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so.ra
🌷チューリップ物語🌷その14 強い風の吹いた次の日から、雨が降り続いた。固い土のあちこちに小さな水溜まりができて、寒さに凍りつき、溶けて水に戻り、そんな繰り返しをしながら、少しずつ木々の芽が膨らんだ。 やがて小さなふきのとうが芽生え、つくしが顔をだし、少しずつ緑が賑やかになる頃、小さなチューリップが芽を出した。 それは小さな芽だったけれどそれでも、太陽の光を浴びて嬉しそうにキラキラと朝露を宿らせて、誇らしげだった。 そこはたくさんの野菜たちの畑。冬の寒さに溶けて崩れた大根や白菜が花を咲かせていた。チューリップは、そんな風景を見ながら、たった一枚伸ばした葉に春の光を浴びて、生きている喜びを噛み締めていた。 そんなある日畑の持ち主がやって来て、畑に残った作物を引き抜いて、新しい苗を植えていった。そして、チューリップを見つけると、大きな声で丘の上に向かって呼び掛けた。 『お~い!来てごらん!ここにもチューリップが生きてたぞ!』『えー!本当に♪』それは小さな男の子の声だった。 丘の上から小さな男の子が、小さなバケツを下げてかけ降りてきた。 『お父さん、きっとあのときのチューリップだよ!すごいね、ここにも生きてたんだ。』 『そうだね。2つも、生きてたなんて奇跡だね。』 『ねぇ、お父さん。これも、僕がもらっていい?大事に育てるから。花を咲かせて病気のおばあちゃんに持っていってあげるんだ』 『いいとも』お父さんは、男の子の頭を撫でて言った。 『これは小さな球根だから、今年はきっと花が咲かないよ。来年まで大事に育てられるかい?』男の子がコクリと頷くと、お父さんはチューリップをそっと掘り出して、男の子のバケツに移した。 そして、そこにいたのは!あのお爺ちゃん球根だった。 『ボウズ、懐かしいの。お前も無事に生き延びたわけだ!よくやったな』 『お爺ちゃん!お爺ちゃんなの!』小さな球根は嬉しくて泣きながら尋ねた。 『どうして、どうやってあの溝から生き延びたの?』 『わしも、もうだめかと覚悟しておったんじゃが、わしが落ちた所は、幸いにたくさんの枝や落ち葉が山になっていたところだったんじゃ。お陰で水に溺れずに過ごせたわしは、春になって芽を伸ばすことができたんじゃ。』 小さなチューリップは固唾をのんで聞いていた。 『そしたら、さっきのお父さんがあの溝の掃除にやって来て、わしを見つけたんじゃよ。 まさか、ここでお前さんに会うとはの。』お祖父ちゃん球根も目に涙を浮かべて話すのだった。 『ママ、奇跡だよ!すごいビッグニュースだよ!』 家に帰ると、男の子はお母さんに2つのチューリップを見せた。 『まぁ、なんて素敵な偶然なの。ママも今日、小さなチューリップを一輪見つけたのよ』 それは、ピンクの可愛いチューリップだった。 『それじゃあ、3つを一つの鉢に植えましょうか。どんな花が咲くか楽しみね』 それからの日々、3つのチューリップは、それぞれの冒険や出会いの話をしながら、一つの鉢で仲良く過ごした。 ピンクのチューリップは、小さなチューリップ球根の冒険を聞くのが好きで、何度も話をおねだりした。そうやって試練を乗り越えたチューリップを頼もしく思うのだった。 続く
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🌷チューリップ物語🌷その13 晴れた日が続いて、今ではチューリップの体を隠していた落ち葉も、どこかへ飛んでいってしまい、冷たい風と太陽の光に小さなチューリップの球根はカラカラに乾いてしわしわと小さくなっていくのだった。 自分はこのまま枯れてしまうかも知れない、そんな不安が胸を重くする時もあったが、今のチューリップの球根は、ただあの木の根もとの穴に飛んでいくことだけ。その自分の姿を何度も何度も心に描いて、『次の風か来たら、きっと飛んでやる!』そう思って空を見上げるのだった。 暖かな日差しの日が続いて土手に生えていた柳が芽吹いた。その芽に小さな銀色の頭が顔を出した朝、突然その風がやって来た。 ゴーと唸るような音と一緒に、たくさんの枝がパチパチと飛んできた。畑の土は舞い上がって、あたりは茶色の靄がかかったようだった。 「よし!今だ!」チューリップの球根は、体を起こして風に乗った。飛んで、落ちて、弾んで、転げて、、たくさんの落ち葉と一緒に飛ばされていった。ところが、穴まであと一息のところで止まってしまった。 そして風はだんだん弱くなってくる。 もうこれまでか、そう思ったとき、一枚の大きなプラタナスの葉が飛んできて、チューリップの足元に刺さるように止まった。 『君はどこをめざしてるんだい』落ち葉が尋ねた 『あの穴だよ。