鉢で売られているコウモリラン/ネザーランドの用土には保湿性の高いものが使われています
初心者の方が水苔を使って板付けするのに、この土…どうしたらいいの?って、最初から難問ですよね…
今回は鉢植えビカクを購入してから板付けまでの工程を、実験&検証も兼ねて定期的に記事にしていきたいと思います
基本的には初心者向けですが、ビカク好きな方も楽しめる内容になればいいなと思ってます
いつも通り長文です、興味のない方はスルーしてくださいm(_ _)m
2023.1.7 ビカク購入〜下処理
ネットや動画サイトで検索すると、板付けする場合は水苔を使う事例が殆どです
理由は大きく3つ↓
①土だと乾きにくい
②粒子が細かいのか通気性が悪い
③土だと健全な根が育たない(個人的な主観です、そんな気がするだけ)
他には、土より水苔の方が軽い、なんか虫がいそう、そもそも土が嫌い…などなど
上記理由から根腐れのリスクが高く、出来るだけ土と根は除去してから板付けするのがいいのですが、どれくらい取ればいいのか、板付け後の管理をどうすればいいのか、慣れない事なので悩ましいですよね
今回はその心配事を解消できる(かもしれない?)方法を思いついたので、検証がてらこちらの "みどりのまとめ" に記したいと思います
前置きが長くなりました、本題です↓
ホムセンで鉢植えコウモリランを大小3株購入しました
A. 大きな株
一見用土にはヤシチップが使われていそうですが…
鉢底を確認すると…
残念ながら通常通りの黒い土ですね、ヤシチップは表土にマルチングしてあるだけでした
※たまに土ではなく水苔やヤシチップの鉢植えビカクも売ってたりします
見つけたらラッキー、こんな工程なしですぐ板付けしてOKです
抜くとこんな感じ
上の方に見える茶色のモケモケしたのが根です
土は真っ黒w
粒子が細かく通気性が悪いのか、酸素を求めて鉢と土の隙間に多く張っています
私はこの茶色い根がビカクシダの健全な根だと思っています(板付けする場合の話しです、エビデンスありませんのでご注意ください)
土をほぐしても中に茶色の根は見当たりません
土で育った根は黒いのかな?用土の色が移って見えずらいだけかも知れません
思い切って土と根の半分を除去します
この時注意する点は、成長点の裏側にある太い根茎(写真くらいの大きさだと硬いのですぐわかると思います)は切らない事、硬いところは無理にいじらず柔らかい土と根を除去しましょう
除去した部分に水苔を充填して鉢に戻します
B. 小さな株
ポットから抜いたところ
同じように鉢と土の隙間に根が集中しています
こちらも土と根を半分カット、取り除きます
こちらも同じく水苔を…
C. 小さな株 その2
こちらも同じような状態
3つとも同じじゃつまらないので、こちらは土をできるだけ除去し根を残してみました(水洗いまではしていません)
残した根を水苔で優しく包み、鉢に戻します
肥料はゆっくり効くマグァンプKをひとつまみ、それぞれに仕込んでます
最初の写真とあまり変わりませんが、植え戻して今回は終了です
水やりは水苔が乾いてからか、土が乾いてからか、どちらがいいのか現段階ではわかりませんが、この状態で1〜2ヶ月様子を見たいと思います
BとCの成長の違いも楽しみですね
次回抜いて水苔側にしっかり根が回っていれば、残りの土を除去して板付けできると思います
この方法が上手くいけば枯れるリスクはかなり減らせるのでは?と思っています
デメリットは購入から板付けまでに時間がかかる事でしょうか?
長くなりましたがもうちょっとだけ↓
余談
ビカクシダを購入する際のポイント
①ハリのある胞子葉(シナっとしてるのは×)
②枯れていない貯水葉がある株が好ましい
③成長点が薄緑色で生き生きとしている
②は貯水葉があると板付けし易い
最も重要な項目が③です
写真はB株の成長点の写真です
新芽が展開している根元の薄緑色の丸いモフモフした部分が成長点、この株は2つありますね
こちらは先ほどのC株、真ん中大きめの成長点の下にもう一つあります
どちらも良い色をしてます
買ってはいけない事例
成長点が茶色…これはもう枯れている若しくは瀕死の状態です
こちらの株は胞子葉にツヤがあり生き生きしてるように見えますが…
枯れてますね、こういう株を買わないようによく観察しましょう
あとは土がカビ臭いようなら購入は控えましょう、根腐れしてる可能性があります
ネット購入の際は特に注意ですーー
長々とすみませんでしたーーm(_ _)m
また1〜2ヶ月後に更新します!
2023.3.7 2ヶ月後
ちょうど2ヶ月経過しました、まずは残念なお知らせから…
土なし根残しのC株ですが、土から水苔に替えて一週間程して葉に張りがなくなりシワシワに → 他と同じように水やりを続けてましたが復活する気配なし → 完全に成長ストップしたのでクリアケースで高湿度密閉管理 → 10日ほどして様子を見ると成長点まわりに白いカビが大量発生 → 水洗いして除去しましたがもう手遅れ状態(↑写真)
とても可哀想な事をしてしまいました、こころが痛いですごめんなさいm(_ _)m
A株、B株は絶好調です
さてさて、根はどうなっているでしょうか?
A. 大きな株
期待していた根張りはイマイチ!!!
アガベなんかとは違ってビカクの根はゆっくりですねー(特に胞子葉ターン中は…)
右側の水苔部分は多少根がある様子、とりあえず貯水葉が揃ってて少しでも根があれば何とかなるのがビカクシダ(たぶん)…とりあえず板付けしようと思います
左側にあった土を取り除きました
指でつまんで引っ張って、取れそうなところは除去してます
黒いところは土です、取りきれないのでそのままで
板付け作業は飛ばして板付け後です
根が少ないビカクシダの板付けポイントは、株元の古い貯水葉に満遍なく糸を通して動かないようにしっかり固定する事↓
水苔の固さは株元が動かないようしっかり固めに、柔らかすぎると株が動くのでNGです!
