記憶が飛んでいるのは何故だろうと考えた。

昔、しばらく住んでいた彼氏の実家のお風呂とおトイレ。
地下街で、ばったり出会って、「あら、久しぶり」と声をかけあった“あの人“。

“あの人”は、ばったり出会った時から思い出せていない。
顔は知っているし、親しく話した記憶もあるが、いつ、どこで、知り合い、どういう関係だったのか、まるきり思い出せない。
確かに知り合いなのに、今でも顔は覚えているのに思い出せないので気持ちがすっきりしない。
久しぶり、と挨拶をしたあと、名前どころか、どこの誰だか思い出せずタメで話していいものか、敬語を使うべきなのか大いに迷い、ぎこちなく、そそくさと別れた記憶がある。
二十代の頃の話であるから、物忘れにしては可笑しいのだが、自分で考察してみると、その頃は出会う人が多すぎて私の記憶のキャパを超えていたのであろうと勝手な理屈で自分を納得させた。

昔、しばらく住んでいた家のふろとトイレ。
その場所がどうしても思い出せない事に気づいたのは最近だ。
部屋、居間、キッチン、座敷、玄関、車庫、全て覚えているのに何故か、風呂とトイレの記憶だけがない。
風呂とトイレは、毎日使うものなのに何故？
これも考察してみた。
風呂とトイレは、自分ひとりで使うものだ。
基本、使用の際に他人と共有するものではない。
故に自分以外の人の存在がない為、脳内の映像には思い出として残らない。
しかも、その後、風呂とトイレの記憶は、一度も蘇ることもなく現在に至る。
その為、脳内で、要らない映像として処分されてしまった。

色々書きましたが、まあ“あの人”も、その頃の風呂もトイレも私にとって、どうでもいい存在だったのでしょうね。

でも思ったんですけど、勝手に処分しないで、ひとこと聞いてからにしてほしいです。
脳みそへのお願いです。