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八ヶ岳南麓の一覧

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一筆狼
紅葉前線があっという間に通り過ぎて、枯れ葉の積もる山道になった。富士山の初冠雪とほどなく、北岳の頂上、八ヶ岳も南アルプスの甲斐駒ヶ岳も冠雪している。このところ山麓でも早朝は氷点下が続いてびっしり霜が降りている。 ❶ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)。ナス科。ワルナスビ、イヌホオズキの仲間。 荒れ野にひときわ目につくのが、この真っ赤な実である。白い花が反り返って咲いていた頃は、勝手にイヌホオズキだと思っていた。それっきりよく通る山道なのに、忘れていた。先にイヌホオズキは黒い実になってしまうが、遅れて今頃やっと赤い実になって気がついたのである。 ジョウゴは、酒好きな人のことを指す上戸である。下戸(げこ)の反対語。泣き上戸とか笑い上戸という上戸である。酒に酔った人の癖のことだ。 ヒヨドリが好んでワイワイ食べるというところから名付けられているが、ソラニンの毒が含まれているためヒヨドリはほとんど食べないらしい。ソラニンを多く含む実ほど栄養価が高く、天敵から実を護っている説が有力とある。 似たような花にマルバノホロシがあり、赤い実になる。写真を見てわかる通り、果柄の先端が広がって赤い実につくのがヒヨドリジョウゴで、マルバノホロシは果柄が広がらないところが違う。 ちなみにヒヨドリジョウゴは、平安時代まではホロシ(保呂之)と呼ばれていた。ヒヨドリジョウゴは江戸時代にこの名前に定まったと「野草の名前」にあった。 果実に触ってみたら柔らかで、うまそうだった。ヒヨドリも食べないのにさすがに食べるのはやめた。 ❷ガマズミ(莢蒾)。 落葉低木で、赤い実は食べられ、薬酒となっている。この豊穣さは八ヶ岳南麓で随一と思っている。 ❸セイヨウヒイラギ(西洋柊)。 モチノキ属、常緑小高木。英語名でホーリー。これも赤い実がつややかである。八ヶ岳山麓で唯一、クリスマスらしさを演出してくれて、気分が華やぐ。 ❹渋柿 霜でだいぶ甘くなっているようだが、鳥につつかれていないところを見るとまだ渋いのかもしれない。奥の冠雪している山が、甲斐駒ヶ岳の北面。山容がどっしりとして威厳がある。遥か前に登ったことがあり、抱擁されているような気分になる山だ。
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一筆狼
この一両日に八ヶ岳南麓で見た山野草である。 ❶ギンギツネ(銀狐)。別名、シロガネチカラシバ(白銀力芝)。「ペニセツム・ウィルロスム」「フェザートップ・グラス」 イネ科チカラシバ属。 こんな粋な名前の山野草が道端に生えていて、吸い寄せられた。初見である。 銀狐も見たことはないけれど、想像するに賢い狐のような気がする。 その尻尾が命名の由来らしい。 地中海岸のアフリカが原産。見た目がいいので、園芸種もある。 属名のチカラシバは在来種だが、シルバーアッシュしたら、銀狐になる。やはり銀狐のネーミングはインパクトがある。 ❷チカラシバ(力芝) 別名、ブラシ草、ミチシバなど多数ある。 朝露がびっしり付いたチカラシバは見事な美しさだ。 エノコログサの穂もブラシ状で似ていて垂れるが、チカラシバの黒紫色の穂は真っ直ぐに立つ。 チカラシバは、引き抜こうとしてもなかなか抜けない。 折々、何回か挑戦したが、まだ抜けたり、ちぎれたりしていない。 牧草地には密生して植えてあり、牧草として出荷しているようだ。 この穂をにぎにぎすると手から徐々に出てくる。 また「ひっつき虫」のひとつで芒(ノギ)が服に付く。 ❸ヒキオコシ(引き起こし) シソ科ヤマハッカ属。別名、エンメイソウ(延命草)。 ありがたい名前がついている。 弘法大師が苦しんで倒れていた旅人にこのヒキオコシを噛ませ飲み込ませたら、効果テキメン。起き上がり元気になったという故事が由来とされている。 「全草が苦く、葉を舌に乗せただけで10分衝撃が残るほどの苦味」というサイトもある。 腹痛などに煎じて飲めば効果があるらしい。正露丸みたいな薬かもしれない。 ❹ピンクミューリーグラス イネ科。学名としては「ミューレンベルギア カピラリス」。 今年もさほど遠くない邸宅の庭を見に行ったら、ピンクに染まっていた。 1mくらい丈があって、もやもやしているところが悩ましい。 見た目と同じで写真に撮ってもピンクの霧のような感じがして、遠近感がなくなる。 ただ韓国では生態系を撹乱させる可能性があると指摘されている。 妖しいピンクであるが、まだ庭の向かいの草地はピンクに染まっていないのを見て、少しホッとした。
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一筆狼
アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)。*長文。 リュウゼツラン科キミガヨラン属(キジカクシ科ユッカ属とも)。 別名/ユッカ グロリオーサ ユッカラン 原産地/北米〜メキシコ西海岸。明治中期に帰化。春と秋に二度咲く。 刀や剣のような葉っぱを見て、竜舌蘭かと思った。昔、実家の庭にあったような記憶もあるし、メキシコを放浪したとき、テキーラをよく飲んだ思い出もあった。テキーラはサボテンから作られると思っている人が多いが、竜舌蘭から作られる。酒の話はこれくらいにして、わが村の山麓にこんな低木常緑樹があることに一驚した。 調べてみると、和名がすごい。国歌「君が代」を外来種に使うとは。 原種のグロリオーサがハイチの現地語で「栄光のある」の意で、花数が多く花期が永いことからいつまでも栄えると名付けたようだが、砂漠地帯に自生する樹木とはあまりに論理が飛躍しているが、止むを得ない。 君が代蘭と厚葉君が代蘭の違いは、刀状の葉が薄く柔らかいので、折れ曲がって垂れ下がっているのが君が代蘭で、厚葉君が代蘭は葉が硬く、放射状に伸びて見栄えがいい。ここでも今の「厚葉君が代蘭」を君が代蘭に命名し、君が代蘭は「薄葉君が代蘭」とでも命名すべきだったと思わざるを得ない。残念な命名で、どんどん愛国者になってしまう。 最後に命名のミスをもうひとつ。 釣鐘型の花をあまりに多数付け重くなるので、花茎が曲がり「傾く」ことが多いらしい。(傾国に通じる。)現地ではユッカ蛾による虫媒で受粉するため、日本にはこの蛾がおらず、結実せず、挿木で増やすとか。優美な花は咲けども実がなることがないという悲惨。日本では次の世代に継承できないような樹木種なのだ。 今や葉の先端の棘が鋭く、人出があるところでは駆除推奨対象になっている。しかし、葉っぱをすべて伐採しても残った根から復活するため駆除がむずかしい。おまけに葉が枯れても落下しないので、見苦しいとも言われている。 散々な特長を持つアツバキミガヨランは、丈夫過ぎて駆除できず、ここまで列挙すると「君が代」の名を与えるのは不向きであることはわかってもらえたと思う。 三大残念な名前の山野草、ヘクソカズラ、ハキダメギク、ママコノシリヌグイと同等の不釣り合いの名の発見でした。 (国歌斉唱のとき、君が代蘭、厚葉君が代蘭を思いだされませんように。)
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一筆狼
イシミカワ(石実皮、石見川、石膠)。タデ科タデ属。 名の由来は三つある。一つ目は、藍色の実の外側は萼(がく)で、中に黒い実があることから、 『石』のような『実』に『皮』があり『石実皮』。これが順当な命名に近いような気がする。 二つ目は薬草としてイシミカワは石見川村(現大阪府河内長野市付近) が良質だったから『石見川』。 三つ目は、イシミカワのつる葉は骨折のとき膠のごとく骨をつなぐ。 そこから石のようにくっつくので石膠(イシニカワ)。これがなまって『イシミカワ』。まあ、ちょっと強引ではある。 葉の形は正三角形、葉の裏に葉柄がついている。目立つ丸い托葉が茎を囲み、突き抜けたように見える。 葉と茎には下向き(逆刺)の鋭い棘がある。イシミカワは、ママコノシリヌグイより棘が鋭いようだ。 毒舌のトゲや座布団のような托葉を持っている立川談志のような噺家に似ている。 イシミカワの話を聞けば、案外おもしろく根は悪い性格ではないような気がする。 勝手な思い込みではあるが。 1枚目、10月7日のイシミカワ。 2枚目、1週間前のイシミカワ。 3枚目、ヤマハッカ、香りはしない。 4枚目、アケビ。一番熟れているのを持って帰った。 5枚目、割れていて、食べ頃。ほんのり甘く、美味しかった。種か多いので、ペッペッと吐きながら完食。
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