あの穴まで、何がなんでも飛んでいきたいんだ!』 『それなら、今度大きな風が吹いたら、君をのせて飛んでいこう!!いいかい、君も空を飛ぶ翼が生えた気持ちで心をあわせるんだ』 チューリップは大きく頷くと、空と行く手を交互に睨んで次の風が吹くときを待った。 その時、再び地響きのような強い音がして風がやって来た。それはさっきより一層強い風だった。チューリップの球根はプラタナスの葉に乗るように舞い上がり、あっという間に穴に転がり込んだ。チューリップが落ちると、落ち葉はまた勢いよく飛んでいった。 冒険は成功した。 チューリップは深いため息をついた。 そこは深くて暖かく気持ちのいい場所だった。 小さなチューリップが穴に落ち着くと、その上から何枚かもの落ち葉も落ちてきた。 『おめでとう!上手くいったわね』それは、懐かしい菊の葉の声 『いった通りだったな。この冒険をやりとげたのはお前さんの力だ!良かったなボウズ!』 カラスに穴を開けられてボロボロになった蔦の葉もそこにいた。 そして、菊の葉っぱが言った。 『あなたは知らないでしょうけど、実は蔦さんが、あなたが立ち往生をしたら、あなたを乗せて運んでねってプラタナスの葉っぱに何度も何度もお願いしてくれたのよ。あれから私達は、カラカラに乾いていくあなたをずっと見ていたわ。それでもあなたはいつも希望を捨てなかったから、応援したくなったのよ。私達は冬の寒さからあなたを守るわ。そして朽ちたらあなたの肥料になってあなたの芽吹きを応援するわ』 その言葉を聞いて、チューリップはまた嬉しくてポロポロ涙をこぼした。 『ありがとうみんな!僕、今とっても暖かい。一人だと思ってたときも、僕を見守ってくれてて、、本当にありがとう。 僕、きっと春に芽吹いて花を咲かせるよ。今年が無理なら、来年きっと花を咲かせるからね』 菊の落ち葉も蔦の葉も、カサリと音をさせてチューリップを優しく覆った。 その日吹き続けた風は、小さなチューリップの球根と落ち葉の上を通り過ぎたくさんの土をかけていった。 続く 🌸東京 晴れ 10℃ 物語を読んで下さって有り難うございます。次が最終話です😊❤️ 今日もいい日に💕
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🌷チューリップ物語🌷その12 その夜降り続いた雨は、やがて雪になって野山を真っ白に埋め尽くした。 降り続いた雪にすっぽり覆われた大地は静かに息を潜めて、小川を流れる水も凍りついた。 そんな日が幾日も続いた後に、太陽がさして再び畑の土が顔をだした。 体の上に舞い落ちた落ち葉に守られて、小さなチューリップの球根はまだ生きていた。 けれど、体の半分は凍てついて腐ってしまい、雪を溶かした太陽に体がカラカラに乾いていくのを感じるのだった。 「あぁ、こんなことじゃ、もう花なんて咲かせられない。ここでこのまま終わりだ。」 しわしわに乾いていく体を見ながら、小さなチューリップは涙をこぼした。 「あらあら、相変わらず泣き虫ね。泣いたって何も変わらないのに。」 そこには、見慣れない黄色い花が咲いていた。 「はじめまして。この色どう?少し太陽みたいで元気が出るって思わない?」その花は明るく笑いながら、ゆらゆらと揺れた。 「蝶も蜂もまだ来ないことはわかってるわ。だけど、私は自分の意思で咲きたいから咲くのよ。そうして自分を元気にするの。泣き虫さん、あなたはどうやって自分の心を元気にするの?」 花に訪ねられて、小さなチューリップの球根は、元気なく答えた。 「元気になるのは。。そんな気持ちは何かがあってもらうのものって思ってたから、自分を元気にする方法なんて考えたこともないや。僕はしなびて、絶望のどん底なのに、そんな気持ちになれると思うの?」 「そんな他人まかせじゃ、自分が可愛そうね。」 「だって、僕はご覧の通り、凍って体の半分がダメになって、、、こんなんじゃ、もう花も咲かせられないし、終わりだよ💧」 「あらあら、残念ね。あなたが終わりだと思うなら、もう終わりね。せっかく蔦がカラスにつつかれながら、あなたに教えてくれたのにみんな台無しね」 「あなたは何も知らないんだ。僕の悲しみなんか」 「そうよ。知らないわ。でも、一つ知ってることがあるわ。 凍てついて腐る前のあなたは重たくて、とても風にのって転がることなんか出来なかったでしょうけど、今はカラカラに乾いて、きっと転がっていけるんじゃない」 花の言葉を聞いて、小さなチューリップの球根は、はっとした 「本当だ!僕は転がっていける! 何度も考えたんだ。体の重い球根でどうやってあそこまで行けるかって。蔦は僕をからかって楽しんでたんじゃないかって」 そして、しばらく考えて続けた 「少しでも疑って、蔦に悪いことをしちゃったな。