グラプトベリア属、初恋錦。
もはや美しいのかもわからない。パレットの上で混ざり合った絵の具のようです。

初恋といえば、小学1年生のときに中村さんという女の子が好きだった。
ちょこちょこ放課後に私の家に遊びに来ていて、とある日、人生初の告白をした。
「中村さんのこと好きなんだ」
「私も好き。たぶん4番目くらいに好き。」
「え？嬉しい！」
「1番目は誰が好きなの？」
「えっと1番目は○○くんで、2番目は○○くん、3番目は○○くん。」
「そして僕だね。」
「待って。4番目は○○くんかも。あと5番目は○○くん。あ、6番目○○くん。それに7番目は○○くんだから、むねちかくんは8番目だ。」

正直、それでも嬉しかった。数多いる世界中の男の中で8番目。すごい結果じゃないか。
これは奇跡。今晩はパーティーだ。オレンジジュース買ってこい！

よくよく今になって考えると当時のクラスが30人くらいだったから、男女がだいたい半分くらいだとすると、ちょうど真ん中。
彼女にとって私は、普通オブ普通。クラスメイト。
それでも当時の私は幸せだった。

その後、私は親の都合で渡米した。
金髪も良いが、私は中村さんが忘れられなかった。時が経つに連れ、私の中にいる中村さんはどんどん美化された。
何年も経ち、中学生になった私は、日本に帰国することになった。その頃の中村さんは、私の頭の中ではグラマラスな絶世の美女。渡米した影響か目鼻立ちはもはや外人。ブルーな瞳。

彼女と会うのが楽しみで仕方なかった。
もはや当時の中村さんの面影さえ思い出せない。もう中村さんとは呼ぶまい。
ジェニファー。ジェニファーと呼ぼう。
愛しのジェニファーに早く会いたい。

日本に帰国した私は地元の公立中学に通った。同姓同名の中村という女性がいたが、ジェニファーに出会うことはなかった。同姓同名の中村さんは私に「久しぶり！」と声をかけてきて、よくよく話を聞くと小学生の頃に同じクラスだったらしいが私の記憶にはなかった。

ジェニファー。。。

切ない恋の思い出。