蕾はストロベリーチョコレート
開くと可愛いパラソル
ひっくり返すとお姫様のドレス
小さな娘の大好きな
カルミアの花



撮影:
カルミア・ラティフォリア
2021.5.12 花 (街路)
2021.6.26 実 (建物入口付近)



以下、調べたこと:
・カルミア属
・カルミア・ラティフォリア

「カルミア」はツツジ科カルミア属の植物全般を表す総称ですが、一般的にはカルミア・ラティフォリア(アメリカシャクナゲ)のことを言います。

カルミアの花や蕾の特徴的な形態は、訪れた虫に向かって勢いよく花粉を投げつけたり、自家受粉を防ぐための仕組みであるとわかり、びっくりしました😲

蜜や花粉も含めて、植物全体が有毒です！ご注意下さい！

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❇️カルミア属❇️


【分類】ツツジ科 カルミア属

【学名】 Kalmia※

※スウェーデンの植物学者ペール・カルム(Pehr Kalm, 18世紀)にちなみ命名された。彼は北アメリカの植物を収集した。

【自生地】北アメリカ東部、キューバ

日本へは、大正時代にアメリカに桜を寄贈した返礼としてハナミズキとともに渡来した。

【生活型】
常緑低木、酸性の土壌で生育する
樹高 0.2-5 m

【開花期】4～6月

【品種】10種が知られている※。園芸で流通しているほとんどのものは、カルミア・ラティフォリア種

Kalmia angustifolia
Kalmia buxifolia
Kalmia carolina
Kalmia cuneata
Kalmia ericoides
Kalmia hirsuta
Kalmia latifolia ❇️
Kalmia microphylla
Kalmia polifolia
Kalmia simulata

※The Plant list, version 1.1.2013, retrieved 2017 ("Kalmia" Wikipedia [English])

【特徴】
<花>
・蕾: 突起がある。金平糖状。
・花色: 白、ピンク、紫、赤など
・花序: 10～50個の散房花序※
・花弁: 5枚。結合している。
・大きさ: 直径1-3 cm
・萼: 星形
・雄しべ: 刺激によって飛び出し、花粉が飛び散るという特徴がある😲(以下、カルミア・ラティフォリアにて詳述)

※散房花序
花軸から複数の花柄が出ていて、下部の柄ほど長いことから、小花の集合体が水平または半球形に並ぶ花序のこと。コデマリ、アジサイ、ペンタスなど。

<果実・種子>
5つの丸い突出部のある蒴果。裂けて多数の種子を出す。

<葉>
・形: 披針形
・大きさ: 長さ2～12cm
・付き方: 茎に螺旋状につく
・色:緑
・質感: 光沢がある
・食べると有毒。特に羊が中毒しやすい。心臓や筋肉の収縮、心筋梗塞や麻痺の危険性→英名: lambkill 🐑☠️😲
ヒトにとっても有毒。葉以外の部分も全て有毒。

【その他】
・数種のチョウ目の幼虫は、カルミアの食べる。Coleophora kalmiella(蛾の一種)はもっぱらカルミアを常食としている。

………
別名:
セイヨウシャクナゲ
アメリカシャクナゲ
ハナガサシャクナゲ(花笠石南花)

英名:
lambkill(特にK. angustifolia)
lamb-kill(特にK. angustifolia)
sheep-laurel(特にK. angustifolia)
calf-kill(特にK. angustifolia)
kill-kid(特にK. angustifolia)※
※ここでのkid は若いヤギのこと。
sheep-poison(特にK. angustifolia)
spoonwood
Mountain laurel

独名:
Lorbeerrose, Lorbeerrosen
Schaf-Lorbeerrose

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❇️カルミア・ラティフォリア❇️


【分類】 ツツジ科 Ericaceae
カルミア属 Kalmia
=ハナガサシャクナゲ属

【学名】 Kalmia latifolia
- Kalmia: カルミア属
　- latifolia: 幅広の葉の[広葉の]
　　
【原産地】北アメリカ東部、キューバ