カラスにあんな風にされて、僕に教えてくれたのに。僕は自分のことしか考えてなかったし。新しい考え方をしようなんて思いもしなくて、他の方法があるかもしれないなんて、考えてなかったんだ。。そうか!もしかしたら、蔦さんは、僕が凍てついて体が半分とけて、軽くなることまで計算の上で僕に話をしたのかな。あぁ、それなのに、僕は何て情けない。」 「自分をそんなに責めなくてもいいわ。あいつは気持ちはいいんだけど、口が悪くてね。 あなたもいろいろと頑張ったわ。自分にもっと自信を持ちなさい。 もうすぐ、今年最後の嵐が来るわ。穴に向かって飛んでいく最後のチャンスよ。力を蓄えて頑張ってね!」 小さなチューリップの球根は、目を閉じてこれまでの自分に起きたことを振りかえった。 そしてくすりと笑った。 『そうだ、まんざらでもないや』そして、笑った自分に気がついて、笑えたことが嬉しいと心にも笑顔が広がるようだった。 「あなたに会えてよかった。こんな体になったけど、結局僕は一番いい道を歩いていたみたいだ。あなたのお陰でそのことに気づいたよ。 今度嵐が来たら僕は風にのっていく。あなたのように、いつか僕もじぶんの花を楽しめる生き方をめざすよ。ありがとう」 「あなたの冒険を応援してるわ。蝶や蜜蜂からあなたの花の話を聞くのを楽しみにしてるわよ」 小さなチューリップの球根は、目を閉じて、なんども何度も風に乗る自分の姿を思い浮かべながら時を待った。 続く
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🌷チューリップ物語🌷その11 声のした方を振り向くと、それは真っ赤に色づいた蔦の葉だった。 「お前のことなんざ、どうでも良いんだが。まぁ、ちよっとした気まぐれに警告してやろうと思ってな」 「警告ってなぁに」 ドキドキしながらチューリップの球根が聞いた。 「お前さんは花たちを見ているが、今のお前は花も咲いちゃいないし、葉っぱも出てないただの球根だ。花を咲かせてるやつらとはそもそも違うってことさ。 この寒さに根っこを伸ばせだの、芽を出せだの。土の上に転がってるだけのお前さんがそんなことをしたら、凍りついて何もかも終わりさ。それを待ってるやつがいることも知らずに、お人好しなことさ。」 「うるさいねぇ。まるで私が悪者みたいじゃないか。この、何もわからない坊やに、イロイロ教えてあげて何が悪いのさ。蔦のあんたに花の何がわかるって言うんだい。花も咲けないくせに、偉そうに!あんたなんか黙って木に張りついてりゃいいのさ。」 さっきとはうって変わって、乱暴な口ぶりでヒメツルソバが話すのを、小さなチューリップの球根は驚いて聞いていた。 「こっちは高いところからみんな見てきたんだ。そうとも、お前さんがやってきたことも。お前の考えることなんざ、とっくにお見通しだよ。 ぼうず、いいか、こいつはお前がこんなところに転がってきて迷惑なんだよ。あれこれと悪知恵を働かせて、やっと陽当たりのいい場所に繁ることができたのにって思ってるんだ」 「どうして?僕ここに転がって来ちゃったけど、何も悪いことをしてないよ」 「お前にその気がなくても、こいつにはお前が邪魔なんだよ。お前が葉を繁らせたら、こいつは影になっちまう。こんな狭い畑でみんなが自分のいい場所を取られないように必死って訳だ。お前に考える頭があるなら、ちょっとぐらい想像したら、誰が得するか誰が損するか、俺様の言ってる意味がわかるだろうよ」 小さなチューリップの球根は、せっかく仲良くなったと思った花に、自分がほんとは邪魔にされてたかもしれないと知って、涙がポロポロとこぼれたのだった。 「やんなっちゃうな。少しぐらい根性があるかと思って話してやったのに、泣いて終わりかよ。ぼうず、悔しいとか、腹立つとか、思わんか。ちゃんと腹が立つときは、腹をたてるこった!怒りってのはな、時にどん底から抜け出る力になるんだ」 「泣いたりしてごめんなさい。。僕、怒ることも上手くできなくて。。どうかお願いです。僕がどうしたらいいか、知ってたら教えて」 小さなチューリップの球根は慌てて涙をぬぐうと、蔦に頼んだ。 「人に頼ってばかりのその根性を何とかせにゃあ、どこへいっても同じこった。まぁ、今度だけ特別に教えてやろう。 いいか、ちびのお前さんにゃ見えないだろうが、少し先のあの大きな木の手前の土に穴がある。あそこは少し前に大根が引っこ抜かれたあとさ。あそこに転がって行けたら、穴に落ちてお前もひょっとして芽を出せるかもしれん。泣き虫のチビスケ、お前にやる気があればだが」 小さなチューリップの球根にはその場所は見えなかったが、大きな木は見えた。そして、一か八か、蔦の言うことを信じてみようと思った。そして、恐る恐る蔦に聞いた。 