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環境や植物とも関わりの深い「SDGs」。前回の連載では、このまま何も変わらない生活を続けると起こりうる日本の未来についてお伝えしました。
日本に限らず、世界でも様々な問題が起こっています。そうした課題を解決するためにつくられた「SDGs」とは、いったいどんなものなのでしょうか。
第2弾の今回は、SDGsとは何なのか、なぜ必要なのか、日本の現在の取り組みや、未来のために何が必要なのかなどについて、川井さん(SDGsアドバイザー)にわかりやすく解説していただきます。
「SDGs(エスディージーズ)」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。国際連合加盟193国の全会一致で、2015年に決定された取り組みのことをいいます。
そんなSDGsの理念には、「誰一人取り残さない」、「経済・社会及び環境の3側面の調和」などが掲げられています。
つまり、私たちの子供や孫の世代まで資源や豊かな自然などを持続していける社会をつくるだけでなく、それと同時に経済の成長や社会問題の解決も実現していかなければならないのです。
これが国や性別の違いにより、誰一人欠けることがなく実現できるよう、これから世界中の全人類が、何よりも優先して取り組まなければならないことなのです。
SDGsは、17の目標とそれに関連する169のターゲット、232の指標で構成されています。
17の目標は、街やTVCMなどでよく目にするカラフルな17種類のアイコン(上図)の通りです。
この17の目標を大きく分けると、『国際開発的な問題(貧困飢餓やジェンダー問題など)』、『経済問題(経済成長の中で生じた負の側面や歪みなど)』、『環境問題(気候変動による環境への影響や生態系の変化など)』となっています。
ただし、これらの目標はやや抽象的な表現となっていて、具体的なイメージがわかない方も多いかと思います。そんなときは、ぜひ169のターゲットを見てみてください。
それには、各目標に対する具体的な目標達成期限や数値が記載されています。例えば、3番の「健康と福祉」の目標のターゲットには、2020年までに交通事故による死亡者を半分にするというようなものがあったりします。
よりイメージもしやすくなるので、みなさんもぜひチェックしてみてくださいね。
実は、文部科学省から発表される教育の目的に「持続可能な社会の創り手となること」が2017年から明記されています。
このSDGsについては、2020年には小学校の教科書に、2021年からは中学校の教科書にも載っていて、2022年には高校の教科書にも入ることが決まるなど、義務教育の中で学ぶものとなります。
また、最近の私立中学入試ではかなりの確率で出題されているなど、入試でも子供たちにその捉え方が試されています。
家族でSDGsについての会話ができるよう、大人のみなさんもぜひここで一緒に理解しておきましょう!
SDGsは最近メディアでもよく話題になりますが、現時点での、世界から見た日本のSDGsにおける評価はどうなっているかご存知でしょうか。
2020年に発表されたSDGsの国別ランキングでは、日本は17位という結果となっています。
人口1億人以上の国およびアジア諸国の中では、比較的豊かで治安もよい方といえるでしょう。
ただし、以前から環境問題に取り組んできたヨーロッパ諸国と比較すると、日本はこれまで震災復興を優先するなどしてきたということもあり、やや遅れをとっているのは事実です。
また、日本はSDGsにおいて「教育」や「産業基盤」「平和と公正」という項目が評価されている一方、男女の平均賃金の格差に象徴される「ジェンダー問題」や「自然生態系保護への取り組み」、「国民総所得に対するODA比率など評価の低い項目」が明示されているので、世界の順位がどうのこうのということとは関係なく、真摯に受け止めて解決していくことが重要だと思います。
日本ではこの遅れを取り戻すべく、最近SDGsへの取り組みが急速に進み始めています。ではなぜここまでSDGsへの取り組みが重要視されるのでしょうか。
それには、今後の資源不足や前回お話しした気候変動問題などが大きく影響しています。
>>気候変動によって起こりうる日本の未来についてはこちら<<
私たちは、このまま気候変動による温暖化が進むと、企業経営も個人個人の生活も成り立たなくなることに気づき、本格的な取り組みを始めたということになります。

