田辛し(タガラシ)

キンポウゲ科キンポウゲ属の2年草。水田や溝に生え、放棄水田などでは大群生する。水質汚染にも強いため、雑排水で汚染された水路内にも見られる。全体が無毛で光沢があり、日が当たるとテカテカと光る。葉は3深裂し、裂片はさらに細かく裂ける。花期は3～5月。黄色い5花弁が平らに開く。花弁のつけ根に蜜腺があり、たまった蜜が水滴のように輝く。狐の牡丹(キツネノボタン)に似ているが、本種は花が咲いている頃から真ん中の緑球の雌しべが目立ち、花弁が散るとさらに伸びて細長い果実になるのが特徴。

プロトアネモミンを含むため噛むと辛みがあり、田んぼに生えることが名前の由来。キンポウゲ属の植物は全てプロトアネモミンを含むため有毒である。他に、田んぼに生えると駆除しにくく、繁茂すると米の収穫が悪くなる『田枯らし』が由来とする説もある。

出典『野に咲く花』『春の野草』『散歩の草花図鑑』