岩の多い丘や、山地の森林地帯に自生している。

日本で一般的に育てられるようになったのは、昭和30年代の終わり頃から。

【生活型】常緑広葉 低木/小高木

・酸性の土壌でよく育つ。pH4.5～5.5がよい。😲
・耐寒性あり。-20～-30℃に耐えられる😲
・根が細くて浅いため、乾燥に弱い。
・夏の暑さに弱い。
・腐植質に富む、水はけの良い場所を好む。

樹高: 1～12ｍ😲🌳
日本では約1～3mにとどまる

【開花期】4～6月
晩春に蕾が膨らむ。開花期間は初夏から梅雨入りにかけて約1カ月。

【特徴】

<蕾>
・形: 金平糖や、チョコレート菓子「アポロ」のような形。

<花>
・形: 五角形・六角形の皿形・お椀形。
・色: 白、ピンク、赤、えび茶色、紫 など。
・咲き方: 花が多数集まって咲く💐
・花柄: 品種によって、粘着成分を分泌してベタベタする毛に覆われているもの、毛は僅かでベタつかないものがある。
・花後: 花は散らず、茶色くなって残る。
・雌しべ: 長い。雄しべの届かない位置にある。→自家受粉を避ける 😲
・雄しべ: 10本。湾曲して放射状に広がり、それぞれの先端(葯)は、花冠のポケット状の窪んだ部分(外側から見ると金平糖形の出っ張りの部分) の中に収まっている。内側から見ると、雌しべが開いた傘の中棒、雄しべが受け骨のように見える。☂️😲
↓
〈花粉放出メカニズム〉
昆虫などによって雄しべの花糸に力が加わると、葯が窪みからはずれて、それによって、湾曲して緊張状態にあった花糸が跳ね上がり、その力で葯の中の花粉が勢いよく放出される。花粉には粘着糸があり、昆虫の体に絡み付く。☂️✨🐝 😲
跳ね上がって花粉を放出し終えた雄しべは、緊張状態から解放されて中心部に集まる。

★動画★人為的刺激により雄しべが跳ね上がる↓
https://www.youtube.com/watch?v=iCvrbq3TsFk
"Kalmia latiforla pollination"
Royal Botanic Garden Edinburgh　
「カルミア・ラティフォリアの受粉」
エディンバラ王立植物園

★動画★雄しべから花粉を飛ばしている様子
https://news.harvard.edu/gazette/story/2018/02/harvard-researchers-study-flower-that-catapults-pollen/
"For this flower, it's ready, set, launch: Study examines the mountain laurel's powerful pollen catapults"
(下、2つ目の動画)

・雌雄異熟: 雄しべが花粉を出す時期と、雌しべの受粉可能な時期が異なる。→自家受粉を避ける
・花粉の有効な送粉者として、マルハナバチ(マルハナバチ属)が知られている🐝
・花は落ちやすい。


<葉>
・大きさ: 長さ3~12cm, 幅1~5cm
・形: 楕円形～楕円形の披針形。上端が尖っている。
・色: 濃い緑色
・質感: 光沢あり。革質。
・シャクナゲやローレルの葉に似ている→別名「アメリカシャクナゲ」・「ハナガサシャクナゲ」・「アメリカン・ローレル」🌿
・生え方: 枝に螺旋状につく。
・茎腺のために粘着性がある。
・秋に古い葉は黄変して落ちる。
・有毒: 誤食すると、嘔吐、下痢、腹痛、神経麻痺を引き起こす。ペットや家畜がいるところでは育てないこと！
☠️ 🆖🐕🐄

