緑に囲まれて暮らしたい。フツーの緑じゃものたりない。植物好きの皆さんにもってこいの物件ばかりを厳選セレクト。
つぎの転居先に、
リモートワークのコワーキングスペースに、
ガーデニングのお手本に、
ぜったいに負けられないかくれんぼに、
そして、終の栖にも、、、どうぞ!!
「深夜の空き家」予告編
1 このモジャモジャが空き家でございます。忘れもしない夏のおわり、キレイなお花のお写真を撮りに出かけ、これを見つけて凍りつく。気温38℃の猛暑日である。冬場だったら危うく凍死していたかもしれぬこのクールな衝撃が、伝わってますか?
空き家と呼ぶだけではもの足りない、草木の一本も生えぬあばら家と、区別しなければ、、、
緑の空き家、植物屋敷、グリーンハウス、モジャモジャ園、葉っぱの宝石箱や、、、
言葉が脳裏を駆けめぐる中、写真を撮る手を止めることが、出来なかったのである。
2 ボクだって出来ればキレイなお花の写真をアップしたい。フツーのグリーンスナップに戻りたい。
足が棒になるほど歩いた、探した。見つかるのは空き家ばかりである。空き家、空き家、空き家、、、
もう、空き家問題深刻!!
3 一度空き家に踏み込んだら最後、二度と帰って来られない。空き家とはいわば都市空間に姿を現した 樹海 のようなものなのである。
いや、もう、比喩でなしに樹海そのもの、樹海だよ、樹海。ウソじゃない、ここ、樹海!! 絶対、樹海!!
4 ほら、喫茶&スナック 樹海 でしたぁ。モジャモジャヘア&ひげ がトレードマークの樹海マスターが、名物の 樹海焼きそば を振る舞ってくれるいいお店。行くときはコンパス持参でね。
5 これほど豊かな緑が他にあるだろうか? どうやら空き家は令和日本に息吹き返し始めた極小のオアシスらしい、、、
しかしグリーンスナップに、空き家のお写真をあげてる危篤な人、誰もいないし、、、2ヶ月迷った。がっ、あえて問いたい。
なぜ空き家の写真を撮らないのか? と。
6 このゴミくず同然のコレクションを無にはしたくない。100軒近くの空き家を見ていくうちに得た、知見をまとめてプレゼンしたい。グリーンスナップ界に空前の 空き家ブーム を巻き起こしたい。フォロワーたった9人のこのボクがっ!!
キレイなお花のお写真はキミたちに任せた。パンドラの箱は開いてしまった。
荒れた庭に朽ちた家、目も当てられないお写真の数々を、レトリックの力だけで何とかする「深夜の空き家」が、次週よりスタート。
皆様の貴重なタイムラインを汚さぬよう遅い時間を選んでお届け。全10回を予定している。おたのし耳。レッツ空き家!!
第1話「野生の思考」レヴィ=ストロース
1 あれは何だ? 空き家である。人様のお留守に植物に乗っ取られた植物屋敷=お野敷である。ちょっとカワイイ。
都市生活者にとってどうやら今、空き家が植物の宝庫なのである。
2 ここまでジューシー&肉厚なのは珍しい。おいしそう。かぶりつきたい。葉っぱの宝石箱や。なんかのドーピング疑惑で濃厚なグリーン増量中。
この圧倒的なグリーンは、誰かがスナップしなくてはいけないのでは? 問題。
3 隣の空き地はパーキングである。前向き駐車厳守である。ここまで見事な植物屋敷は、みんなで保護すべき、文化財クラスなのである。
4 ちなみにこれは空き家ではない。これはオシャレである。中途半端にネイチャーライフに憧れた家主がこしらえた作品である。だから窓だけ都合よく開いている。生活するのに必要だからである。
これもオシャレである。
これもオシャレである。
5 野生に帰った葉っぱにそんな配慮はない。そこが窓だろうとドアだろうとベランダだろうと、すべてを覆い尽くす、それが 野生の思考 である。
凹凸のある複雑な形状を、もらさず緑でコーティング。巧みの技である。
ベランダを鉢でいっぱいにしてボタニカルライフとか気どってるやつらを全員、ブっ飛ばしたい。
今すぐマンション売り払って、ここ引っ越せ!!
第2話「宴のあと」~三島由紀夫
1 かつて居酒屋として賑わっていたこの店を訪れる客はもういない、、、
店主が消え客が消え、いつしか樹木が住み着いて、完全に乗っ取られ、すっかり彼らのもの。どこから手をつけていいのやら、、、手遅れ。
出来ることといえば、目を背け足早に、通りすぎることくらい。
反対側のが日当たりがいいみたい。よく繁ってる。
2 玄関は深く草に閉ざされ、肝試しに訪れるものもいないのか、踏み固められた跡はなし。駅から徒歩十分圏内に誕生した人跡未踏の地。ちょうちんの残骸がわずかに、そこが居酒屋であった名残を伝えるのみ。
ここでどれだけの宴が繰り広げられたことだろう、、、兵どもが夢のあと。この一枚から例えば「希望」だとか、前向きなワードは何一つ、引き出せそうにない。
3 そんな感傷は人間中心の狭い了見に過ぎないのでは? 樹木の視点でこれを見れば、世界は鮮やかに反転する。
彼らの生活様式はアウトドア中心。壁、窓、屋根、看板、すべての表面に、家族、友人、仲間、客人、を招き入れ、広い青空宴会場は満席御礼。
中腹のグリーンステージは、野外フェスのような人だかり、もとい、葉っぱだかり。店は大繁盛、第二の春を迎え、草木も花の大賑わい。
4 ほら、看板の上に、希望の花が咲いている。
かつて居酒屋として賑わっていたこの店を訪れる客はもういない、、、
酔客に酒を振る舞ってきたこの空き家はいま、経営主体が植物に代替り、よく晴れ渡った日などは特に隣マンション住人に、飲み放題のドリンクバーのような、新鮮な空気をいくらでも、ご馳走してくれている。
5 先頃惜しまれつつ閉店した スナック慕情 も事情は同じ。どこも人手不足は深刻らしく、引き継ぐオーナーは見当たらず、、、いっそ、植物の手も借りたい!!
