小説というのは、読み飛ばして結末を知りたい場合、前半部分が非常にかったるく、つまらなく感じたりする

主人公の生い立ちや取り巻く人々のことや景色や、それを見て主人公がどう感じたかなど、それらが平凡であればある程つまらない

三年程前に読了したイアン・マキューアンの『初夜』という本もそんな感じだった

1960年代初頭のイギリスを舞台にした真面目な恋愛小説だ

まだ性について開放的でなく女性は結婚まで処女性を重んじられた時代の物語だ
私は辛抱しながら、淡々と読み進んだ

主人公の男女が、お互いを尊敬し愛しあっていること、女性のほうは性に対して潔癖症で畏れを抱いていること、男性は健全な心と身体の持ち主であること、ふたりとも誠実で愛情に溢れた理想的な恋人同士である事が読みとれた

何せ題名に惹かれて図書館で借りた本だから、早くクライマックスにいきたくてしょうがない　笑

そして初夜になにが起こり、その後どうなったのか
官能小説ではないので、イカれた表現はないが結構具体的ではある
まあ失敗したのだな、あるあると勝手に納得する

途中　私は何を読んでいるのだ? と苦笑しながら、終盤の回想録

そして読み終わった後　妙に主人公の男やその後の女に感情移入され、また　ああすればよかったとは思うけれど、あの時はできなかったんだよなあ‥と過去を切なく振り返ること然り

退屈と笑いと哀切感じる妙な気持ちで本を閉じた

そして、この複雑な気持ちは前半部分の退屈を乗り越えたからこそ味わえたものに違いないと思えた



毎月23日は本と植物と。🏷️に参加します

＊観ていませんが『追想』という題名で映画化もされております。