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やまぶきの物語の一覧
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7
花音♪
57
ようこ
おはようございます(*^^*) やまぶき 咲きました💕 『七重八重 花は咲けども~』 ですね💕 行って来ます❗️😄
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so.ra
【やまぶきの物語】最終話 刈っても刈っても終わりが見えず、草の葉やシノ棒やらで手足が切れ、虫に刺されて体はあっちもこっちも痛いやら痒いやら。鎌を持つ手はまめが割れて皮がむけたが休まずに働くもんで、それは痛くって、夜になると娘は泣いてばかりおったんじゃ。鎌の使い方も知らずに育ったからの。 だかな、嫌で嫌でしかなかった草刈りじゃたが、野良に出て小鳥や花や木々も生きてとることに気づいていったんじゃよ。小さな虫たちも踏ん張って生きとることに気づいてな。そしての、小さな花を見つけて喜んだりするようになっていったんじゃ。 だいぶ時が経ったがなぁ、お日様にあたって緑の中にいるうちに、誰も一人ぼっちじゃないことに気がついていったんじゃ。そうして、だんだんに仕事も楽しくなっていったそうな。 一日の山仕事、畑仕事が終わると、娘は村外れのお堂にいって手を合わせるのが日課じゃった。 『おらぁ、いいも悪いも何にも知らなかったなぁ。いつの間にか、自分の事しか見えなくなってたんだ。許してくれろ。 狐の母さんにゃ、取り返しのつかないことをしちまった。痛かったべなぁ、辛かったべなぁ。 おらぁ、謝っても謝りきれねぇ。狐さんさぁ、たくさん子宝に恵まれるよう、神様狐さんを守ってくれろ。 神様、おらを可愛がってくれたばっさまは、今も元気でおられるかのう?。大切なばっさまに、最後の別れすら言えず、おらは心配かけて悲しませて、何も恩返しできなんだ。 だからよ、神様。 おらが山をさらうときは、ばっさまの体を洗うと思ってやるべぇ。田畑の畔の草を刈るときゃ、ばっさまの足を洗ってやると思ってやるべぇ。ばっさまを大切にするように、心を込めてさせていただくべぇ。 今は、どこにおいでか知らんけど、どうぞばっさまが達者で暮らしてくれるよう、神様守ってくれろ。』 いつも機嫌悪そうに下を向いて歩いてた娘は、5年経ち10年経つうちに、真っ黒に日焼けして頑丈な体になった。手も足もヒビ割れてガサガサになったけど、それは幸せそうににこにこと笑顔を見せるようになっていったそうじゃ。 そうしていつの間にか、娘の体からポロポロとキノコがとれていったが、娘はそんなことは気づかぬ風で、変わらずに、朝から晩まで草苅を続けたんじゃと。 それから、長い月日が経って、村の山も畦道も、それはそれは綺麗になった。 最初は娘を避けていた村人たちも、いつも黙々と仕事をしてくれる娘に、すれ違うと1人2人と頭を下げるようになっていったそうじゃ。 そうして、村では、誰からともなく、意地悪娘の事を白やまぶきさんと呼ぶようになったんだと。畦道を帰る娘の後ろを、子供らが草を運んで手伝うと、娘はみんなの頭を撫でて、めんこいのうと言うんだと。 聞こえるかのう、村の田んぼの畦道を娘と子供らが、手を繋いで歌っとるやまぶきの歌。その歌を聞いたなら、誰もがにっこりするそうな。 2人の不思議なやまぶきの娘がなくなったあと、村外れに小さなお堂ができたそうじゃ。 やまぶき様と呼ばれてな、黄色のやまぶきと、白のやまぶきを備えてみんなの幸せを祈るそうな。 (完) 🌱やまぶきの物語 これで終わりです。 やまぶきの花を見たときに、この小さな物語も、思い出してもらえたら嬉しいです。最後まで、見ていただき、有り難うございました❣️