<果実>
・成熟時期: 10月頃
・色: 緑→褐色(成熟)
・形: 球形

<枝>
・車輪状に生じる。樹形は自然に整う。
・断面:丸い
・腺状で粘着性がある。
・折れやすい。

<根>
・細くて浅い→乾燥に弱い😲

<毒性>
蜜も含めて植物体全体が有毒☠️😲

【その他】
・米国コネチカット州、ペンシルベニア州の州花。

………
別名:
カルミア※1
アメリカシャクナゲ(アメリカ石楠花)※2
ハナガサシャクナゲ(花笠石楠花)
スプーンの木

※1「カルミア」はツツジ科カルミア属の植物全般を表す総称だが、一般的には本種カルミア・ラティフォリアをさす。
※2 シャクナゲの仲間ではない。シャクナゲはツツジ科ツツジ属。

英名:
mountain laurel
calico bush
calico-bush
spoonwood
ivybush

独名:
Breitblättrige Lorbeerrose
Berglorbeer

仏名:
Le laurier des montagnes
laurier d'Amérique
kalmie

伊名:
alloro di montagna
cespuglio di edera
spatola
cespuglio di calicò
alloro americano
……

参考ウェブサイト

○カルミア属
・「カルミア属」Wikipedia.
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%A2%E5%B1%9E
・"Kalmia," Wikipedia.
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Kalmia
・"Lorbeerrosen," Wikipedia.
https://de.m.wikipedia.org/wiki/Lorbeerrosen
・"Kalmia," Wikipedia.
https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Kalmia
・「カルミアの花言葉｜種類や開花時期は？毒性があるの？」Horti by Green Snap
https://horti.jp/5603

○カルミア・ラティフォリア
・「カルミア」庭木図鑑 植木ぺディア
https://www.uekipedia.jp/%E5%B8%B8%E7%B7%91%E5%BA%83%E8%91%89%E6%A8%B9-%E3%82%AB%E8%A1%8C/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%A2/?mobile=1
・"Kalmia latifolia," Wikipedia.
https://en.wikipedia.org/wiki/Kalmia_latifolia
・"Kalmia latifolia," Wikipedia.
https://de.wikipedia.org/wiki/Kalmia_latifolia
・"Kalmia latifolia," Wikipedia.
https://fr.wikipedia.org/wiki/Kalmia_latifolia
・"Profilo della pianta dell'alloro di montagna," gdfszjw.com
https://it.gdfszjw.com/mountain-laurel-plant-profile
・「カルミア Kalmia latifolia」みんなの趣味の園芸
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-316
・「カルミア」季節の花 300
https://www.hana300.com/karumi.html
・「カルミアの育て方｜植物図鑑」lovegreen
https://lovegreen.net/library/garden-tree/evergreen/p88890/

○カルミアの花粉放出
・「カルミア」花を楽しむブログ
http://flower.k-collection.shop-pro.jp/?eid=119#gsc.tab=0
・「カルミアの投石器」オモシロ自然観察
http://tnt-lab.eco.coocan.jp/s/nat/kalmia/kalmia.htm
・「樹の散歩道 カルミアの奇妙な雄しべの動静 （花粉放出メカニズムの真相）」木のメモ帳
https://kinomemocho.com/sanpo_Kalmia.html
・"Kalmia latiforla pollination"
Royal Botanic Garden Edinburgh　
https://www.youtube.com/watch?v=iCvrbq3TsFk
・Peter Reuell, "For this flower, it's ready, set, launch: Study examines the mountain laurel's powerful pollen catapults," The Harvard Gazette.
https://news.harvard.edu/gazette/story/2018/02/harvard-researchers-study-flower-that-catapults-pollen/

○その他
・「散房花序(さんぼうかじょ)」写真でわかる園芸用語集｜見て納得！かんたんガーデニング用語辞典
https://engei-dict.882u.net/archives/2600
・「シャクナゲ」Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%82%B2

参考文献
・ロレイン・ハリソン (上原ゆうこ訳)『ヴィジュアル版 植物ラテン語事典』原書房 2014, 122.