「どうやって、その場所にいったらいいの。お願いです、教えてください」 「いいか、おそらくもう一度ぐらい強い風の吹く日がある。このあいだお前さんが転がってきた日のように、土ぼこりが舞い上がるのが目印だ。その日が来たら、とにかく転がっていくんだ。それだけだよ」 その時、一羽のカラスが枝から舞い降りて、チューリップの球根を覆っている葉っぱをくちばしでつついた。葉っぱ越しに、カラスのくちばしがチューリップにあたって、チューリップはあちこちに傷ができ痛くて悲鳴をあげた。そして今度はカラスは枝に飛び上がり、蔦の葉をつつきだした。 「何様のつもりだい!調子に乗ってるんじゃないよ! チューリップなんざ、ここにおとなしく転がってりゃまたネズミが来て食べてくれるのさ。チビスケは身のほど知らずなことを考えず、ここでおとなしく諦めりゃあいいのさ!」 さっきまで話をしていた蔦の葉は見る影もなくボロボロになって、茎だけになってしまった。 カラスはその蔦の葉を見るとニヤリと笑い、カァー!!とひと鳴きして空に飛び去っていった。 もう誰も口を開こうとせず、辺りはしんと静まり返った。 やがて空にむくむくと黒い雲が立ち込め、ポツリポツリと雨が降り始めた。 続く
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🌷チューリップ物語🌷その10 そこには、綿毛をつけたツワブキの花が咲いていた。 光に透けた綿毛がキラキラ光って、あちこちに銀色のあかりが灯っているようだった。 「綺麗だね。枯れてるけど真っ白な花が咲いて、気持ち良さそう。なんだか暖かそうだなぁ」 しばらく眺めて、小さなチューリップ球根がつぶやいた。 「枯れてもとっても綺麗よね。悲しいけど花は枯れないように頑張っても、いつかは枯れていくのよ。美しい花を咲かせることは大事だけど、それだけじゃないのよ。どんな花も自分だけの時間をもらって咲いてるんだもの。その時間を生きなかったらもったいないって思わない。だから、知恵を使って、春に備えて根っこを伸ばして、芽を出して花をつける準備をするのよ。あなたも根っこを伸ばして準備をしなくちゃね」 話を聞いてしばらく考えてから、小さなチューリップ球根がたずねた。 「自分だけの時間かぁ。 あなたはちゃんとたくさん花をつけてるけど、僕はたぶん一つきりの花。ほんとは、僕はまだ葉っぱをちゃんと出せるかもわからなくて、花になる前に枯れちゃったらどうなるのかなぁって、とても心配なんだ。」 『ワッハッハ。 そりゃあそうともさ。 このチビスケに難しい話をしたってわからんさ。 そもそも、お前さんとその花は違うからな』 その時、元気な声が二人の話に割り込んできた。 びっくりして声の方を振り向くと、そこには。。 続く 🌸東京 晴れ 3℃ 今日もいい日に💕
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🌷チューリップ物語🌷その9 「あなたは良いわねぇ。まだこれから咲けるのだもの。 私は終わっていくわ。種をつけることもできずに、ただ醜くなって枯れていくのよ。あったものがなくなっていく悲しみ。。あなたにはわからないでしょうね。」 声の方を見ると、大輪のパンジーが咲いていた。花が終わり枯れかけているけれど、さぞかし美しかったろうと思わせる花だった。 さめざめと泣く花に、かける言葉もなくて、黙っている小さなチューリップ球根に、近くに咲くヒメツルソバが、小さな声でささやいた。 「あの花はとっても綺麗な花だったわ。そして 私たちを見て、醜い雑草に生まれて残念ねって、言われたりもしたわ。本当に心からそう思っていたんでしょうね。さんざんバカにされたわ。毎日たくさんの蝶や蜜蜂が彼女のもとを訪れて、綺麗な花だって誉めるから、毎日有頂天になってたのよ。きっと幸せだなって思うときもあったと思うけど、今は一人ぼっちで寂しいんでしょうね。あったものが少しずつなくなっていくって、寂しいもの。彼女の気持ちもわかるわ。 花はみんな咲いて枯れていくわ。花の時だけが美しくて価値があるんじゃないって、私は思うわ。ほら、あそこに咲いているツワブキの花を見てごらんなさい。」 小さなチューリップの球根が言われた方を見てみると、岩影にツワブキの花があった。 続く 🌸 東京 雨 5℃ 雨が降って、しっとりと暖かい朝です。 今日は👹節分。いよいよ春ですね❣️ 心のなかもさっぱりと、鬼を追い出したいですね😊
