では主要な熱帯気候(Af、Am、Aw)の全てが揃っていることになります。
雨温図の出典:沖縄気象台「沖縄県の気候変動監視レポート 2022, R4.3」
ココヤシ観察
渡口の浜
渡口の浜のココヤシ。まるで外国のような景色です。
実もしっかりなっています。
入口にある個体。残念ながら右の方は台風やらで折れてしまったようです。
この他、森の方にてっぺんだけ葉が見えている個体がありました。人が入っていくようなスペースや道が無いため、台風等で森林まで飛ばされたのち、発芽して育ったものと見られます。
下地島空港から渡口の浜へ向かう途中道。
すごい場所見つけました。対岸が全てオウギバショウ、ヤエヤマヤシ、ビロウヤシで覆われています。そして手前がマングローブ林。日本にもこんな場所があるんだと嬉しくなりました。
Pritchardia 発見
渡口の浜へ向かう途中。
大きな広場のような公園があり、よく見ると、、、、
Pritchardiaが2本植わってるのを発見。
そして下の方には、、、
実生個体もありました。
丁度今うちにある鉢植えのと同じくらいの大きさ。
やはり露地植えのものは基部が太いですね、憧れます。
因みに過去、お店で売られていたPritchardiaの値段を踏まえると、このサイズで5万くらいでしょうか。5万円が生えt...これ以上言うと抜きに来る人がいるかもしれないので止めておきます( ¨̮ )
発芽は比較的簡単かつ育てやすいため、流通すれば結構ポンポン増えそうです。耐塩性もあり、ココヤシ並に南国感を醸し出すので知名度さえ上がれば、、、
種類ですが、下に落ちていた種の大きさからP.thurstoniiかと思われます。
それにしても花序が出てないとP.pacificaとの違いが全くわかりません。
この2本はどうやら「還暦記念樹」として植樹されたようです。植えられたH20時はどれくらいの大きさだったんでしょうか。
それにしてもこのサイズは輸入では無いでしょうから、誰か生産者の方がいるのだとは思いますが、最初に育てていた方はどういった経緯で入手したんでしょう。北谷にあるPritchardiaも恩納村にあるPritchardiaもthurstoniiなので同じ生産者?の可能性もありますね。サイズも似てますし。因みに波照間島にもPritchardiaがありますが、こちらは種の特定ができていません。
伊良部島・宮古島
あの有名な伊良部大橋の伊良部島側のそばに生えているココヤシ。まだ伊良部島から出れていません。
この景色最高です。
反対側へ回って見てみました。
右手に写っている人口部が伊良部大橋です。
バッチリ実がなってます。
オレンジ色のタイプ
1本、真下に入ることができました。
こんな状況です。
ココヤシの幹にの上にアダンの幹がのっています。
アダンのサイズを考えるこのココヤシは結構古そうですね。
オカヤドカリがいました。結構大きいんですね。
先程のココヤシが生えている場所の伊良部大橋を挟んだ反対側の海岸。こちら誰も踏み入らない海岸林の中からひょっこり葉が見えます。
周辺には生えていないため、こちらも野良ココヤシかと思われます。
こうやって徐々に生息地を増やしていくんだなあと、これからの島の過程を見ているような感じでワクワクしますね。
2日目。宮古島内の与那覇前浜に向かう途中。
ありました。
これは普通の緑(tall type)。
こちらは与那覇前浜近隣にある東急リゾートです(敷地内も歩けるみたい?) 。
以下、リゾートホテル敷地内に植えられていたココヤシです↓
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.イエロータイプ。他にはブラウンタイプあり。
宮古島市熱帯植物園。
無料の植物園です。植物園というか公園のような場所です。
ダイオウヤハズヤシ?でしたっけ。実がたわわに実っています。
ダイオウヤシ。
サバルヤシ。名札にはワシントンヤシとありましたが。
Phoenix sp.
