天鵞絨毛蕊花(ビロードモウズイカ)

ゴマノハグサ科モウズイカ属の2年草。地中海沿岸原産の帰化植物。明治時代初期に花卉として導入され、庭煙草(ニワタバコ)の名で栽培された。多数の種子をつけるため、各地で逸出、野生化した。日本各地に帰化しているが、特に北海道に多い。河原や荒れ地、線路の脇などに生える。大形で全体に毛が多く白っぽい。茎や葉の毛は輪生状に分岐しているのが特徴。茎の下部の葉は長さ約30㎝の倒披針形。茎葉は上部のものほど小さく、基部は茎に流れる。花期は8～9月。茎の先に長さ20〜50㎝の総状花序を出し、黄色の花を密につける。花冠は直径2〜2.5㎝で5裂し、外側に星状毛がある。果実は蒴果。球形で黄白色の毛が密生し、花後も残る萼に包まれる。萼にも毛が多い。種子は角ばり、凸凹が多い。蒴果に種子は多数。

ヨーロッパ原産の帰化植物にモウズイカというのがある。名前の由来は雄しべが毛だらけであることで、雄しべは『雄蕊』と書くが、毛があるから『毛蕊(もうずい)』である。本種はそのモウズイカの仲間で、葉や茎がビロード状の毛に覆われるのが名前の由来。

出典『野に咲く花』『日本帰化植物写真図鑑』『草木の種子と果実』『野草の名前 夏』