warning
error
success
information
一見、素敵な野菜・果物を使ったフラワーアレンジメント。
デザイン的には文句なしでも、実は組み合わせによっては花が早くしおれてしまったりと悪い影響を受けてしまうこともあるんです。
せっかくのアレンジ、どうせならより長くきれいな状態で楽しんでもらいたいですよね。
ということで、まずは野菜・果物と花の、基本的な関係についてご紹介します。
花が悪くなりやすいのはなぜ!?
それは、野菜・果物が出す「エチレンガス」のせい
エチレンガスは、
①花が受精し、子房を膨らませる時(つまり果実が出来る時)、
②果実が完熟してから、腐る時(老化する時)に発生するガスのこと。
つまり、植物のエイジング(老化、経年)を進める役割を持っているものだ。
なので、エチレンガスをたくさん出す野菜や果物は、あまり花との相性はよくないと言える。
けれども野菜・果物などの愛らしい色や形は創作意欲をかきたて、デザイン的にどうしても使いたいことも。
そんな時はエチレンガスの影響を受けやすい花を避けたり、
逆にガスに強い花と組み合わせたり、
ガスが発生しにくい条件下で使うなどのひと工夫で解決を。
影響を受けやすい花と組み合わせてしまうと、
「花がいつもより元気がなくなるのが早い」という事態にもなりかねないので注意!
葉野菜類
エチレンガスが出やすい状況
・気温8度以上
・密閉された空間
先にも述べたとおり、植物のエイジングを促すエチレンガス。もう一つ気を付けたいのが野菜・果物を使う時の状況だ。たとえば気温8度以上の暖かさになるとガスが発生しやすくなり、さらにエイジングが加速してしまう。ただし風通しがよければガスが拡散されるので、暖かくてもわりと大丈夫だそう。
たとえば、宅配用のボックスなどでの密封がいちばん影響を受けるそう
エチレンガスが出にくい状況
・気温8度以下(冬など寒い季節)
・風通しのよい場所
冬以外の季節でも風の通りがよければ、影響をあまり受けないですむ
ちなみに、花材で見ると……
わりと茎のしっかりした花が強いようだ。ただ、花は強くても葉は弱いというものもあるので、気を付けて使おう。
ヒマワリ チューリップ ストック キク類(キク科の植物)
フリージア アイリス スイセン アルストロメリア
※ちなみにアルストロメリアは、花はエチレンガスには強いが、葉は黄化してしまう。
これらのことを踏まえると。たとえば……
この組み合わせなら、ヒマワリがエチレンガスに強いので大丈夫。もしくはパイナップルをエチレンガスの少ない果物に代えてもいい。
ヒマワリ + パイナップル
一般的に花落ちしやすい花は大体弱いようだ。エチレンガスの多く出る野菜・果物との組み合わせはよく考えて。
ブルースター カーネーション カスミソウ トルコギキョウ HBスターチス バラ デルフィニウム スイートピー スナップ ラン リンドウ
これらのことを踏まえると。たとえば……
カーネーション、カスミソウ + パイナップル
というアレンジメントだと、すぐに花がしおれてしまうことに。
ぜひ、覚えて、アレンジメントの幅を広げましょう!
illustration (C) Seibundo-Shinkosha
出典元:書籍『ベリー・フルーツ・季節の実ものフラワーアレンジ講座』
季節によって植物の実の色合いや種類が変わる日本。ベリー、フルーツ、野菜などを含めた、実ものをフラワーアレンジメントに取り入れることで、季節感はもちろん、空間のひろがりや豊かな表情をフラワーアレンジメント作品に与えることができます。難しそうに感じられる植物の実の扱いですが、コツをつかみ、基本の形を理解することでぐんと身近なフラワーアレンジの素材になります。フラワーデザインの中で素材としてよく使われ始めている野菜、フルーツなどを含め、古来より生け花に使われてきた枝つきの実の使い方や、クリスマスリースなどにも使われる人気のベリー系花材など、さまざまな空間を彩る数多くの作品を、作り方など詳しい解説とともに紹介。著者が追求してきた、花材をもっと気軽に使いこなすためのより実践的なテクニックやコツを惜しみなく公開します。知っておきたい実の扱い方の基本知識や、フラワーアレンジメントに使用できる実物集も収録。すぐに使えるアイデアが満載の、充実の1冊に。誠文堂新光社刊
フローリスト編集部