野に暮らす鳥ちゃんよ。

君たちとの出会いを楽しみに、双眼鏡を持って散歩に行くこともある。愛らしい姿に、心ときめかせるものじゃ。
冬の寒さも厳しくなって、食べ物を探すのも、そりゃあ苦労しておるじゃろう。


しかしのう、鳥ちゃんよ。

ベランダの多肉を食すのは、なんとか堪えてもらいたい。今朝、大事にしておるピレアグロボーサまで食べ散らかしていたのには、さすがに深い悲しみを覚えた。
君たちが、多肉をちぎっては食べしていたのは、もちろん気づいておった。けれど、とうとうピレアグロボーサまで………。


覚えているだろう、鳥ちゃんよ。

以前、数年に渡ってベランダで繰り広げられた私との攻防を。君たちは、なかなかのやり手であったよ。手強かった。
ここしばらくは君たちがやってくることもなくなったから、鳥よけネットはもう断捨離してしまったんだよ。


私はあきらめんよ、鳥ちゃんよ。

ちぎれたピレアグロボーサは、根付くことは難しいだろうが、すぐに挿してやった。
毎日そのキラキラ光る姿を眺めるのが楽しみだったが、鉢にはネットもかけてやったんだ。


最後にお願いだ、鳥ちゃんよ。

お食事は、ちょっといった所の緑豊かな公園がおすすめだ。きっと我がベランダより、うまいものがあると思う。そして、そこで元気な君たちの姿を見せてほしいんじゃ。
どうかどうか、よろしく頼む。頼んだぞ。