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梅といえば冬が明け、春の到来とともに咲く花木です。古くから日本で愛されてきた梅は、とても生命力が強いので初心者でも簡単に育てられます。
今回はそんな日本人の和の心に染みわたる春の風物詩、梅の木の育て方をご紹介します。
梅の木はバラ科アンズ属で500品種以上もの園芸品種があり、花を楽しむ「花梅」と、実を収穫するための「実梅」と大きくわかれています。さらに、原種に近く丈夫な「野梅系」、株の断面が赤い「耕梅系」、実梅の代表的な「豊後梅」、観賞用に人気な「枝垂れ系」などに分類できます。
盆栽の梅として人気なのは生命力の強い野梅系の品種です。
梅の木は成長が早いので1〜2年ごとに、12〜3月に植え替えをしてあげるといいです。
梅を鉢から抜いて、3分の2くらいの泥を落とします。このとき太い根や古く変色した根は切りましょう。ゴロ石を引いて用土をいれた素焼き鉢(通気性のいい鉢)に植え替え、土を被せて苗を安定させます。水をたっぷり与え、日陰で1週間ほど管理したあと、日向に移動させて様子をみます。
梅の木は日当たりがよく、水はけのいい場所が好みです。気温は平均気温が7℃以上程度が適しています。なお、実梅のほとんどの品種は開花時期に4℃以下になると実のなりが悪くなります。ですので寒冷地で育てる場合は、開花が遅い「白加賀」、「豊後」などの品種が向いています。
梅の木は春〜秋は日当たりと風通しの良いところに置きます。葉焼けをしやすいので直射日光は避けましょう。また、室内の場合は乾燥に弱いので、クーラーの風が直接当たらない場所がいいです。
冬は風や霜を避け、あたたかい陽だまりに置いてあげると良いでしょう。梅の木は寒さに弱いので、この時期しっかりケアすることによって花や実のなり具合が変わります。
梅の木への水やりは、表面の土が乾いたらたっぷりとあげましょう。夏は毎日あげるくらいがちょうどいいです。梅の木に対して小さい鉢植えになっている場合、1日2回水やりをしましょう。なお、庭植え・地植えにした場合、植え付けから2年経てば、その後の水やりは不要です。
水はけがよく、有機質の多い土を好みます。赤玉土(中粒)6:完熟腐葉土または樹皮堆肥4の比率で混ぜた土がおすすめです。また、鉢も素焼き鉢など、通気性の良いものにしてあげるといいです。
梅の木は根の先から肥料を吸収していくので、広がった枝の先端の真下に位置する地中に混ぜてあげるといいです。
地植えの梅の木の場合は、緩効性肥料を12~1月に固形の油かすなど有機質の肥料をあげましょう。冬季に寒肥として与えることで、一年間の健康維持に繋がります。
鉢植えの梅の木の場合は、花が咲き終わった4〜5月ごろに緩効性肥料を与えましょう。花が終わった後にあげる肥料を礼肥といって、開花につかった体力を回復させ、新芽や花芽の増加、根張りの強化に繋がります。
梅の木は成長が早いので、思い切った剪定をないと病気や害虫を防げません。基本的には6月ごろと、冬季などに年2、3回ほど剪定するようにしましょう。
とくに冬季の剪定が大事で、土植えの場合12月〜1月ごろ、鉢植えの場合は3月ごろに思い切った剪定するといいでしょう。また、植え付けから1〜3年間はその年に応じた剪定の方法があるので注意が必要です。
とはいえ、成長が早い分、少し剪定に失敗しても立て直しがきくので、気軽に楽しみましょう。
梅の木には害虫がつきやすく、とくにあたたかくなってくる時期には注意が必要です。
よくつく虫としてはアブラムシが挙げられます。4月ごろに発生し葉に寄生して弱らせ、すす病を誘発します。繁殖力が強いので、木酢液やオルトラン薬剤を散布しましょう。
また梅の木は黒星病という葉や実に黒い斑点をもたらす病気にかかりやすいです。梅雨の時期に発生しやすく、ほおっておくと梅は枯れてしまうので、薬剤を散布して予防しましょう。
梅の木は、種まきのほかに挿し木(休眠挿し、緑枝挿し)接ぎ木で増やすことができます。ただし梅の木の挿し木はなかなか難しいので、種まきや接ぎ木のほうがおすすめです。
接ぎ木した品種によっては、一つの株から色の濃淡が違う紅白梅などができる場合もあります。
梅の木の種まき時期は11〜12月です。まず7月ごろになる熟した梅の実から種を取り出します。こびりついた果肉などは水で洗い流してきれいにし、ビニール袋などで密閉した状態で冷蔵庫に保管しましょう。
11〜12月になったら取り出して、もう一度水洗いし種まきします。深さ20cmくらいのポットに赤玉土(小粒)を敷いて、たみだ型の種の先端を下にして植え付けます。10〜15cmほど土をかぶせたら完成です。
ちなみに、このような実から発芽した実生の梅は、親の株の性質とは違うものになります。例えば南高梅の実を植えたからといって、南高梅が成るわけではありませんので留意しましょう。
梅の木の実はだいたい地植え、鉢ともに3〜4年ほどで結実するようになります。品種にもよりますが5月〜7月ごろに梅の実が収穫でき、梅干し・梅ジャム・梅酒などいろんなものに使えるのも魅力の一つです。
初心者でも育てやすい梅の木ですが、一本で結実させるには花粉の多い「月世界」や「鶯宿(おうしゅく)」などを選びましょう。花粉が少ない品種や「南高梅」には受粉樹が必要になります。
品種によって干し梅向き、梅酒向きなどもあるので、梅の実の用途が決まっている方は注意しましょう。
梅の木は桜よりも前に、観賞用として日本で長く愛されてきた花木です。黒い無骨な幹と、ほんのり染まる桃色の花が、見る人に力強さと癒しを与えてくれますよね。なんと奈良の月ヶ瀬梅林には樹齢600年の梅の木が現存します。それほど強い生命力とその美しさ、ぜひご自宅のおにわで育てて、体感してみてください♪
GreenSnap編集部