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🌷チューリップ物語🌷その8 小さなチューリップの球根が目を覚ますと、辺りの風景はすっかり変わっていた。 優しく話しかけてくれたピンクの花は、枯れかけて少しの花が残るだけになっていた。 また、一人ぼっちになってしまう心細さに、心がしぼんでいくような気持ちになった。 そして、元気なく花に話しかけた。 「ねぇ、僕が寝ちゃってから何日たったの?あなたは、あんなに素敵だったのに、どうしてそんなに枯れちゃったの?もう少しで。。枯れてなくなってしまうの?」 「よく眠れたようね。それにしては元気がないようだけど、大丈夫? 何日も太陽かでて太陽が沈んで、あなたは長いこと寝ていたのよ。あのあと、この辺りもたくさん雪が降ったの。寒さに弱い花たちはみんな枯れてしまったわ。私も、ご覧の通り、もうじき枯れて終わりになるわ。でも、私は根っこで生き残るのよ。そして、また春が来たら芽を出してきっと花を咲かせるわ。」 「そうかぁ、もうすぐ枯れてしまうのか。もう、話すことができなくなっちゃうんだね。また、お別れ。。なんだか、胸の奥が痛い。 あなたは、枯れてしまうのが悲しくないの?みんなとのお別れが寂しくないの?」 「生きるって喜びだけじゃいられないのよ。」 花は優しく小さなチューリップの球根を見つめながら、言葉を噛み締めるように、ゆっくりと話すのだった。 「苦しみのとき、悲しみのときに、自分の心の居場所をどこにおくか、そして自分のなかに何を育てるか、それが幸せを決めていくのかもしれないわね。 苦しいときに苦しみに首まですっぽり浸かってしまうのは簡単だけと、それはみずびたしのなかで溺れてしまう種のような生き方なのよ。 何かを恨んだり、悔しさや悲しみに心が一杯になってるときは、火の中で心が焼けてしまうように、それは苦しみの毎日に焼かれていつまでも傷を直すことはできないの。 私もそんな苦しい時間を過ごしたことがあるわ。だから、あなたには、違う生き方をって思うのよ。」 「それはどんな生き方なの?」 「苦しくて、辛くて、なにもかも嫌になってしまう時、本当に辛いわ。 心に幸せを浮かべることすらできないと思うときこそ、春を思うのよ。 春があるってとってもすごいことよ。いつも春になるたび、これは奇跡なんだって思うわ。 当たり前なんかじゃないのよ。 そして、ぽわんと春を夢見てるだけじゃダメなのよ。 ここにいる花たちは、見えないでしょうけど、土の中で根っこを伸ばしたり、春に咲く芽を作ったり、それは、みんな一生懸命よ。成功するか失敗するかなんて関係ないの。 怖がることはないけど、あなたもちゃんと根っこを伸ばして、春の準備をするのよ」 小さなチューリップの球根は。まだ根っこも伸ばしてない、小さな自分の体を見た。 「そうかぁ、まずは根っこを伸ばさなくちゃね。ありがとう。きっと春に咲けるように、頑張るよ!」 チューリップの上を小さな落ち葉が、土の感触を楽しんでいるように、カラカラと転がっていった。 続く 🌸 いつも、拙い投稿を読んでくださる皆様、いいね👍に励まされてます。ありがとうございます❤️ 寒いので、暖かくしてお休みくださいね🎵 今夜も素敵な夢を💕
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so.ra
🌷チューリップ物語🌷その7 「もう大丈夫?」 声の方を振り向くと、優しく花が笑っていた。 太陽がすっかり空に登って、昨日の嵐が嘘のように、あたりはぽかぽかと暖かだった。 小さな球根の上には、昨日の風で飛んできたたくさんの落ち葉が布団のように積もって、ぬくぬくと暖かくて、今までのことはみんな悪い夢なんじゃないかと思うほどだった。 小さなチューリップは、優しく声をかけてくれた花に、今までの出来事や、昨日の冒険や、それからお爺ちゃん球根の話をしたのだった。お爺ちゃん球根の話をしながら、ポタポタとまた溢れてきた涙をぬぐいながら、転がってきた土手の上を見上げた。 「途中で臆病風に吹かれて、あそこで振り返ったりしなかったら。。まっすぐに突き進め!って言われたのに。💧」 静かに長い時間耳を傾けていた花が、そっと口を開いた。 「絶対に正しい道なんてないと思うわ。どんなに強く決心していても、迷うことは誰にでもあるもの。」 「でもね、たぶん、命をかけた一か八かの勝負のときは、自分を信じてまっすぐに進むことがとっても大事なんだって思うの。 もしかしたら、その優しいお爺ちゃん球根さんは、あなたが迷うことすらもお見通しだったかもしるないわね。そうでなければ、あなたが止まりそうなぴったりのタイミングで、あなたにぷつかることなんてできないものね。 あなたが迷わなくても、小さくて軽いあなたが、ここまで転がってくることはできないわ。風向きもあなたの力も知った上で、お爺ちゃんが考えたことなのかなって思うわよ。 私は会ったこともないけど、きっと色々とご苦労なさった方なのかなぁ。素敵な方に出会えて、あなたはとても幸せね。」 