83
so.ra
【やまぶきの物語】第8話 その夜、夢の中で娘は山の神様に会ったんじゃと。 神様よぅ、なんでこんなことになったのか、おらにはさっぱりわからねえ。ばっさまも帰ってこねえ。 おら一人で、どうしていいかわからねえ。神様、助けてくれろ。 夢の中じゃったが、娘がザンザン泣いて神様を呼ぶもんだから、ついに夢に神様が言ったそうな。 『 泣くでない。人に聞いてもわからぬものよ。お前の過ちは、お前が歩む道々で気づいていくしかないのだ。今までお前は目を閉じて歩いていたようなもの。目を開けば、見たくないものも見えようが、その倍以上の幸せも見えるのだ。辛かろうが、しっかり目を開いてこれからの道を歩く覚悟をするのだぞ。そして、これから言うことを、しっかり続けていくのだぞ。 今日からは、村中の山の下草や田畑の畦道の草を刈るのだ。困ってる人や村のみんなに尽くすのだ。 そうすれば、きっとお前の幸せが見つかろう。』 朝、目覚めると、娘の頭にはやっぱりキノコが生えていた。それどころか、おでこや顔にも生えていた。むしれば2つに増えるから、娘は泣く泣くほっかむりして、田畑へ出かけていったんじゃ。 娘の噂は、たちまち村中に広まった。娘が食べ物をわけてくれろと、戸に手を掛けるとその戸にキノコが生えた。 近寄らないでくれろ! 村人から避けられて、近寄れば石を投げられて、子供らからは化け物と囃し立てられた。 ちやほやされてそだった娘には、それは想像もしなかった毎日だった。はじめは泣き暮らしていた娘も、仕方なく神様の言う通り、山や田畑の畦道の草苅をするようになったのだった。 子供らに石を投げられないように、昼間は山の草を刈り、早朝や夕方に畦道の草を刈ったそうな。 (続く)
135
so.ra
【やまぶきの物語】第7話 氣絶していた母さん狐は目を開けると、立つことができずぐったりした子狐に気がついた。その晩は、けーんけーんと母狐のなく声が、山々を震わせるように響いたそうな。子供を助けたい一心で、母狐は我が子を3日3晩なめ続け、子狐はやっと動くことができるようになったんじゃと。 一方、意地悪娘は、そんなことも露知らず、いつになったら狐がお礼を持ってやって来るのかと、ニヤニヤしながら待っておった。しかしのぅ、そんなわけじゃから、待てど暮らせど一向に、狐が現れなんだ。娘は痺れを切らして怒り始めたんじゃ。 あの恩知らずの狐め! お礼にやっていてこいと、はっぱをかけにゃわかるまい! 娘はそういうと、鎌を持って、山道の草をばったとばったとなぎ倒し、いつかの洞穴のところまでやって来た。 やい!狐! 良く聞くがいい! あんたの子を産む助けをしてやった、その恩を忘れたか! 思い出したら、とっととやまぶきの花を持って礼にやってこい! そういうと、にんまり笑い。 娘は山道を帰っていったんじゃ。 さぁて、それから3晩が過ぎた夜明けに、意地悪娘の家の戸を叩く音がする。 ばっさまが不思議に思いながら戸を開けると、そこに白い狐がおったそうな。 ありゃこりやたまげた、白きつねさまでねぇか。 ばっさまが手をついてお辞儀をすると、白い狐は口にくわえた一輪の、真っ白なやまぶきの花を土に置くと、振り返りもせず山へと帰っていったんじゃ。 ばっさまは、狐のきんと張りつめた厳しい顔つきを不思議に思いながらも、白いやまぶきの花を神棚に飾ったそうな。 そして、娘を起こすと心当たりはないか?と訪ねたんじゃ。 娘は、ばっさまに問われて得意顔で、狐の洞穴を探しあて、子を生んでいる狐を助けた話をしたんじゃと。そして、あんまり礼が遅いので催促に行った話をしたそうな。 ばっさま、喜べ。 これはお礼のやまぶきの花じゃ。礼儀知らずの狐もやっと持ってきたか。これでおらも、あの娘以上の金持ちじゃ。 娘の話を聞いて、ばっさまは腰を抜かした。日頃わがまま放題じゃったが、娘の心の浅ましさに涙を流したんじゃと。 