確か周辺にあったフェニックスはローレイリー?だったような。
にしてもこんな小さなうちから花咲くんですね。
松とビロウとヤエヤマヤシ。
いかにも沖縄の風景という感じ。
ココヤシありました。松林の中にココヤシ。変な感じですね。
植物公園の近くに1本だけあったココヤシ。
続いて宮古島港近くにあるココヤシ。
ここのココヤシはかなり立派です。
海側を望む方向から見た場合。
根元の方をよく探してみると、、、
ありました! 落下したココナッツから発芽してます。
どこにあるかわかりにくいですが。
近くには剪定した葉と一緒にココナッツも置いていたんでしょうか。こちらでも発芽していました。
日本でも実生から育つことができる証拠ですね。
こちらも港近く、ダイビングショップの敷地?内に沢山植えられて育っています。
別角度から。
完全に外国の景色です。
久松漁港にあるココヤシ。
背後の海と一緒に。
カママ嶺公園のココヤシ。
ビーチコーミング
宮古島東部の吉野海岸です。
朝だからか人は殆どいませんでした。
お目当てのココヤシ(ココナッツ)ですが、結構落ちていました。特に台風とかもないので結構コンスタントに流れ着いてくるんでしょうか。
恐らくほぼフィリピン産?
吉野海岸に限らず宮古島は本当に漂着ゴミが多いです。
多くは中国大陸から。
たまにフィリピンから流れ着いたゴミも。
ココナッツが落ちていたため、近づいたらなんとすぐ近くにニッパヤシが。しかも発芽していました。
ニッパヤシも結構落ちています(殆どは発芽不能の実ばかり)。
ゴバンノアシも拾いました。
残念ながら発芽しているココヤシはビーチコーミングでは発見できず。
ニッパヤシもココヤシも、発芽後に枯れた形跡がある実もあり、その時に発見できなかったのが悔やまれます。
これは違う海岸ですが、、
ココヤシが意外とゴロゴロ落ちており感動。宮古島から宅配で送れば沢山遅れるのかもしれませんが送料がバカ高いためリュックに入る2つのみ選定。それ以外の発芽しそうなものは良さそうな環境の場所に軽く埋めておきました。
次回来た時に確認してみます。
正直、発芽しそうとは言っても自信がある訳では無いです。他のヤシの実は基本新鮮なものは沈みますが、ココヤシは浮くようになっているため見極めが難しいですね。
実もデカいので沢山持って帰る訳にもいかないので。
誰かが集めたたくさんのココヤシ殻。
中々見づらいですが、ビーチへ向かう途中の海岸林にて。
トックリヤシ?トックリヤシモドキ?姿が殆ど見えないので分かりませんが、この土地で発芽して育ったものと見られます。
近くには家もなければリゾートエリアでもないので鳥が落として行ったのでしょう。それにしても相当の年月が経ってると思われます。かなり背が高いので。
その他
せっかく宮古島へ来たので地元にある植物を売っているお店へ。
マニラヤシ 300円
ビロウヤシ 500円
タビビトノキ 500円
という激安ぶり。
黄色のアレカヤシ。これで2500円。
非常に欲しかったですが送料が、、、
箱的にも葉を切らないといけなさそうなので断念。
一本植えのアレカヤシって沖縄以外ではまず見ないんですよね、、
集団で植わっているものより1本ものの方が好きなので欲しいのですが。
イワサキクサゼミ。
日本最小のセミです。沢山いました。
終わりに
そういえば宮古島なのに海の写真がほぼありませんでしたね^^;
写真は与那覇前浜にて。
宮古島のココヤシの多さには驚きました。正直まだ訪れていない場所もあります。というか見つけられていない場所も。
逆に枯れていたり、折れていたりしている個体もありましたが。
また様子を見に訪れたいと思います。
宮古島 ココヤシレポ終わり
ブラウザ版で見ると最後まで閲覧出来るのですが、、、