小さな球根は花に言われるまで、自分が失敗するかもしれないことも計算の上で、お爺ちゃん球根が自分のために考えてくれていたなんて、思いもしないことだった。 「そんなこと、思いもしなかったよ。失敗しそうな所をみて助けてくれたんだとばかり思ってた。もしかしたら、嵐の日に坂を転がる話を聞かせてくれたときからその先のこともわかっていて、自分はどうしようかって考えてくれていたのかな。。そこまでの、気持ち。。色々不安で一杯で、怖くて、自分のことばかりしか考えてなかったから自分が情けないよ。お爺ちゃんだって、怖かったり不安だったりしたはずだよね。それなのに甘えるばかりで、人の想いなんて言われるまで考える余裕もなくて。。それでも、こんな自分を助けてくれたんだね。」 「大丈夫よ。そうやって誰もが少しずつみんなの愛をもらって世界が広がっていくの。大切なのは、その今日の思いを忘れないことよ。 さぁ、そんな命を託されたんだから、いつまでもメソメソして、命のパワーをおとしちゃダメよ。疲れたでしょうから、また少しお休みなさい。ここで見ていてあげるから、大丈夫よ。」 小さなチューリップの球根は土手の方をあおぐと、微笑んで頷いた。 落ち葉の布団は暖かくて、安心して深い眠りについたのだった。 続く 🌸東京 晴れ 10℃ 今日も良い日に💕
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🌷チューリップ物語🌷その6 大冒険の日がついにやって来た。 風がびょーびょーと枝をならし、小さな枝や土ぼこりが舞い上がった。高い枝に絡んで残っていたカラスウリの実は、蔓ごとちぎれて飛ばされていった。 「空の雲が真っ暗で、ぐんぐん飛んでいくよ。ビュービューって音がして耳がいたいよ。お爺ちゃん、今日がチャンスの日なの?」 「そうじゃ、まもなくじゃぞ。覚悟はできたか。 あそこに落ちてる松ぼっくりが転がり始めたら合図じゃ。よいか、備えるのじゃ。わしが声をかけたら思いっきり転がるんじゃ。一瞬でも迷ってはならんぞ!」 小さなチューリップは、ドキドキしながら、空を眺め、これから転がっていくその先をぎゅっと睨んで、待った。 その時、ゴーっと言う音がして、今までにない突風がやって来た。 「今じゃー!飛んでいけー!!」 お爺ちゃんが叫んだ。 小さなチューリップは思いっきり地面をけった! 坂をどんどん転がってよし!いいぞ!と思った時、行く先に溝が見えてきた。 不意にドキン!と胸がなって、急に怖さが襲ってきたチューリップは、思わず後ろを振り返ってしまった。 するとそれまでの勢いが落ちて、目の前に溝が迫ってきた。 「あぁ、もうためだ!!落ちる!」目を閉じて諦めようと力を緩めたその時だった。 何かが体に思いっきりぶつかった。 ドシン!! その勢いで溝をポーンと飛び越えて、無事に柔らかな畑の土の上に落ちたのだった。 何が起こったかわからずに、まだドキドキしてる小さなチューリップの耳に、風にのってかき消されるような、優しいおじいちゃんの声が聞こえてきた。 「言ったじゃろう。やろうと決めたらぐずぐず迷ってはだめじゃ。一瞬の迷いが全てを決めるんじゃ。忘れてはいかんぞ。 お前さんが無事に畑にたどり着けて、わしはほんとに嬉しい。こんなわしでもお前さんの役にたったからな。お前さんの花を見事に咲かせられる日を祈っとるぞ。さらばじゃ、達者で暮らせよ」 そして、お爺ちゃんの声は聞こえなくなった。 振り返ってしまい、止まりそうな小さなチューリップに、お爺ちゃんが一か八かで体当たりして先に飛ばしてくれたのだった。その弾みで、お爺ちゃんは溝に落ちてしまったのだ。 「お爺ちゃーん、お爺ちゃーん!お別れは嫌だ。死なないでー!」 その夜吹き続けた強い風の音に混じって、小さなチューリップの叫びとも鳴き声ともつかない声が、一晩中聞こえたのだった。 続く
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🌷チューリップ物語🌷その5 「じゃがな。その坂の途中に小さい溝があるんじゃよ。狭いところじゃが、深くていつも水がたまっておる。わしは、風に煽られるようにして、溝の上を一気に飛んでいけたが、そこに落ちたら2度と出てはこれんから、転がって落ちるときは一気に落ちていかなければならんのじゃ。一時の迷いが命取りなんじゃ。何事も、やると決めたら思いきりが肝心じゃ」 小さな球根は、お爺ちゃん球根の冒険を、ドキドキしながら聞いていた。 「ねえ、お爺ちゃんは、そこ冒険をやりとげて花を咲かせたの ?凄いなぁ。そんな凄いことを考えつくだけでもすごいのに、ちゃんと根っこを着けて花を咲かせるなんて。ねえ、お爺ちゃんはどんな花を咲かせたの」 「わしは紫色のチューリップじゃ。