お前良くお聞き。 お前さんは、とんでもないことをしたんだよ。自分の欲で動物になんとむごいことを。母狐は無理やり子供を引きずり出されて氣を失うとは、なんぼか痛かったじゃろう。子狐とてなんぼか苦しかったろう、無事であればよいが。。 あぁ、その上、お前さんは、礼を持ってこいと催促に行ったのか。なんと罪の深いことじゃ。欲の深いことじゃ。このわしが間違っておったのじゃ。不憫に思うばっかりに甘やかして、お前の心の目を曇らせてしまったんじゃ。そういってばっさまは一晩中泣いておったが、翌朝になると姿が見えなくなっておったと。 意地悪娘は、ばっさまがなぜ泣いているかもわからずに、やまぶきの花を見てはにこにこしておったが、翌朝になってばっさまの姿が見えなくても、なぁにすぐに顔を出すべぇと、のんきに待っておったそうな。 さて、娘が顔を洗おうと顔を撫でると、頭にはキノコが生えていることに気がついた。 ありゃりゃ~! どうしたことだ!! 娘が驚いてキノコを折ると、今度は二本になった。あまりの出来事に、さすがの娘も青くなった。 さて、飯でも食おうと釜に米をいれると、米もみんなキノコになった。触るもんも、見るもんも、みんなキノコになっていくもんだから、ついには強気な娘も泣き出した。 神様、助けてくれろ。 わしは狐を助けただけじゃ。 なんでこんな罰を受けにゃならん?助けてくれろ。 そうして、ばっさまぁ~!ばっさまぁ~!と呼んだが、ばっさまの姿もとんと見えねぇ。娘は大泣きに泣いておったが、いつの間にか泣きつかれて眠ってしまった。 (続く)
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so.ra
【やまぶきの物語】第6話 山は物音一つせず、しんと静まり返っておった。時々バタバタと鳥が飛び立つ音がしては、またすぐに静かになった。 ふん!なにさ! あんな娘にいい思いさせて、私には何もないなんて不公平よ! 私だって、狸の手伝いくらい朝飯前よ! 娘は、鎌で山道の草をばったばったとなぎ払うと、ずんずんと山奥へと入っていった。 さて、狸の洞穴でも見つけようと、娘が周りを見回すと、大きな木の幹に隠れるように、小さな洞穴が見つかった。 しめしめと娘が中に入ってみると、そこには一匹の狐が丸まって、こちらを睨んでおった。 その狐も、どうやら子を産んでる最中で、娘には驚いたが、今はそれどころじゃないとばかりに、再びいきみ始めたんじゃ。 見つけたぞ! これじゃこれじゃ!! 手伝いすれば金の花 意地悪娘はそういうと、なんと狐が産みかかっていた子供を、無理矢理ひっ掴むと、乱暴に腹から引きずり出したんじゃと。 狐は可愛そうに痛さのあまりに泡を吹いて気絶してしまったんじゃ。引きずり出された子狐は、動くこともできなくなっておった。 なんとも可愛そうなことよ。そんなことすらわからずに、娘は大喜びでこう言った。 さぁさぁ、これで良し! おらぁ、手伝いしたんだ。 あとは狐が花をもって、お礼に来るのを待つばかりじゃ。 そういうと、もう用事はすんだとばかり、穴から外に這い出ると、一目散に家へと帰ったそうじゃ。 (続く)
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so.ra
