唐鼠黐(トウネズミモチ)

モクセイ科イボタノキ属の常緑小高木。中国原産で明治時代初期に渡来した。生長が早く丈夫で大気汚染に強いことから公園や工場、高速道路などの緑化樹として植えられる。葉は対生し厚く葉先がやや尖り、表面はつやがあり、鋸歯はない。葉を日にかざすと葉脈が透けて見える。花期は6～7月。枝先の円錐花序に白い花を多数つける。果実は核果。ほぼ球形で秋に黒紫色に熟す。ヒヨドリなど野鳥の好物でよく食べるため、一部は野生化し生態系に悪影響を与えている。

よく似た鼠黐(ネズミモチ)は果実の形状が長楕円形でネズミの糞に似ていて、葉が黐の木(モチノキ)に似ることが名前の由来。本種は中国原産なので中国を意味する唐がついた。果実は女貞子(じょていし)という漢方薬で、滋養強壮や老化防止などに効果がある。このトウネズミモチの果実を女貞子とするのが正しい生薬名であるが、日本では特別に区別せずネズミモチも女貞子として使用している。成分は同じ。


よく似たネズミモチとの違いは次の通り。

トウネズミモチ
・花期は6～7月
・葉や丈が大型
・葉の先は細くなって尖り、光に透かすと葉脈がはっきり見える
・果実はほぼ球形で大量につき、潰しても指は染まらない
・中国原産で工場や公園の緑化樹だが野生化している

ネズミモチ
・花期は5～6月
・葉を光に透かしても葉脈があまり見えない
・果実は長楕円形で、潰すと指が紫黒色に染まる

出典『木の実のガイド』『薬草の呟き』『身近な樹木図鑑』『樹木の名前』