貯水葉が揃うまではカリカリになる前に水やりします(頻度多くて大変な場合はラップをして保湿する予定)
B. 小さな株
こちらも根張りはイマイチ
でもよく見ると土側から伸びて水苔の方に張ってます
これって土を除去すると意味ないっすね…笑
まぁいっか!って事で土除去!
根茎からも新しい根が出てると信じましょうw
こちらは貯水葉がないので水苔詰めてポットに戻しました
株元が少しグラグラするので動かない様に同じく硬めに水苔を詰めます
3つあった成長点のうち2つ
もうひとつ、どれも元気そうです
ちょっと面倒な工程を経てますが、貯水葉が揃ってれば根ごと土を除去して板付けして問題ないと思います(しばらく保湿気味の管理で ☜ これがちょっとわかりづらい…乾燥させすぎはNG)
※真夏と冬季はやめた方が無難です、ベストは4〜5月
とりあえずわかったのは土の時の根を丁寧にほぐして残しても意味がないという事…
以前にも似たケースの株あり、そちらの株も枯れてしまいました
実は薄々わかっていた結果です、C株ほんとごめんなさいm(_ _)m
うーーーん…
なんか思った通りにはなってないけど、とりあえず結論!!!
貯水葉があれば土取って板付けOK!
なければ今回のように水苔に入れ替えつつ貯水葉が揃うのを待つ!
土のまんま板付けしたらええやん!って声が聞こえて来そうですが、土残し板付けビカクの管理をした事がないのです…
うーん…そもそも着生植物なのに土ってどうなんだろうなーー?
今度は土残しでやってみるか…
長々とすみません、次回A株の板付け後の様子とB株の板付けをしたら終わります
もう少しお付き合いくださいm(_ _)m
2023.4.5 約3ヶ月後
Bの小さい方、根張りが甘く水やりの度に他のビカクに葉が当たってグラグラになってきました
このまま放っておくと動いてしまって根が張れません
対処法は網カゴに入れるだけ✌︎
胞子葉がうまいこと縁に乗って、株元の負担を減らします
水遣りは籠ごと移動して上からシャワー
メッシュ状なので水は抜けるしどこにでも引っ掛けられます
セリアの逸品w
2年くらい使ってるので下の方は錆びてますね、消耗品です
水やりサボりたい人向けなのは飲み終わったドリンクカップ、蓋付きなので高湿度キープできます
写真の株は関係ないですが首折れしたベイチー×ウィル、根がほとんどありませんが落ちる事なく新芽展開中です
カップごとセリアの網カゴに入れればどこにでも引っ掛けられますん✌︎
2023.5.30 約5ヶ月後
こちらBの3株、順調に葉数が増えてきました
グラつきも多少改善されました
2株に貯水葉が出てきたので分けたいと思います
気になる根張りは、、、イマイチ!笑
写真は一番根が回っていたところ、こんなもんですw
成長点の位置を確認して真ん中から分割します
消毒したハサミやカッターで上から切り込みを入れます(葉先の細いハサミだと楽)
1cmくらい切れたら手でゆっくり開くように分けます
✂︎✂︎✂︎
ひとまず1株と2株に分けることが出来ました
はい、次!
成長点を傷つけないように注意しながら…
分割完了✂︎✂︎✂︎
ここからポット植えや板付けしたいところですが、根が少なく胞子葉を支えられずグラグラしちゃうので、まずは小さな苔玉を作ります
今回は株元にマグァンプを2粒仕込んでみます
水苔のせてミシン糸でくるくるっと…
グラつかないように株元を重点的に巻きます
胞子葉の隙間に糸を通すと安定しますよ
引き続き水苔足しながらくるくる…
完成!
残り2株も同様に…
隙間に通してもグラ付く場合は古い胞子葉ごとくるくるっと…
葉先の邪魔になる部分はカット✂︎
はい、終わりました!!!
これならポットに入れても板付けしてもグラグラしません!
折角なので1株板付けしてみます
あまり厚く盛りたくないので、丸く作った苔玉を少し扁平に整形します
小さな株で胞子葉が出揃ってないビカクの向きって難しいんです
11時や1時の方向向いちゃう事が多いのですが、その理由と対策を伝授しますw
成長点下の胞子葉の根本をよく観察してください
左右に出揃っていると思いますが、これを同じ高さに揃えると将来的に図のように斜めになってしまいます
なので適切な向きはコチラ☝︎
胞子葉も貯水葉も右→左→右と斜め上にズレるように成長していくので、新しい胞子葉の根本が古いのより少し上に来るような向きにします
小さな子株の胞子葉は光に引っ張られて向きがぐちゃぐちゃな事が多いので、判断難しいですけど…
完成✌︎
たぶん向きは正しいと思われますw
予め苔玉を作ったお陰でグラつきなし、板付けもし易いです
検証開始時の目的とは違った内容になり更に長ーーーくなってきましたが、次回A株の進捗とBの残り2株を板付けしたら終わりたいと思います(秋くらいですかね?)
引き続きよろしくお願いしますm(_ _)m
2023.9.19
ご無沙汰です
小さいのも大きいのも全て順調です
右下の2株も根張り良く板付け可能なサイズになりました✌︎
立派になりましたw
時期が良ければ即板付け!
小さな子株は苔玉に!
これに尽きます笑
ちゃんとした検証にならずでごめんなさい
ありがとうございましたm(_ _)m
こういう実験的な事は大好きです。
とても勉強になります。
今後も楽しみにしております♪