【やまぶきの物語】第5話 ところがな、村にはそんな話を聞いていた、同じ年頃の意地悪娘がおったんじゃ。 意地悪娘は、やはり両親を早くに失くして、遠い親戚のばっさまに育てられておったんじゃ。 ばっさまは、親のいない娘を不憫に思って野良の仕事はさせずに、綺麗な着物を着せて大切に育ててな、自分は朝から晩まで泥だらけになって働いておったんじゃと。 『なぁ、ちいとばかり、畑仕事を手伝ってくれんかの?』 ばっさまが頼んでも、 『嫌じゃ、綺麗なべべが汚れるからの。綺麗な手が荒れるからの』と、娘は手まりをついて遊んでおった。 ばっさまが具合が悪くて寝込んだときも、娘は腹がすいた、いつになったら飯くれるのかと、ばっさまに催促するばかり、看病もしないでわがまま放題じゃったと。 そんな娘でも、少しばかり器量が良かったもんだから、外に出れば村の若者たちからにチヤホヤされて、いずれ立派な金持ちな婿どのに見初められ、玉の輿に乗るんじゃと夢を見ては、有頂天になっておったんじゃ。 そんなある日、娘は久しぶりに町に出たそうな。一張羅の晴着を着て紅をさして出かけたのに、今日は誰も声をかけない。 不思議なこともあるもんだと思いながら、村外れまで来ると、若者たちが一人の娘を囲んで楽しそうに話をしておった。 娘はボロボロの野良義を着て、化粧ひとつしてないのに、なんとも可愛い顔をしておった。そんな娘の周りを囲んだ若者たちは、意地悪娘には目もくれず、娘の話を聞いては幸せそうに、何度も笑い声が上がっておったんじや。 娘は、その輪の中にそっと入り込むと、みんなの話に耳を澄ませた。そこで、娘と狸との不思議な話の一部始終を聞いた後、一目散に家まで帰ると、鎌とざるをもって家を飛び出したんじや。 (続く)
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so.ra
【やまぶきの物語】第4話 狸はくわえていた花の枝を、そっと地面に下ろすと、二度ほど振り返りながら帰っていった。 狸さん、綺麗なやまぶきだなぁ。 有り難う、大事に飾っておくからな。 娘は、じっさまにことの顛末を話すと、神棚にやまぶきの花を飾って、その日もせっせと働いたんじゃ。 さあて、その日から不思議なことがはじまったんじゃ。娘がいく先々で、まるで花が咲くように次々に幸せが広がっていったんじゃよ。 田畑の仕事をすれば、たちまち実りは2倍に、近所の手伝いをすれば、仕事がふしぎなほどはかどった。病人の家にいけば、病人はみるまに元気になった。 そんな嬉しいことが続くもんだから、村人は、そらぁ娘に感謝して大事にするようになっていった。 うちに来てくれろ! いんや、うちこそ先に来てくれろ! あちこちに引っ張りだこになるほどじゃった。 やがて噂が広がって、殿様にも娘の話が伝わった。娘に会いに来た殿様は、日頃からの娘の優しさと心がけに感心して、娘に広い農地と立派な家を与えたんじゃと。 娘はやがて気立ての良い婿どのを迎え、じっさまと3人、 仲良く暮らしていったんじゃと。そして、村の親たちは、あの娘のように、優しく親切にするんだと、子供らにいって聞かせたそうな。 (続く)
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so.ra
【やまぶきの物語】第3話 不思議なことに、その日娘の歩く先々に山の実りが待っていた。 蕗の葉に、からし菜、枝に残って乾いた山葡萄、ムカゴに、虫がつかずに残った山栗まで見つかった。 不思議なこともあるもんだ、こんなにたくさん見つかった。これだけあればじっさまと、しばらくは食べていける。 娘は山の神様に礼を言うと、たくさん山の幸をざるにいれて家へと帰っていったそうな。 さぁて、それからしばらく日が過ぎた頃、深夜に娘の家の戸を叩くものがおったんじゃ。 不思議に思って戸を空けると、そこに一匹の狸がおった。 あんれま、狸さんでねぇか。 おめーが戸を叩いたんか? あっ、おめーはもしかしたらあんときの狸か? お礼を言いにわざわざ来てくれたんか?めんこいのぅ。 元気になって良かったなぁ。 娘が声をかけると、狸は頭を下げるようにして、口にくわえた一枝のやまぶきの花をそっと地面に置いたんじゃ。 (続く)
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