珍しい色なんで、こんなにしわしわの球根でも、また植えようと選んでくれたようじゃ」 「すごいや!格好いいね! 見てみたいなぁ。僕は、まだ一度も花を咲かせたことがないから、自分がどんな花になるか知らないんだ。このまま終わるなんて嫌だよ!ねえ、どうしたら、そのすごい風が吹いてくる日がわかるの」 「空に黒雲が沸いて、見上げれば雲が飛ぶように速い。その日は、いつもは賑やかな鳥らも、どこかに身を潜めてじっとしておる。少しするとそこらの落ち葉が飛び始めるんじゃ。ごーごー風が唸って何だか心が落ち着かぬ感じがするんじゃ。ことによったら雨も降るかもしれんのう。わしらの冒険には晴れた日が良いがの。」 「すごい日だね。そんな日、今まであったことはないや。その日が来たら、きっとあの坂を転がって見せるよ!でも、やっぱり心配だ、こんなちびの僕にもできるかなぁ」 「できるとも。ここでまごまごしていたら、いずれ鳥につつかれるか、腐って終わりじゃ。お主は花を咲かせたいとは思わんか。頃合いも同じ時期じゃ。もうじき強い風が吹いてくるぞ。」 お爺ちゃん球根の話を聞いてから、坂をボーンと飛び越えて花を咲かせる夢を見ては、微笑んでいる小さなチューリップ。そんな姿を、草はらに咲く花たちは優しく見まもっていたのでした。 続く
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🌷チューリップ物語🌷その4 周りを見てみると、そこは畑のわきにある小さな草原だった。 剪定された枝や、刈り取られた草、野菜くずなどが、あちこちに山とつまれていた。 「やれやれ、また振り出しにもどってしまったのう」 懐かしい声に振り向くと、物置の箱のなかで優しく声をかけてくれた、しわしわ球根のお爺ちゃんだった。 「知ってるともさ。わしは一度ここに捨てられたんじゃ。だがな、奇跡的幸運に恵まれて、また花壇に運ばれて花を咲かさせておったんじゃよ」 「本当?どうやったの!教えて!」 小さな球根は、目をキラキラ輝かせて聞いた。 「ごらん。その草の繁った先に空が見えるじゃろう。あの先は坂になっておるんじゃよ。そこを無事に転がり落ちることができれば、ふかふかの肥えた畑があるんじゃ。太陽が降り注いでそれは気持ちのいいところじゃ。」 「すごいや!そこへ行くにはどうしたらいいの?」 「春先のこの季節だけ、強い風が吹く日があるんじゃ。わしはその風の日に、一か八かの勝負に出たんじゃ。風に乗って転がって、落ちていったんじゃよ。 じゃがな。。」 続く 🌸東京 晴れ 3℃ 今日もいい日に💕
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🌷チューリップ物語🌷その3 「お父さん!早く早くってば。 ほら、ぼくもうスコップ持ったから。」 小さな男の子に手を引かれて 眠そうにあくびをひとつして、 お父さんが歩いてくる。 「たまの休みくらいのんびり眠ろうと思ってたのに。お前は全く元気なもんだ」 「ぼくもう、計画たてたんだよ。昨日お母さんと書いたんだ。ほら、花壇の設計図!」 男の子はズボンのポケットから小さくたたんだ一枚の紙を取り出した。それは、色とりどりのチューリップを思わせるクレヨンの丸が並んで、空ではお日様が笑ってる、楽しげな虹色の花壇の絵だった。 「ね。綺麗でしょ!」 「ほう。なかなかうまく書けたじゃないか。こりゃあ、楽しみだな」 そんな会話を弾ませながら、父さんが物置の戸をガタガタと開いた。 真っ先に飛び込んだ男の子が、箱を覗きこむと、ガチャリとスコップを落とした音が響いた。そして、 ほんのすこしの間をおいて、大きな泣き声が響いた。 「誰かが!。誰かが!僕のチューリップを食べたんだ!バラバラだよ!もう、みんな、、。終わりだ!うえ~ん」そのあとは言葉にならず、欠片になったチューリップを握って泣きじゃくるのだった。 「あー!蓋をしなかったから、見事にやられちまったなあ。ネズミのやつだな!まったく油断も隙もない!」 とうさんは、泣きじゃくる坊やの背中から覗きこみながら、どうしたもんかと考えていた。 「二人ともごはんよー!」 その時、母さんの声が響いた。 「お母さんに話してくる!」涙でぐちゃぐちゃの顔のまま、男の子がかけていった。 父さんはしばらく木の箱を眺めていたが、箱を持ち上げると歩き出した。 「こんなになってしまって、ネズミを駆除しないといけないなぁ。さて、このかけらは畑のすみにでもあけておこう」 そういうと、家の裏の畑に向かっていった。草が繁っている道の脇に木箱を裏返してざーっと捨てると、空の箱を抱えて家のほうへと帰っていった。 まもなく太陽が出て、雀たちが賑やかにお喋りを始めた。 「あなた、大丈夫?」 そう声をかけてくれたのは、畑のすみに生えていた雑草だった。何がなんだかわからずに、震えていたチューリップの 小さな球根は「だ、い、、じょうぶ」そう答えるのがやっとだった。 「無理しなくていいわ。とりあえず、あなたはまだ大丈夫そうね。さぁ、目を開けて周りを見てごらんなさい」 そんなことばを聞いて、恐る恐る目を開けて、周りをぐるりと見渡した。 続く
