栴檀(センダン)

センダン科センダン属の落葉高木。南国の木で、四国以南の温暖な地域の海岸近くに自生する。街路樹や公園樹としても植えられる。羽状複葉が羽状につく2回羽状複葉が特徴。花期は5～6月。花弁は5枚で淡紫色、雄しべは筒状に集まり濃紫色。花がびっしりつくので木全体が淡紫色に見える。果実は核果。直径1～1.5㎝の球形～楕円形で晩秋に黄色く熟す。葉が散った後も樹上にとどまり、表面がしわしわになって次第に白く色褪せる。1～2月にほかの木の実がなくなるとヒヨドリやムクドリが一気に群れて食べ尽くす。花は棟花(れんか)といい、畳の下に敷いてノミの予防に、火に入れて煙を出し蚊の駆除に用いた。

果実のつき方が数珠のように見えることから千珠(せんだま)、この転訛でセンダンの名がついた。また、梵語(ぼんご💬古代インドの文書語。サンスクリット)でchandanaと呼ばれていたのが音訳され転訛したとの説もある。一年草の栴檀草(センダングサ)の名前は葉の形が本種に似ることによる。

栴檀には魔除けの力があるとされ、平安時代に京の都で刑場前に植えられ、生首を枝に掛けてさらすのに使われた。斬首された人の霊を鎮める意味で選ばれたのではないかという南方熊楠の論考がある。現在でも墓場に植栽し、屋敷の敷地に植えるのを忌む風習もある。

出典『里山の花木ハンドブック』『日本有用樹木誌』『身近な木の実・タネ』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『薬草の呟き』