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すべてのヒントは、植物がくれる
皆さんは、アレンジを制作する時に、先にデザインを決めてから花材を選びますか?
それとも、花材を決めてからデザインを考えますか?
おすすめする方法は、後者です。
葉物をメインに使う場合は、特に。
葉物は、同じ種・品種であっても産地や等級によってまったく違う表情をしています。
まずは一枚一枚の魅力やおもしろさを自分自身で感じ、それからアレンジ全体を組み立ててみましょう。
そうすることで、より美しいデザインを誕生させることができるのです。
メインに使うもの、サブに使うものなどを先に決めてしまわず、花材と出逢ったその瞬間に構成を考える…これがポイントです。さらに大切なことは、植物の美しさを引き出してあげる、という意識をもつことです。やるべきことは、植物をもっとも美しく見せるための手助けなのです。
デザインにこだわりすぎるあまりに、植物の美しさを半減させてしまってはまったく意味がありません。
フラワーアレンジは、植物ありき。
花材のひとつひとつが伝えてくるメッセージを読み取りながら、柔軟な心で生けてあげましょう。
すべてのヒントは、植物がくれるのです。
葉ものを活かすことができれば、アレンジはめきめき上手になる!
一般的なグリーン花材のアレンジメントアイディアをいくつかご紹介します。
ニューサイランは、同じくらいの長さ、太さのものが入荷することがほとんどなので、アレンジに使う時は、葉を割いたり、半分にカットしたりして太さの強弱をつけ、デザインにメリハリを。また、ニューサイランの中心には筋が通っていますが、丸めて使う場合にはこの筋を取り除くときれいな円を描けます。筋を取っても水保ちはいいのでご心配なく。グリーンと白のミックスがとても美しいニューサイラン。爽やかなデザインには白部分が多いものを使うなど、一枚一枚をしっかり見つめてアレンジすることが大切です。
花材/ニューサイラン、アルストロメリア、ミモザアカシア、スカビオサ
スプレー状の細い茎に、丸い小さな葉がたくさんついているブプレウルム。とてもかわいらしい葉物のひとつです。花と花の間を埋めるように使う方法もありますが、この作品のように、ギュッと詰めた花の上に、ブプレウルムを浮かせるように挿すと、全体に軽やかさが生まれます。マスに挿した花を重く見せないための、アレンジメントのヒントです。ブプレウルムは、そのまま挿してしまうと葉の量が多すぎて、特徴である軽やかさが半減してしまいます。余分な茎、葉を間引いて、すっきりさせてからアレンジに使うことが成功の秘訣です。
花材/ブプレウルム、カーネーション、バラ、スイートピー、スカビオサ
サンセベリアは土に挿しておけばそのまま根付くほど日保ちが良く、温度差のある場所や水やりができないなど、厳しい状況でも重宝します。ただし、矯めがあまり効かないので、ねじ曲がった元の形をうまく利用しなければなりません。一本一本の姿、形をよく見て、適材適所に配置することが大切です。色も微妙に違うので、おおまかに組み合わせてみてからアレンジするとよいでしょう。葉に厚みと幅があるので、フローラルフォームを使用する場合は、間違った場所に挿してしまうとフォームのダメージが大きく、その場所には留まらなくなるので 注意を。この作品ではシックな色目の花と合わせていますが、黄色、オレンジ、赤などの花とも相性の良い葉物です。
花材/サンセベリア、ダリア、ミント、ルリタマアザミ、シースター
バショウは、葉が青々としている時は南国のイメージが強く、季節的には夏の雰囲気になってしまいがちですが、この作品のようにドライにすると、秋から冬の印象となります。葉は枯れていくにつれて鮮やかなグリーンから黄色に変わり、丸まりながら色褪せ、味わい深い茶色になります。黄色の時もとても鮮やかな色が出ますが、ほんの数日に限られるので、調整は少々むずかしいかもしれません。きれいな黄色にするには、水に浸けたまま枯らしていかなければならず、かなり時間がかかります。植物は、時間経過によってさまざまな顔を見せてくれます。その出会いは一期一会。一瞬の美しさを最大限に活かすために、日頃から植物を観察することも大切です。
花材/バショウ(ドライ)、ヒマワリ、ウンリュウヤナギ、アーティチョーク
広い面を持つハラン。ここで使ったアサヒハランのほか、シマハランなどもそうですが、広い面を正面に向けてアレンジすると重い印象になってしまいます。この作品では、アサヒハランを割いて先端を曲げたり、くるりと巻いたりして動きを出し、軽さのある表情豊かなデザインに仕上げました。ハランの特徴は、右葉(右に傾いている形)と左葉(左に傾いている形)があることです。この葉の傾きを無視すると、アレンジの力の方向性もまとまりのないものになってしまうので、気をつけましょう。
花材/アサヒハラン、ハスの実、ケイトウ、リューカデンドロン
arrangement Shinichi Nagatsuka
photo (C) Seibundo-Shinkosha
種類も豊富になり、フラワーアレンジや花束になくてはならない素材が「葉物」です。花をひきたてるだけでなく、それ自体の美しさを生かしたワンランク上のフラワーアレンジメントにするためのアイデアやテクニックを紹介。水揚げや管理法、葉物図鑑も収録。葉物を使いこなすための知恵がぎっしりの1冊です。誠文堂新光社刊
フローリスト編集部