草木瓜(クサボケ)

バラ科ボケ属の落葉小低木。日本固有種で、山野の日当たりのよい草地や林縁に生える。観賞用に庭木、鉢植え、盆栽に使われる。高さ30㎝～１mで、枝は地面を這うか斜上しよく分枝する。小枝は棘となる。朱赤色の花が集まってつき、両性花と雄花が混ざる。花期は春とあるが今の時期にも咲く。花の後、花托が肥大した直径３～４㎝ほどの偽果(ナシ状果)がつき、９～１０月に黄色く熟す。その姿から『地梨』の別名もある。芯の部分が果実で、涙滴形の種子が30個ほど入る。種子は堅くて稜があり、哺乳動物の鋭い歯の間をくぐって胃に滑り込む。偽果は果肉が堅く生食できないが、仲間のカリン同様、香りがよく果実酒などに向く。青いうちに収穫したものを乾燥させ漢方の薬とする。地方によっては、赤い花が咲いているクサボケを家に持ち帰ったり庭に植えたりすると、火事になるという伝承があった。

名前は、平安時代に中国から渡来した園芸品種の木瓜(ボケ)に似ていて、草のように低く茂ることからついた。ボケは中国名の木瓜を『ボッカ』『モッカ』と読んでいたが転じてボケになったと考えられる。


２種の違いは次の通り

クサボケは日本固有種、実は３～４㎝の球形、花柄に毛はない、葉先はとがらない、茎は細く地下茎を引く

ボケは中国原産、実は５㎝ほどの楕円形、花柄に毛がある、葉先はとがる、幹は地ぎわから分かれ株立状になる

出典『草木の果実と種子』『身近な草木の実とタネ ハンドブック』『樹木 見分けのポイント図鑑』