悪茄子(ワルナスビ)

ナス科ナス属の多年草。明治時代初期に千葉県三里塚の牧場に侵入し、オニナスビ、オニクサと呼ばれた北アメリカ原産の帰化植物。道端や公園、空き地、山地の草原など至る所に生える。地中を横走する根茎から、直立して高さ８０㎝に達する地上茎を出して群生する。茎、葉の脈上、花序などに鋭い刺がある。花期は６～１０月。節間に花序を出し直径３㎝ほどの白～紫色の星形に５裂した花をつける。葯は黄色で大きく、先が細くなりバナナのような形をしている。先端に穴が開いて花粉を出す。果実は球形の液果で黄色に熟す。果実に種子が多数入る。種子は広楕円形で平たい。あまり結実しないが根茎を伸ばして殖える。根茎がバラバラにちぎれると、それぞれの切れ端から再生し、まるで分身かのごとく殖える。畑を耕すと根茎が切り刻まれてたくさんの切れ端ができる。この切れ端は土と一緒に畑全体へと拡散し、さらにトラクターなどの農機とともに周辺にもまき散らされる。

全体に鋭い刺が生え、花がナスに似ているのでこの名がついた。地下茎を伸ばして繁殖するので、畑や牧草地に入ると取り除くのがむずかしく害草として嫌われる。この性質が和名のもとで、牧野富太郎が名付けた。

出典『日本帰化植物写真図鑑』『都会の草花図鑑』『すごすぎる雑草』