白山木(ハクサンボク)

レンプクソウ科ガマズミ属の常緑低木。西日本の沿岸地の林などに生える。ガマズミの仲間だが、常緑で枝や葉、花など木全体に毛がないのが特徴。葉は革質で光沢があり、先が短く尖り、上部の縁にだけ鋸歯がある。花期は3～5月。対生する葉が1、2対ついた新しい枝先に、白い小さな花を多数つける。花は先が5裂して平らに開き、悪臭がある。果実は核果。楕円形で赤く熟す。

自然分布地は本州の一部と九州、沖縄に限られ、名前の由来となっている石川県の白山には分布しない。なぜこの名前になったのかは定かではなく、白山にあると誤認されたともいう。分布地の山口県にも白山と呼ばれる山があるので、そちらが由来ではないかともいわれる。伊豆半島や伊豆諸島のものは変種のコハクサンボクとして区別されることがある。別名のイセビは九州の地方名で、語源は未詳。

出典『樹木の事典 600種』『樹木の名前』