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so.ra
🌷チューリップ物語🌷その2 辺りがしんと静まって みんなが眠りについた頃 突然やつらがやって来た 箱の中に入ってきて あっちの球根 こっちの球根と ガリガリと食べ始めた ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ あっちでもこっちでも 悲鳴と泣き叫ぶ声 嵐のような一夜が開けて 満腹のお腹を撫でて 長い尻尾をぱったりぱたんと まわすと のったりのったりと そいつらは帰っていった 箱のなかはそれは無惨に 食いちぎられた球根のかけら と、わずかに芯だけ残った球 根たち あっちこっちから 鳴き声と痛いよ~と 息もも絶え絶えの声がする 箱の片隅で小さな球根は 今も震えが止まらずに 何も考えられないほど ただぶるぶると震えて 青ざめて泣いていた もうひとつ生き延びたのは もう一方の片隅にいた 体の半分がしわしわで 生きてるのか枯れてるのか わからない おじいちゃんの球根だけ 「怖かったかのぉ。 もう、大丈夫じゃよ。 あいつらは帰っていったから」 小さな球根はビックリして 声のする方を見た おじちゃんの球根は優しい声で 続けた。 「みんな、いなくなってしまったのぉ。 あんな楽しそうに夢を話しておったのに。 お前さんは、小さずぎて花も咲くまいと馬鹿にされ、わしはこのからだ半分がしわしわにしわがれて、じじい、じじいと笑われておったからのぉ。 人に劣っているように見えることも、助けになることもあるんしゃよ。 世の中は、ちゃあんとバランスよくできているんじゃな。だかな、それは、あとになってわかる話。お前さんも悔しく思っておったろう。」 おじいちゃん球根は、優しく続けた。 「口をきけぬほどか。そうじゃろうのぉ。怖い想いをしたのぉ。奴らは隠れ住んでいて、隙さえあらばやってくるんじゃ。 よいか、覚えておくんじゃよ。 どんなに辛いことがあろうと、 生き延びてこの世でやることが あるものは、お主とわしのように生かされていくんじゃよ。 そのやることが何かは、まだわからんがのぉ。 この世は夢のようなもんじゃ。 その夢が、たくさん集まって、明日を作っていくんじゃよ。だからの、絶望を心にいれてはいかんぞ。全く絶望と思ったときこそ、大きな希望を隠してるドアなんじゃと、わしもじいさまから聞かせられだがのぉ。さて、その真意は、どこにあるんしゃろうのぉ。」 そんな話をしているうちに、 白々と夜があけてきた。 続く 🌸 庭の沈丁花の蕾が、大きくなりました❤️
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so.ra
🌷チューリップ物語🌷その1 たくさんのチューリップの球根が木箱に入れて運ばれてきました ガラガラン ゴロゴロン 中では球根たちが おでこをぶつけながら、 賑やかなお喋り中 何処へ行くのかなぁ きっと広い花畑だよ 楽しみだなぁ 小さいのや 大きいの 太っちょも 痩せっぽっちも いろんな球根が混じって みんなお祭りのように 賑やかにはしゃいでいます。 僕は赤い花を咲かせるんだ。 太陽のように真っ赤なやつ。 私はピンクよ。優しい春の空にぴったりでしょう。 ふうん、僕は白がいいな。空の雲のように、眩しいほどの真っ白さ。 どうやら明日、花壇に植える手はずのようで、チューリップたちは、自分のなりたい色を、あれこれと話しながら、やがて咲く春の花壇を夢見て眠りについたのでした。 ところがその夜、。 (続く) 🌸 東京 晴れ 4℃ 今日の花 チューリップ 四月の撮影から お天気が嬉しいですね❤️ チューリップの花言葉と物語 三姉妹のチューリップが 好きな方の恋を 二人の姉妹に遠慮して 自分はチューリップになってしまったと言うお話。 でも、恋の相手がチューリップになってしまったら、 その恋をした 想いのかたも どれ程悲しかったろうって そんなことを思いました。 そんな悲しい物語のリベンジを、したいなって😁 物語を作ることにしました。 結末は、さてどうなるやら。 良かったら、読んで下さいね❤️ 今日もいい日に💕
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