出典:www.wwf.or.jp/activities/news/4390.html
「Earth Overshoot Day」とは、その年使える分の資源を使い果たし、吸収できる分以上の温室効果ガスを排出してしまった日のことをいいます。
上の図からもわかるように、実は1970年以降ずっと、私たちは毎年資源を先の世代から前借りして使い、廃棄物はすでに多く出しすぎている状態が続いているのです。
2020年はグラフが減少していますが、これは新型コロナウイルスの影響であるため、根本的な改善には繋がっていないというのが現状です。
このまま現在の生活を保つには、世界全体では地球が1.6個必要となり、日本だけで見ると、なんと2.8個分もの地球を要するという計算になります。
日本の消費量が自然資源に与える影響は、世界的にみても大きいのです。
気候変動による生態系の変化や自然災害などの影響は、現在もどんどん悪化していて、到底無視できないものとなっています。
自然災害が多く発生すると、私たちの暮らしは不安定になり、消費は激減し、経済も停滞します。
社会や経済は環境ありきといえるため、気候変動問題は特に意識していかなければいけません。
世界的にも「パリ協定」などの気候変動緩和策が重視される中、日本では昨年、2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会の実現を目指す)宣言がなされ、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%まで減少、2050年の実質0にするという目標が発表されましたよね。
この最終目標は日本だけでなく世界全体で目指すものとなるため、日本だけ実現できませんでしたという結果にならないよう、本格的に取り組む必要があるのです。
しかしながら、この目標達成は、革新的なイノベーションがないと実現は相当厳しいともいえます。
ニュースを見て「2030年以降は、東京ではガソリン車の新車販売ができなくなるのか…。」と思うだけではなく、私たち一人一人もこれらを意識して生活することが必要となるのです。
SDGsの正式採択文書の名前は「Transforming our world」です。ここで重要なことは、「Changing our world」ではないということ。
チェンジは服を着替えるくらいの、いつでも元に戻せる程度の変化。対してトランスフォームは蝶の孵化のように2度と元に戻れないくらいの極めて大きな変化のことをいいます。
これからはチェンジ以上のトランスフォームが必要なのです。
つまり、今の生活様式や暮らしのあり方をおそらく完全に変えていかないと、将来の世代に対する責任は果たせないということを理解しておきましょう。
また、繰り返しとなりますが、この革新的なイノベーションを起こすには、政府の政策に頼るだけでなく、私たち一人ひとりもSDGsについてきちんと理解を深め、日々、意識をし具体的なアクションを起こさねばなりません。
今ある日本や世界の景色、食べ物、生き物を、私たちの子供そして孫の世代まで残せる社会(持続可能な社会)を実現するためにも、この理想的な未来を思い描き、それを実現させるには何が必要かを逆算して考え続けることが大切です。
例えば、「将来野球選手になりたいから、野球部に入ってたくさん練習しよう」という考え方ではなく、「イチローのようになるためには、どうすれば良いかを徹底的に考え、今の生活や野球への取り組みを抜本的に変えていく」というようなやり方が求められているのです。
SDGsでは、CO2削減などの環境問題だけに限らず、ジェンダー平等などの社会問題や経済成長も同時に実現していかなければいけません。
このバランスをとりながら目標を達成することは、とても難しいことのように思えますよね。
しかしながら、SDGsは世界の問題を俯瞰して見るためのツールでもあり、私たちが日頃見落としていることに気づくことができるものでもあります。
私たち一人一人の意識や行動、世界の見方がきちんと変われば、決して実現不可能な未来ではないはずなのです!
それでは、私たちは今からいったい何をしたらいいのでしょうか?
次回は、私たち一人ひとりが「SDGs」を意識し、具体的なアクションを起こしていくために、どのように考えて、どのようにアプローチしていけばよいかのか、などについてお話しできればと思います。お楽しみに!

SDGsアドバイザー 川井健史