紅花襤褸菊(ベニバナボロギク)

キク科ベニバナボロギク属の一年草。1946年に北九州で侵入が確認されたアフリカ原産の帰化植物。林縁や道端、伐採跡地などに生える。葉は柔らかく、春菊のような強い香りがある。葉は倒卵形長楕円形で互生する。下部の葉は羽状に裂ける。花期は8～10月。花序は先が垂れ下向きに頭花をつける。頭花はすべて細い筒状花からなり、花冠はレンガ色、下部は白色。総苞は長さ約1㎝で、総苞内片はきれいに1列に並び、外片はごく小さい。果実は痩果で細い円柱形。冠毛は純白で痩果からはがれやすい。長い冠毛がついた種子は風でかなり遠くまで運ばれるので短期間に分布を広げた。第二次世界大戦中は南洋春菊、昭和草と呼んで兵士たちが食用とした。海外では野菜として利用している地域もある。

全体の姿が段戸襤褸菊(ダンドボロギク💬1933年に愛知県の段戸山で発見された北アメリカ原産の帰化植物)に似ていて、頭花が紅色なことが名前の由来。襤褸とは、花が終わりかけるとできる白い毛のこと。山火事跡などにいち早く入り込むため、アメリカでは『fire weed』(火の草)と呼ばれている。

出典『野に咲く花』『色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑』