酢橘／酸橘(スダチ)

ミカン科ミカン属の常緑低木。柚子(ユズ)の近縁種。江戸時代から徳島県で栽培される特産品で、『阿波蜜柑』『酢橘(すたちばな)』ともいう。花期は５～６月。ユズの花に似た白い花を咲かせる。秋にできる果実は直径約4㎝、30～40gの扁球形。熟すと橙黄色になるが、熟す前の緑果を収穫する。露地栽培では8～10月にかけて出荷される。清々しい香りと酸味が持ち味で、果汁を料理の酢に利用する。刺身、焼き魚、湯豆腐、マツタケ料理などに果実を半切りにして添え、果汁を絞りかける。果皮は薬味などに使われる。露地栽培のほかにハウス栽培も盛んで、冷蔵物とあわせて１年中出回っている。

香酸柑橘(こうさんかんきつ)の一種。香酸柑橘とは、甘味がないためそのままでは食べられないが、酸味と香り豊かな柑橘類のこと。日本在来の香酸柑橘は約40種あるといわれ(ゆず、かぼす、橙など)、古くから各地で栽培されてきた。その土地の食文化とつながりが深く、料理の薬味や風味づけにしたり、調味料として使う。

出典『図説 果物の大図鑑』『新版 食材図典』『くだものの知識』