オヤツって
楽しいよね。

しろ猫は、そう言ってゴディバのサブレショコラをバリバリと高速で食べた。

もうちょっと味わってよ…とわたしは不満に思ったが、しろ猫が、すぐさま二枚目に手をだしてペロっとたいらげてしまったので、きっと美味しかったのだろう…と溜飲を下げた。

残りは、わたしのだよ。

わかっているよ。はやく食べな。
しろ猫は、ペロペロと口まわりをせわしく舐めながら、わたしの分のおやつを見ている。

わたしは、ゆっくり味わって食べるのが好きだ。
途中、食べかけのサブレを手に持ったまま、窓の外を眺めて、五感で味わう。
ひとくち食べる毎に、やはり窓の外を眺める。
桃源郷の中にいるような、夢心地空間がわたしの前に広がる。

わたしが、おやつを持った手をとめて、外を眺める度に
しろ猫は、「はやく食べなよ」と神経質そうに、言った。
その瞳は、わたしの手の中のおやつから逸れることはなかった。

そして、しろ猫の高速ペロペロは、ますます高速になってきたので、わたしは心配した。

わたしは、あいたほうの手で自分の四枚目のサブレをしろ猫に差しだした。

しろ猫は、高速ペロをやめ、身をのりだして今にも、わたしの方に倒れこんできそうな体勢になった。
しろ猫って、こんなに長かったっけ…?
角度でいうと、床から十五度。
見えない突っかい棒でもあるのだろうか、前のめりの長い胴体は十五度を保っていた。

いいの⁉️

いいよ、あげる。

かたじけない!!
しろ猫は、サブレをわたしの手から奪い取ると、やはり高速バリバリで食べてしまった。

わたしが食べ終えるよりも早く…。

そして、前より少しだけゆっくり高速ペロペロをして、わたしに「ありがとうな」と何度も言った。


〜猫に恩を売る〜

ニャンニャン祭りに参加します