6 そこで草や葉たちが店の再建に名乗りをあげ、大がかりな改装作業に着手しました。
が、彼らの不得手な冬にぶつかり工事は一時中断。緑の空き家は一日にして成らず。
太陽の照りつける夏がまた、めぐってくる頃にはきっと、ここも色濃い緑が繁茂する人気店として、人知れず繁盛していることでしょう。
7 おまけコーナー。。。スナック慕情の衝撃映像。終戦直後のバラックか。
ここのカラオケで大音量で歌いたい、ユニコーンの「大迷惑」。
第3話「門」~夏目漱石
1 あれは何だ? 空き家である。人様のお留守をいいことに庭の樹木が奔放に爆発したのである。まさに生命エネルギーの爆発。美しい。爆発は芸術だ。
しかしここは街角。市中での爆破騒ぎは事件である。都市は今、樹木による爆破テロの危機に晒されている。グリーンテロリズム革命である。このタイプの空き家を「テロ屋敷」と呼ぶところから始めたい。
これくらいでテロ? 安心して下さい。皆さんを驚かせないよう、小さいのから見せたまで、じゃ、これは?
2 大爆発である。これ、家よ。庭よ。町田よ。町田ったら、住みたい町ランキング上位、そこそこ人気のシティよ。しかも駅からわずか徒歩5分、、、
テロ屋敷と呼ぶのは、ゴミ屋敷問題への目配せからである。すっかりブームの去ったそれは、作成するのにかなりの重労働を要する。そこに住み続ける常人離れした精神も。ゆえに歩いていてゴミ屋敷に出会うことは、今日まずない。
3 そこから人が消えるだけで勝手に出来上がるテロ屋敷は、そこら中にある。次の社会問題予備軍、いや、とっくに一軍レギュラーの座を、獲得しているのかもしれない。人知れず。
まったく空き家問題は深刻である。高齢化、人口減、ジャパンアズナンバーワンから幾星霜、謳歌してきたライフスタイルはどん詰まり、どこもかしこも空き家だらけ、、、
令和ニッポン社会は今、グリーン版テロ多発地帯なのである。ウォッチアウト!!
なお、謎の町田樹木大爆発事故については調査継続中である。
4 町田と相模原の県境、流れる小さな境(さかい)川。正直ひなびた地域である。フツーに林が残っていたりする。
そんな林を遠目に眺めながら歩いて来て、いま眺めてきたそれが林でなかったことに気づく。
5 門があったのだ。通常、林の入り口に門はないはず。門と林とが直に、合成写真のようにドッキング!!
はたして家とは? はたして林とは? 眺めているとゲシュタルト崩壊を誘う門である。
6 覗き込むとソフトに埋もれた車が見えた。門と車、だいぶ家に近づいて来たが、まだ足りない。肝心の家が。
立ち入って確かめたいのはやまやまだが、その権限はない。でも知りたい。そこに家があるのかどうか? 即ちここが空き家なのかどうか?
「彼は門を通る人ではなかった。又門を通らないで済む人でもなかった。要するに、彼は門の下に立ち竦んで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。」(夏目漱石「門」より)
ブロック塀沿いに移動、さっきの車が見える。
7 日の暮れるのを待つ。諦めて帰路に着くと、家が見えた。家はあったのだ。敷地内に家があっただけなのに込み上げてくるこの歓喜の情。ほんとぐるり歩いたが、家が見えたのここからだけよ。
あそこもいずれ埋まるのだろうか、、、OK 、ウェルカム👍 夏目漱石大きなお世話。ポジティブな多幸感にのみ満たされて、門の下へと戻りながら、こう考えた、、、
このお家、泊まりたい。
8 それがきっと唯一の、空き家有効活用法。古民家宿泊ブームなど、ゴミ屋敷ブーム同様どうせすぐ去る。空き家に泊まろう!!
キャンプとも違う、屋外ではない、ちゃんと家なのに、窓の外には押し寄せる樹、樹、樹(ふだんは聴かないJUJUとか聴いちゃう?)。見たこともない窓からの眺め(葉っぱオンリー)。人間よ、自然に帰れ with 空き家。へんな虫出た、図鑑にも載ってない!! 酸素多すぎ、もう吸えない!! 滞在型ジャングルクルーズ!! 究極のダークツーリズム、完成!!
ビジネスチャ~ンス!! クラウドファンディングは葉っぱのお金(タヌキでおなじみ)で!! 星野リゾートの人、見てたら連絡下さい!! あと臼井さんもね。
9 本日のハイライト。育ちまくった樹木が密になり、ご覧の通り鉄柵を圧迫。
木って力持ち!!
たいへん、教えてあげて、ゼネコンの人に。タワーマンションとか、木造にしないと、鉄じゃ曲がっちゃうぞ!!
捕捉1。左隣の家なめのアングル。まったく家は見えない。
捕捉2。これが真っ正直からのお写真なのだから、、、大迫力。もう、泊まりたい。