二人は、似てると言われる他人だった。
ルーツを辿れば、何千、何億年前の先祖は同じだったのかも知れないが、2025年10月現在の戸籍では、赤の他人なのである。

見かけは勿論、似ていたが、性格もよく似ていた。
この二人が同じ学校の同じクラスの隣同士になったのは、奇跡と言えよう。
合わせ鏡のように二人は並んで座っていた。

然し、二人は親近感が湧く事もなく、お互いを嫌悪していた。
目を合わせたり声をかけあうこともなかった。

もしも、二人が同性であったなら、親友にでもなれたのかもしれない。
そう、
二人は彼と彼女であった。

よく似ている異性同士なのだ。

彼が女っぽいとか彼女が男っぽいというわけではなかった。
二人とも其々に、男らしく、女らしく、顔立ちもおかしな所もなく、別々に見ると何も違和感を感じさせない普通の男女なのだ。

ただ、不思議な事に二人が並ぶと双子なのかと錯覚してしまう程、瓜二つなのだった。

二人はお互いに、相手が消えてくれる事を願った。
男のくせに、女のくせに、自分とそっくりだなんて、と忌み嫌った。
性格も似ているから、考える事も一緒だった。

そして、ある日、二人は同時に学校に来なくなった。
二人とも消えてしまったのだと噂された。
二人の其々の机の引き出しの中に、其々の名前が消されたあとの大量の紙と小さくなった消しゴムが転がっていたからだ。

〜消しゴムのおまじない〜

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