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幼虫の時期と成虫の時期で駆除方法が違うため、予防がしづらいカイガラムシ。
こまめな手入れを必要としない観葉植物にとってはなかなか厄介な相手です。
生息範囲も広く、被子植物ならなんにでも寄生します。
薬剤が利きやすい幼虫期になんとかしたい相手です。
カイガラムシは昆虫の一種で、体長は2mmから10mmほど。
日本国内でさえ400種以上確認されている上、植物が生えていればどこにでもいる害虫です。
葉や茎にくちばしを挿し、樹液を吸って成長します。
幼虫の間は農薬や殺虫剤が高い効果をあげますが、余分な栄養や排泄物が蓄積され、成虫になる頃には体を覆う固い殻ができています。
こうなると薬剤が効きづらくなり、こすって落とす以外の除去方法がなくなります。
直接的な被害と間接的な被害があって、どちらも軽いものではありません。
直接的な被害はメスの成虫が樹液を吸うことで、寄生された植物の育成が妨げられること、新しい葉や枝の成長が悪化することです。
最悪の場合は枝枯れ、衰弱、全体が枯れてしまうことまであります。
間接的な被害だと、カイガラムシの排泄物に引き寄せられ、別の害虫や菌が寄ってきてしまいます。
特に「すす病菌」が寄ってくることが問題で、葉の表面に灰色から黒の模様が現れる「すす病」。
これに感染する原因のほとんどがカイガラムシです。
ハダニなどと違って葉水で防ぐことができませんから、殻が作られる成虫になる前に殺虫剤を使うのが効果的です。
成虫になった後も駆除する方法はあって、ブラシなどでこすって落とすことができます。
過湿の環境を好むので、風通しのいい場所で育てれば、多少マシになるかもしれません。
観葉植物にとっては紛うことなく害虫ですが、人にとってはただ害虫というだけでもありません。
蝋やワックスの材料としてかなり昔から使われていますし、現在でもネイルアートの材料になったりしています。
最も有名なのは染料としての利用で、えんじ色の染料としては南米古代文明の時代にまで遡って使われていました。
実は食品関係に使われていることもあって、害虫の二文字で切って捨てるには、ちょっと難しい所がありますね。
※トップ画像はPhoto by BoBoさん@GreenSnap
徳原鉄二